狙われる
僕は帰り道で落ちてきたナイフを静かに机の上に置いた。
ナイフは窓からの日光を反射し、不気味にギラリと光った。
美麗は白い手袋をポケットから出すとそれをはめた。
そして慎重にナイフを手にとると鑑定士のような目で熱心に見ている。
少したった後、小さな機械を名刺入れが入っていたボックスから持ってくると僕の前に置いた。
その機械でナイフを撮影し、画面を見てい る。
美麗はしばらくそれに見入っていた。
「手を見せて」
僕は言われるがままに手を出した。
美麗はいきなり僕の手の写真を撮りだした。
僕は驚きながらも、何も言わずに美麗の手の動きを見つめる。
しばらくして機械を操作する手を止めると、難しい顔で僕を見た。
美麗は重い口を開いた。
「今、ナイフの指紋を確かめてみた。」
やっと写真を撮っていた意味を理解した。
普通は指紋判断機械は見ないから分からなかったのだ。
特殊な光を出し、その微妙な反射の変化から指紋を割り出す機械だ。
美麗が持っているものは多分、最新式のものだ。
「検出された指紋はあなたのだけだったわ」 「え?」
僕は最初、その言葉の意図しているところがわからなかった。
「だから、このナイフを落とした人は手袋をはめていたということになる。でも、部屋で普通手袋ははめない。だから、計画的な犯行ね。」
「そうみたいだな。」
僕はつぶやくように言った。
わざと落としたのだと予想していた。
しかし、少し期待してもいたのだ。
自分の思い過ごしなのだと。
だが、データーとしてつきつけられた今、期待は無惨に散りさった。
僕は信じられない真実が確かだと確信せざるおえないのだ。
そう、僕は確かに誰かに狙われているのだ、と。
ここしばらく更新出来なくてすみませんでした!
やるべきことは終わったので続き書いていきますね(〃'▽'〃)