表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/51

役割

「他に何か聞きたいことは?」


 美麗がそっけなく言う。


「僕の父さんとは会ったことあるのか?」

「ない。でも、私のことは知っていると思う。私は有名だから…」


 最後の方はまるで呟いているようだった。

 悲しみが美麗の表情に表れていた。

 有名なのはいい意味ではない…

 悪い何かがきっとあったんだ。

 だから多分狙われているんだ。

 そう直感したが、尋ねる気には、なれなかった。


 だから僕は話を変えることにした。


「僕がいてはいけないと思うか?」

「…思わない。この世界にいてはいけない人なんていない。何かをするためにみんないる。使命みたいなものがある。あなたにしか出来ないことをするためにいる。」

「僕の使命は何なんだろう?」

「きっとわかる日が来るよ。分かったら、精一杯果たすのね。普通は存在するはずじゃないあなたは、世界を変えるような役割があるのかもしれない。あなたは必要だわ。きっと…」


 励ましているのだろうか。

 いい聞かせるような穏やかな優しい口調だった。


「そろそろ帰るな。もう暗いし…」

「そうね…今度、TTOに連れていくわ。」

「え?なんで?」

「その方が安全だから。また来て…その時に話すから…」

「僕の家に来いよ。土曜日か日曜日の昼間に。」

「土、日の昼間?なぜ?」

「特製スパゲッティーを作るからさ…僕、料理得意なんだ。」


 美麗は少し驚いた顔をした。


「そう。あなたって…すぐに人と仲良くなれるような人なのね…」

「そうかな?」

「だってまだ会って3日だし…」

「そうだな…」

 

 普通に話せばそんなに怖くないと気付いた。


「再来週の土曜日…」


 美麗は呟くように言った。


「ああ。それじゃまた。」


 僕は手を振りながら道を歩く。

 帰り道は現実に引き戻され、何かから逃げるように走った。


 空にはいつもと変わらない星が輝いている。


「変わっているのは、宇宙全体で見たら、本当に小さいんだな」

 

 僕は独り言をポツリと、眼前の空に向かって言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ