第十二話 初デート(12)
家に帰った純恋は台所に立ち尽くしていた。
「薬を飲ませる前にご飯を食べさえないといけないけど」
純恋はガスコンロの上の鍋を見て顔を傾げた。
「お粥ってどうやって作るんだろう」
実は純恋はたった一度もお粥を作ったことがなかった。それどころが、あまり料理を作ったことがなかった。
「お粥って結局お米で作るもんだから、まずはお米」
純恋は前もって出しておいたお米を鍋に入れた。
「あとは水を入れて・・・お粥だからご飯よりもっと入ればいいのかな」
純恋は顔をかしげながら水を入れた。そしてガスコロンの火をつけた。
「このまま待てばお粥になるのかな。案外簡単だね」
ちゃんとできたと思った純恋は自分のことが偉いと言わんばかりに満面に笑みを浮かべた。
「よし、じゃできるまで本でも読んでいよう。
純恋はテーブルに置いた鞄から本一冊を取り出した。そしてテーブルの椅子に座って本を読み始めた。
それから何分過ぎただろうか、鍋から蒸気が出始めた。純恋は読んでいた本を閉じてガスコロンの前に行った。
「ちゃんとできたのか」
純恋は鍋の取っ手を鍋つかみで掴んで鍋を開けた。するとものすごい蒸気が噴き出してきた。純恋は少し体を後に引いて蒸気を避けた。しばらくあと、ある程度蒸気の勢いが弱まった。純恋は顔を出して鍋の中を覗いた。水気をたっぷり含んだご飯は真っ白でとても美味しそうだった。
「うわぁ、すごく美味しそう。うまくでき・・・ってか、私今お粥作ってるだろ!』
一瞬自分が何を作っていたのか忘れていた。これじゃ美味しいご飯で、お粥ではなかった。
純恋は顎に手を当てて考え込んだ。
「ふむ、どうすればいいんだろう」
ご飯をお粥に作る方法など知らなかった。
「お粥には水があるから・・・そう、水を入ればいい!」
純恋は「これだ」と閃いて手を叩いだ。そしてコップに水を注いでそのまま鍋に入れた。
「火をつけて、このまま煮れば」
純恋はスプーンを一つ持ってきて鍋をかき混ぜ始めた。数分後、ご飯はドロドロになり、結構お粥っぽいな感じになった。
「よし、ちゃんとできた。味わって味見してみるか」
純恋は一口すくって口に運んだ。
「っ、熱っ」
純恋はフーフーと口の中で冷やしてなんとかお粥を飲み込んだ。
「うむ、なんか少し味が薄いいたいけど」
純恋は腕を組み目を瞑ってじっと考え込んだ。
何を入れば・・・あ!
何か思いついたのか、純恋は引き出しを開けた。引き出しの中には、様々な調味料がしまっていた。純恋はその中からある瓶一つ取り出した。
「塩を入ればきっと足りない部分を補ってくれる」
純恋は瓶を振ってお粥に塩を入れた。一回、二回、三回、純恋は止まらず次々と塩を入れ続けた。
「なかなか出てこない。でも、この程度でいいだろう」
どれくらい入れたかわからないけど、この程度なら十分だと純恋は思った。純恋はお粥を食器に入れた。そして薬と一緒にトレーに乗せた。純恋はテーブルに置いた本を手にし、トレーを持った。
「よいっしょ」
純恋はトレーを持って夏梅の部屋に入った。
夏梅はまだ寝ていた。純恋は机にトレーを置きベッドの横に座った。ぐっすり寝ている夏梅の顔が最初より少し楽に見えた。純恋は手を伸ばして熱を測ってみた。
「まだ熱があるみたい」
純恋はおでこのタオルを新しいもので取り替えた。
「よし。タオルも取り替えたし、本でも読もっか」
純恋はハンカチで手を拭いて本を開いた。そして夏梅が起きるまで静かに読書を始めた。




