静かな屋上
僕は下の階に続く扉を開けた。
暖かい空気に心が優しくなでられている様な感覚がする。
心のきしむ音がしだいに小さくなり、気がつくと消えていた。
美麗はもうどこかに行ってしまったようだ。
下に続く階段はとても静かだった。
この緑ヶ丘中学校は、原則として放課後の屋上解放はされていない。
だから人がいないのだ。
放課後は人が少ないから、屋上で何かがあった時に誰も気付かない危険があるからだ。
昼休みは入ることができ、たくさんの人がいるからまず心配はない。
先生も必ずいる。
美麗は誰もいない放課後の屋上をわざわざ選んだのだろう。
静かに階段を降りると、吹奏楽部が練習しているのが聞こえる。
ふいに、今は仮入部期間だということを思い出した。
健太や龍は今日バスケ部に行くと言っていた。
美麗と僕はもちろん、仮入部には行っていない。
行く気にもならない。
多分帰宅部になると思う。
「カタン」
近くの非常扉からだ。
いったい何だろう。
静かに非常扉に歩みよると慎重に開けた。
「あっ」
そこには一人の女子が気まずそうに下を向いて立っていた。
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