最新式の服
美麗は、左半身だけ制服だった。
服の右半身は僕が今手に持っている。
呆気にとられている僕の前で美麗は左半身も脱ぎ捨てた。
制服という、学生らしい服の下から現れたのは、学校に着ていくには滑稽な戦うのに適した服だった。
制服の様に動きにくい服とは違い、動きやすい、伸縮性にすぐれている様に見える。
「これは、高性能防御服。火に燃えにくいし、破れにくい。特殊な成分が入っているから鉄砲で打たれても、ダメージは少ない。今は、鉄砲はあまり使わないけどね。」
「普段から制服の下にそれを着ているのか?」
「ええ。そして、何か緊急事態には制服を脱いでこれで行動する。」
「制服が真ん中で分かれるのは、早く脱ぐためだよな。」
「そう。真ん中にあるフックが強い力ではずれる。普通の制服を改造したの。」
そう解説する人は自分よりとても遠い存在の様な気がした。
自分が知らない沢山のことを知っている。
これが、同い年の女子だろうか。
美麗を尊敬せずには、いられなかった。
あらためて美麗の服を眺めた。
白地に赤いラインが入り、形も良くとてもかっこいい。
機能性も問題なさそうだ。
その時、僕はその服に文字があることに気付いた。
「star…」
starは誰でも知る一流企業だ。 防御服だけでなく、様々な使い道に対応した物をいくつ も発明している。
その文字の横には流れ星が描かれている。
「これ、すごい高いよな…美麗が自分で買ったのか?」
「ええ。でも、TTOでまとめ買いをするから結構安い。」
「へぇ、そうなのか。その会社は、TTOが買ってること を知ってるのか?」
「基本的には、知られていない。starにはTTOの人 がいるから、巧くやってくれている。」
「へぇ~、巧い具合になっている訳か…」
「まぁ、今は。」
美麗は複雑な表情をすると上着の中に手を入れ、
いくつかの物を取りだし、僕の目の前に置いた。
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