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驚き

「見せたいものって何だ?」


 長い沈黙に耐えられず、自分から口火を切った。

 美麗は考える素振りを見せた後、僕に向かって右腕を差し出した。


「強く服を引っ張ってみて。」


 驚いてしばらく美麗を見ていたが、言われた通りにしようと少し遠慮がちに右腕の裾をつかんだ。 

 そして、意を決して引っ張ったが、何もおこらない。


「本気で引っ張って」


 美麗が比較的強い口調で言う。

 僕は言われるがままにもう一度引っ張った。


「あっっ」


 屋上の床に勢いよく倒れこむ。

 眼前には小さな雲が沢山浮かんでいる。

 鳥の群れが空を横切っていった。


 もし、この床が痛みを軽減することがなかったとしたら打ちつけた頭にたんこぶができていただろう。

 強い衝撃を与えないようになっている、建物の構造に本気で感謝だ。


 自分の手に、今引っ張った裾を握っていた。


 しかし、そこに美麗の右腕はない。

 状況が理解出来ず、素早く起き上がった。


「あっそれは…」


 とても驚き、目を見開いて、思わず叫んだ。

 美麗は僕の反応を小悪魔のような微笑をして見ていた。

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