エピローグ
平日の学校。純恋は廊下を歩いていた。まだあの日、夏梅に言われたことが頭から離れてなかった。
「他の人に見せたいって・・・」
それって私のことが好きだからか、と考えながら歩いている最中
「純恋先輩ぃ〜!」
背後から百愛の声が聞こえてきた。百愛は純恋の右肩に手を上げた。しかし純恋は百愛の気配に気づかずにぼーっと立ち尽くしていた。
「先輩? もしもし、先輩聞こえるっすか」
「・・・ん? 百愛ちゃん」
百愛の呼びかけに、純恋は「あ」と我に帰った。
「いつの間に来てた?」
「さっきからです。先輩先週のデートどうでした。告白しました?」
「いいや」
純恋はおもむろに顔を振った。すると百愛は目を丸くした。
「どうしてですか。メークまでして告白しないなんて、もったいないですよ」
「いや、実はデート自体ができなかった。夏梅が風邪に引いちゃって」
百愛は「あー」と納得した。
「それなら仕方なかったんですね。でもまだ次があるから、次をうっす」
「うん」
「ああ、でもやっぱり勿体無い。せっかく気合い入れてメークしたのに」
百愛は悔しげに足を踏み鳴らした。
「で、でも告白っぽいな言葉を言われた」
「え、本当ですか。ってなんて言われました」
「他の人に見せたくないんだって。私のメークした姿」
そう言う純恋の両頬が少し赤くなった。
「あの小林先輩があんなこと言ったんですか? 本当に?!」
「そう。百愛ちゃんはどう思う? これ告白だよね? ありだよね」
「小林先輩なら絶対ありっすよ!」
「だよね?」
「もうちょい待てば告白されるパターンっすよ。これ」
「えぇ、そう? どうしよう。なんと答えればいい」
純恋は満面に笑みを浮かべていた。純恋と両頬は手を握り合って飛び跳ねた。そしてそれを廊下の向こうから見た夏梅は呆れた顔を浮かべた。
「あいつらなんであんなにはしゃいでんだ」
わけのわからない状況に、夏梅は顔を振りながらその場を去った。




