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七転八倒逃避論

皆さんこんにちは、常盤春人です。

昨日なんやかんやありまくりまして俺は亡霊と暮らすことになりましたこんちくしょう。


俺は今自分の布団の中で朝を待っています。このまま目が覚めたら昨日のことが全部嘘で、俺に彼女がいたらいいんだけどなぁ。うん、昨日の告白がうまくいって当日にいきなり同居しようなんてことになってさーそんで目ぇ覚めたら彼女が味噌汁作ってんの。いいねー理想だねー、だからいちにのさんで目を開けよう。

きっと昨日のことは全部夢だったに違いない。いくよ?いくぞ!


いちにのさん、はい!


目を開けた俺の目に映ったのは


「おはよう、よくねむれたかな」

「いい夢は、見れたかなぁ?」


満面の笑みの天使とニヤケ顔の悪魔。

世の中そううまくはいかない



ヘルプメッセージ

第二話 七転八倒逃避論



ため息が出るよ、もうっ。



「やぁやぁ春人君、おはよう」

「おはよう、ございます」


なんで低姿勢なんだろう


「相変わらずシケた顔だこと」

「生まれつきそうなんだっつの、ほっとけ」

「かわいそ」

「おだまり」


なんで朝っぱらからコントみたいなことしてんだろ


「まぁまぁ、そうかっかしないで。ちょっとこれを見てみてよ」


ケラケラ笑いながら俺を押しのけたメガネ、迷い家は突然水銀式の体温計みたいなものを差し出した。


「何ぞこれ」


迷い家は待ってましたとばかりにメガネをくいっとあげ、ニヤリと笑った。

笑ったっつってもこいつは常ににやけてるため判断は難しい、と思う。


「これは君のわるいことを図る感じのもの」

「はっきりしねぇな」

「まぁまぁ、昨日徹夜で作ったんだから褒めて欲しいくらいだよ」

「即席かよ」

「えっ、ぼくしらない」

「相方置いてかれてんぞ」

「一人で作ったからね。ま、軽く説明すると普通の人はこれで言うところの36.5度が平均だから、とりあえずそこまでやってみようか」


迷い家は体温計をぶんぶんと振り回していた体温計を俺に渡して


「肌身離さず持っててね」


と語尾にハートマークが付きそうな勢いで言った。これが可愛い女の子ならなぁ、なんて。

善人ではあるかもしれないけど人並みには女の子に興味あるから!勘違いしないでよね!


「そんなことよりそろそろはちじにじゅっぷん(八時二十分)だけど、だいじょうぶかなぁ?」


俺らの話を無視してふよふよしてるなーって思っていたハライソが黒い天使の輪をふわふわさせながら目覚まし時計を指差して心配そうにこっち見てる。このゆるふわ愛され系薬中ボーイめって


「うはっまじかよ」


驚きすぎてなんか変な声出ちゃった恥ずかしいじゃなくて!

やばいよこれは、学校八時半からだよ間に合うか?間に合わねえよ、寝巻きだよ!平日このやろう




学校いかなきゃとりあえず


「着替えるからお前らちょっと出てろ!」


亡霊二人を部屋から追い出し、着替えに入る。頑張れば三分で支度できるけど、こっから学校一時間半あるんだけどなんでこんなことに。絶対間に合わない、これは人生初遅刻だよこれは、なんでこんなへんぴな時間に

普通に泣き疲れて寝てたら寝過ごしたパターンですよねすいません


「春人クーン同性なんだから追い出す必要なくなーい」

「はるひとくんのすけべー」


ドアを叩かないで!スケベはどっちだよ、クソ、日曜日に告白なんかするんじゃなかった


突如ドアを勢いよく開いた俺は清々しい顔で


「遅刻確定だ!もう!」


と叫んでいた


「あれーはるひとくんちこくすんのー?」


天使系薬中が俺の顔を覗き込んでくる


「遅刻すんのー!」

「なんとかできるかもー」


と迷い家と顔を見合わせる


「仕方ないなぁ春人くんは」

やれやれといった感じでメガネを上げる迷い家、いらっとする。

しかしながら今の俺に余裕とかなくて


「なんとか、できるか?」

刻一刻と迫る時間


「ま、春人くんのおりいってのお願いとあっちゃ、ねぇ」


と、俺の手を掴んでくる


「じゃ、つかまってて?ほらハーちゃんもこっち」


ハライソも近寄ってきたところで


「いくよーせーの」


三人で輪になって手をつないでこれは

もしかしてかごめかごめ


この体制からすると回るんじゃないかとおもったらその体制のまんま二人が


「せーの」


と一回ジャンプした。テレビかよ


そして地面に着地。ふと前を見てみると



「学校」


すげー亡霊パワーすげー


「ほら急ぎなよはーるひーと君」


とんっと肩を押される。そうだ、急がないと。

時計を見る。あと三分、教室まで走るぞ!



数時間後、教室に響く授業終わりのチャイムの音


「やっと、終わった」


あのあと俺は全力疾走で教室へと走り、残り30秒でなんとか間に合わせた。

奇跡的に忘れ物もなく、難なく授業を受けて今昼飯を喰わんとしている。


あの二人には感謝している。あんな力があるとは思わなんだ。

なかなか使えるじゃあないかと思うんだが。


「はるひとくんもーかえるー?」


「いやぁ、お昼ご飯食べるでしょう」


授業中もずっとふよふよされると、ちょっとなぁ。


取り敢えず小声で


「ほっといてよ」


とか言ってみたり。


「それはできないなぁ」


こいつ、直接脳内に...!


「ふふん、亡霊ちゃんはテレパシーも使えるのです。それはさて置き」


さて置ける内容じゃねーよおい黒メガネ、おい


「先ほどの遅刻寸前のワープにより温度計が一度あがりましたおめっと!」


えっ


「学校にワープするのはずるをする、つまり怠惰ってこと」


ちょいまち、俺がわかるように説明してくれ


「説明してなかったっけ?少しファンシーな話になるけど、あの体温計はあれ。七つの大罪って知ってる?

憤怒、怠惰、傲慢、強情、嫉妬、虚飾、色欲ってやつ。悪いことが具体的に何かわかりづらいと思ったからそれに沿って作ってみたんだよね」


長い説明を言い切ってメガネを上げてドヤ顔する迷い家。なんかよくわからないけどすごいことはわかった


迷い家すげえ


「ま、原案はその子なんだよね」


と、ハライソを指差す。ハライソは相変わらずえへへ、と口元が緩みっぱなしだ。

しかしながら迷い家の仲間だからそれなりに凄いん...だろう


「おーい常磐ー昼飯食おうぜー」


同級生の声が一気に現実に引き戻してくる。


「行っておいで」

「がんばれー」


二人に笑顔で見送られ、俺は適当に返事をして同級生と購買に行くことにした。


「ちなみに体温計は君の家から頂戴しました」


あ、なんか見覚えあんなと思ったら


帰りに体温計買わなきゃ

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