TTO
リビングに通された。
家は生活感がなく、全て整理整頓されている。
美麗はキッチンに行き、コーヒーと角砂糖、ミルクを持ってくると、静かに机の上に置いた。
僕は角砂糖とミルクをたっぷり入れ、スプーンでぐるぐると長いこと回し、出来た渦を呆然と眺めていた。
「親は今いないのか?」
周りを見渡しながらふと思いついた質問を投げかける。
「いつもいない。私、独り暮らしだから。」
中学生の独り暮らしを始めてきいたから内心驚いた。
しかし、何か事情があってのことだろうと思ってそれ以上は聞かないことにした。
美麗はコーヒーに何も入れずにブラックで飲んでいる。
僕なんかミルクを相当入れないと苦くて飲めない。
お互い何も言わないと、やけにカップを置く音が耳についた。
「まず、私が何なのかだけど…」
いきなり僕の目を見据えると淡々と語りだした。
「私は、Time Traveler Organization略して、TTOの一員なの。」
意味が分からず、一瞬唖然としてしまった。
まだ英語の授業が始まったばかりの僕が英語の意味がわかるわけがない。
「ゴメン、どういうこと?」
「直訳すると、時間旅行者組合。」
横にあったメモ帳をとると、何かを書き、目の前に置いた。
Time=時間
Traveler=旅行者
Organization=組合
綺麗な文字でそう書いてある。
よくわからないが、タイムトラベルという言葉はSF本で出てくるものだ。
「未来に行けたり出来る人がいる団体なのか?」
半分冗談のつもりで言ったのだが、美麗は真剣にその言葉を受け止めた。
「そう、でも本みたいに楽しいことはない。」
美麗の声はどこか重い。
到底信じられる内容ではないが、美麗は真面目に言っているのだ。
再び長い静寂が訪れた。
窓の外ではヒヨドリが鳴いている。
雲がかかり、薄暗くなった空にかん高い鳴き声が響く。
なにか、良くないことがこれから起こるのではないかと思う感情がさらに乱れ、自分の体の中を、恐怖という電流が一直線に流れていった。
少しずつ美麗のことが明らかになってきましたが、いかがでしたでしょうか?
評価、感想、心からお待ちしております(*⌒▽⌒*)
これからもTime Limitをよろしくお願いいたします( ´艸`)