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第十一話 初デート(11)

 メイクしてもらってから少し後。純恋は待ち合わせした場所で夏梅を待っていた。


「夏梅遅いね」


 もう数十分がすぎたのに、夏梅の姿はどこにも見えなかった。電話でもしてみようか、と思って純恋は携帯を取り出した。そして夏梅に電話をかけたが、着信音を鳴らすだけだった。


「出ないね。何かあるのかな」


 ミリネは携帯を閉じてバックにしまった。


「まさかまだ寝てるのでは!?」


 あり得ないとは思うけど相手が夏梅だったため、100パーセントとは言い切れなかった。


「一応家に行ってみるか」


 そう決めた純恋は夏梅の家に足を運んだ。

 しばらくして純恋は夏梅の家の前に着いた。純恋は玄関のベルを鳴らした。しかし家は静かだった。


「誰もいないのかな」


 純恋はもう一度ベルを鳴らしたが、今回も結果は同じだった。


「夏梅、私だよ。純恋。今中にいるの?」


 純恋は少し大声で夏梅を呼んでみた。けど、返ってきたのは静寂だけだった。


「どうしよう。鍵がかかってて中にも入らな、あれ? 開いてるね」


 鍵がかかっていたと思ったドアが開いていた。


「これ、入ってもいいかな」


 夏梅の家に入るのは初めてではないけど、こうやって家族の許可なしに入るのは初めてだった。


「うう・・・どうしよう」


 純恋は眉間に皺を寄せて悩んだ。そしてその結果。


「入ろう。夏梅に何かあったのかもしれないから」


 と決めた純恋はドアを開いた。そして玄関に靴を脱ぎながら言った。


「お邪魔します。純恋ですけど、誰もいませんか」


 純恋の声に静寂だけが返ってきた。流石におかしいと思った純恋は家の中に上がった。


「誰もいませんか。おばあさん? 楓ちゃん? おかしいね」


 純恋は静かな家の中を歩きついに居間に入った。


「夏梅〜、あんたどっこに、うわああぁっ」


 居間で何かを見た純恋はびっくり仰天した。誰もいないと思った居間に人が一人倒れていたからだった。


「なっ、なになに。この人誰・・・え、ちょっと、夏梅?!」


 その顔は間違いなく夏梅だった。純恋は倒れている夏梅に近寄った。


「夏梅大丈夫? なんでこんなところで」


 純恋は夏梅の肩を叩いてみた。だが、夏梅はなんの反応もなかった。純恋は夏梅のおでこに手を当ててみた。


「熱い」


 夏梅のおでこは異常に熱かった。どうやら風邪に引いたようだった。


「どうしよう。これ。・・・まずはベッドに」


 純恋は夏梅をなんとか立ち上がらせた。夏梅の肩を自分の肩に回して彼の部屋に向かって一歩ずつ歩いていった。流石に男の子で純恋一人で運ぶには結構重かった。でも純恋は力を振り絞ってなんとか、夏梅をベッドに寝かせた。純恋は額ににじんだ汗を拭きながら深く息を吐いた。


「ふぅ、重かった。流石に男だね」


 そう呟いて純恋はぐっすり寝ている夏梅をじっと見下ろした。熱が酷いせいか、息が荒くて眉間に皺を寄せていた。


「・・・あ、こうしてる場合じゃない。冷やしタオルを持ってこよう」


 純恋は慌てて部屋を出た。しばらくして純恋はタオルと水の入った器を持って部屋に戻った。


「勝手に使ってもいいかな」


 他人の家で勝手に使うのは礼儀ではないけど、多分今の状況を見たらきっとおばさんも許してくれるはずだった。


「これをこうやって」


 純恋はタオルを水につけた。そして水がポタポタ落ちるタオルを絞った。するとタオルの水が滴り落ちた。純恋はそのタオルを夏梅の額の上に乗せた。


「これでいいかな」


 少し自信のない言い方だった。実は誰かを看護するのはこれが最初だった。そのため、今ちゃんとしているのか少し自信なかった。


「とりあえず薬を買ってこよう」


 このような時には医学の力を借りるのが一番だった。夏梅を一人置くのは少し不安だけど、さっさと行ってくると問題ないはずだった。

 純恋は鞄を机に置いて財布を取り出した。そして家から出て近所の薬店に向かった。しばらくして薬店に入った純恋はすぐ薬剤師に駆けつけた。


「か、風邪に、いいぉ、薬を」


 純恋は走ったせいで息切れしていた。そのためちゃんと言葉が出てこなかった。


「風邪にいい薬ですか。ではこれを」


 幸いに純恋の言葉を聞き取った薬剤師は、薬を一つ出して見せた。


「い、いくらですか」

「五百円です」


 純恋は財布から五百円の取り出して薬剤師に手渡した。そして薬を持って出ようとした瞬間、突然薬剤師が言った。


「あの薬、食後に飲んでください」

「食後、ですか」


 食後という単語に純恋の足は止め、そのまま固まってしまった。

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