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お静かに願います

やあ皆さん。覚えてますか、常盤春人です。

亡霊と一緒に住んでるあの常盤春人です。あやふやな理由で引き入れてしまった俺です。


今は友人たちと一緒に昼飯を食い終わって授業の真っ最中です。この授業が終わったら晴れて亡霊同居生活の一日目を終えて家に帰り着くことができます。が、しかし家に帰り着いたところで彼ら二人は付いてくるわけでどうしようもないんだけどね、くそう。とか余計なこと考えてないで授業に集中しろって感じですよねすいません。

いやその集中したいのは山々なんですけどね、ちょっと


「はるひとくんみてーひこうきぐもー」


窓の外を指差してるのが一人、何をするわけでもなくこっち見てんのが一人。


はっきり言って、邪魔。



ヘルプメッセージ第三話

お静かに願います



「ほらほら、かわいーよはるひとくんー」

はいはい可愛いのはわかったから俺の頭叩くのやめて痛い痛い、何で亡霊に手の感触があるんだろうか。

そこは透けとけよって思うんだけど。


「透かそうとすればできるよ?気分だけどね」

突然話しだしたメガネ野郎に思わず体が小さく跳ね上がる。いきなりなんだよこの野郎心臓に悪い。

「いや、ごめんごめん。そんなに驚くと思わなかったなぁ」

ヘラヘラ笑顔で言われても謝られてる感じしないわ遊んでんなこのちくしょう。だいたいコイツはいっつもヘラヘラしてなんかこっちからかってくるし、ハライソの方が幾分か可愛いわ。

「そんなに怒らないでよ。ほら心底悪いと思ってるから、ね?ね?」

俺の机の上に上半身乗せてきたかと思ったら眼鏡したにずらして上目遣いしてきやがってもう、お前は女優か

そんで無駄に顔が女顔で綺麗だから余計腹立つ、早くどけ。

手でどかすわけにもいかないから取り敢えず息吹きかけとく。


「なにやってんのお前」

隣の席の知り合いがこそこそっと不思議そうな顔で見てくるので

「なんでもない」

とごまかしついでに変顔をしておいた。

それを見た隣の奴が思い切り吹き出すもんだからそれなりに大きな音が教室にこだまして。おっこれはやばい、先生にばれ


「おーい今吹いたの誰だー」

教卓の方から低い声がするぼさぼさというかもっさあとした髪を引っ掻き回しながら先生、我らが担任であり国語科教師の櫛方先生。授業中に騒ぐと怒られるっつーか面倒くさいことになるんだよな

「先生今面白い話してないよなー、先生今真面目に授業してたよな、なあ!」

まくし立てるような口調で先生が隣の奴に詰め寄ってくる、うわ怖い。

隣の奴ももうびびりまくってはい!誠にその節は申し訳ないと思いまして、とか言ってる

もう先生はそんな事気にせずに奴の耳元でこそっと

「あんまり先生に苦労かけないでくれよ?な?」

と囁いて授業に戻った。相変わらず怖い怖い、隣の奴には悪いことしたから後でなんかおごろう。


「わーこわーい」

いつの間にか飛行機雲鑑賞から戻ってきていたハライソが隣にいた。

「ホントだねーありえなーい」

その逆隣に迷い家。お前のせいなんだよ元々は

「あのせんせ、ずっとあれなの?」

不思議そうな顔でこちらを見上げてくるハライソ、そうだよーあの先生はねーヤンデレの櫛方と呼ばれてて

喋り方のねっとり感と目元のもの凄いクマと持ち前の恐ろしさでそう思われてるだけかもわかんないけど。

「何考えてるかわかんない感じ?」

全ての元凶がこちらをチラチラ見てくる。そりゃ分かんねえよ、見りゃわかんねえか。

「ね、ちょっとあの人の個人情報あさってみない?」

きりっとした顔でとんでもない提案をしてくる、いきなり何を言って来るんだこいつ

「ほら、どうせ暇でしょ?ならせっかくだし体温計、貯めとこうよ」

しかしながらそれは犯罪だろう?そんな法に触れるような事まではさすがにしねえよ。

「ちょっとだけ、ほんのちょっと。ね?犯罪にならないレヴェルの、ね?」

犯罪にならないレヴェルってどのくらいよ、人のことに深入りするのはよくないだろう。

「じゃあ、趣味!趣味だけでいいから!」

なんでお前が躍起になってんだよ、落ち着け。わかった、趣味だけだぞ、趣味だけ。

「そうこなくっちゃ」

急に機嫌を良くした迷い家が急にふわりと浮遊したかと思うと先生の方を見、そしてポケットからメモ帳を取り出して

「櫛方美咲、二十六歳、男性」

と先生の名前と年齢を言い当てる。性別はわかるとしてすごいな、それ。個人情報を言い当てるメモ帳?しょぼいけどまたファンタジーな

「いや、これはただの雰囲気作り。なくてもできるよ」

演出なのかよ

「で、これがあの先生の趣味っと。映画鑑賞にpc鑑賞に、何か面白いのないかな」

映画とか見るんだ、意外と普通。俺にもそれ見せてよ

「えー春人君は見たくないんじゃないのー?俺は君に許可とりたかっただけだから見せる義理はないかな」

相変わらずムカつくこと言いやがるこのやろう。迷い家は俺のことなんかお構いなしにペラペラとメモ帳をめくり

終いにはハライソを呼んで二人で読み始めやがった。ちょっとお前らいい加減に


「おや?これは」

「なになにー」

ヘラヘラ笑ってる迷い家が急に眉をひそめた。そんでもって俺の方をチラチラ見てくる。なんだよ!

「いやはや、これは言ってもいいものかー、ねー?」

「んー?」

ハライソは分かってないみたいだけど、迷い家は明らかに何かを隠している。思わせぶりな態度が癪に障る。

あの先生の意外な趣味が?なんだ、裁縫とかか?そこで止められると余計に気になる。

「仕方ないな。ほら自分で見てごらん」

ぽん、と目の前にメモ帳を放り出してくる。開かれたページに目をやってみる。

なるほど、映画鑑賞pc鑑賞それにラーメン屋巡りに、結構多いな。

えーとメモ管理、人間観察。夜道歩きにストーカーっと。


すとーかー?


「その他にも監視カメラの設置に手紙書き。どうやらヤンデレの櫛方の通り名は相応しかったようだね?」

ちょちょちょちょっと待ってマジかよ、いや内心やっててもおかしくないんじゃないのって思ったけど。

うはーまじか。いや警察に通報するとかじゃなくて。てか証拠ないからできないし、それよりも先生とこの先どうやって付き合っていけば。


「常盤」

うはーどうしよう、これはたまったもんじゃ

「常盤」

先生、やっていい事といけないことが先生。

「常盤!」

「は、はい!」

慌てすぎて変な声出た

「どーして先生の声聞いてないのかな?授業聞いてくれてなかったのかなぁ!」




「いいかい春人君。人間には必ずしも裏の顔があるんだよ。まああの先生は裏ってほどでもなかったけどね」

「ねー」






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