意味不明な言葉
僕は二人の視線から逃れる様に目をそらした。
なぜ二人が僕の言葉に反応したのかが分からない。
別に僕はただ美麗を呼んで、テストの点数を聞こうとしただけだ。
何も特別なことは言っていないはずだ…
もしかしたら、美麗が言うTTO関連の何かと関係があるのかもしれない…
しかし、TTOという集団が本当にあるのか、美麗が本当に特殊な事が出来るのかは、一人の話でしか聞いていない。
非日常的な事なのだから、普通に考えれば信じられない。
でも、あの表情からは嘘をついているようには見えなかった。
だから、取りあえずは信じている。
このことを考えていると、テストの点なんてどうでも良いような気がしてくる。
しかし、ここまで来て何も言わないのは変だと思い、取り合えず聞くことにした。
「テストどうだった?」
美麗はそれには答えず、小型媒体を僕に手渡した。
「えっっ…すごい…」
知らず知らずに叫んでしまった。
突き刺すような視線が痛い。
「ごめん…つい、大きな声を…」
美麗は何も言わずに窓の外に目をやった
。
全ての教科が90点以上のテストをしばらく見ていたが、美麗の机の上に置いた。
「後で見せたいものがあるから放課後に屋上に来て。」
何を考えて言っているのかわからない。
「え…ああ。分かった。」
一瞬迷う様な反応を見せ、何かを言いよどんでいるように見える。
「本当に私と会ったことないのよね…」
念を押すような言い方だった。
「ああ。」
「といえことは、あれはもっと後の松原強なのか…そうだとすると、あの時の犯人は誰なのかまだ分からない…いつか、分かる日が来るのだろうか…」
誰に言う訳でもなく呟いている感じだった。
もっと後の僕…
そして犯人?
なんの話をしている?
いくら考えても何の事か分からなかった。
一人で考えているところを邪魔してもいけないと思い、美麗から何気なく離れた。