第四話 初デート(4)
戸惑ったのは俺だけじゃなかった。声をかけられた向こうの女子の方もずいぶん戸惑った様子だった。
「どうして私に声を」
「す、すいません。知り合いだと思って」
俺はすぐ謝った。俺は周囲を見回して純恋を探した。
人混みに流されて純恋と離れちゃった。
俺ここ詳しくないのに。
「あいつ一体どこに行ったんだ」
どこにも純恋の姿は見えなかった。しかも、人が多くて周りがよく見えなかった。
とりあえず人がいないところへ行こう。
と思って俺はとりあえずこの人混みから離れろうと思った。人混みに流され歩いていると、やがて狭い通路を出て、ようやく人が少ない場所に辿り着いた。
そこで通路から出てくる人たちの中で純恋を探そうとした。だが、人が全員出ても純恋の姿は見つかれなかった。
「マジどこ行ったんだ、純恋」
俺はポケットからスマホを取り出した。純恋に電話をかけて「どこにいるか」と聞くつもりだった。しかし連絡先を探した最中、突然スマホの画面が暗くなった。
「え、突然なにッ!」
俺は慌てて何度もサイドボタンを押してみた。しかしスマホの画面は真っ暗のままだった。もしかして電源が切れたのかと思って長押ししてみた。すると暗い画面の真ん中に充電切れのマークが現れた。
「え、俺充電してなかったっけ」
そういえば、昨日ベッドでそのままねむちゃってスマホの充電してなかった。
「まさかこの状況・・・俺迷子になった?!」
いやいや迷子と言うには歳が多いから、それは違うか。
「そんなことよりマジでどうするんだ、これ。モバイルバッテリーも持ってないのに」
スマホがこんなもんじゃ純恋と連絡手段はなかった。
この辺りを歩き回って探してみるかとも思ったが、ここに詳しくないから下手したら道に迷う可能性もあったため、すぐやめた。
「迷子センター・・・いやいや、それは違うだろ」
俺は頭を左右に振った。
ほんの一瞬迷子センターで放送してもらおうかと思った。だが、流石にそれは恥ずかしい。確実に純恋を見つけるだろうが、大人としての尊厳は失いそう。
「結局ここでじっと待つしかないか」
俺はもう使いもないスマホをポケットに入れてじっと待つことにした。
五分ほど過ぎたんだろうか、急に腹がぐぅーっと鳴った。
「あ、腹減った」
そういえば今日お昼食べなかった。お風呂から出た時はもう一時を過ぎていたので、ご飯食べる暇がなかった。いや、お昼だけじゃなく、昨日夕飯から何も食べてなかった。そのため、今俺の腹は栄養分を出せっと喚き声を上げていた。
「ここ食堂とかないか」
腹が減って目がくるくる回ったが、食べ物を探す執念で俺は周りを見回った。
もし純恋が俺を探しにここにくるかもしれないからこの辺で探さないと。
幸いに近いところでカフェ?食堂?よくわからないけど、とにかく食べ物を売るような店を見つけた。俺は何の躊躇なくそこへ向かった。
その店の正体は水族館内のカフェだった。メニューなんか多かったが、今それをゆっくり読んでる場合じゃなかった。俺は真っ先に目に入ったメニューを頼んだ。
「サンドイッチ一つお願いします」
たとえ俺が純恋と離れてしまって迷子っぽくなったが、俺は普通の迷子と違ってお金を持っている大人迷子だった。腹減ってもこんなサンドイッチくらい余裕で買える。
「550円です」
「あ、はい」
俺はお会計のためにポケットからスマホを取り出した。そして会計をしようとスマホの持つ手を伸ばした瞬間、スマホの電源が切れたことがふっと思い出した。
え、これじゃ会計は・・・
普段スマホで会計するから、財布も持ち歩かなかった。
「お客様、お会計は」
「あの、申し訳ないです。注文キャンセルしてください」
「はい? はい・・・わかりました」
俺は当惑した店員さんを後にしてカフェを出た。俺は適当に座る場所を探してそこに座った。ここから水槽がよく見えて絶景だったが、そんなの今目に入らなかった。
「これじゃマジで迷子と同じだろ」
最悪だ。腹は減ったし、お金は使えないし、純恋に会いたいけどどこへ行けばいいかわからないし、どうすればいいか全然わからな買った。
「マジで純恋はどこにいるんだ」
なんか保護者を待つ迷子みたいで、嫌気がした。
「とりあえず落ち着いて考えてみよう。純恋はいそうな場所を」
いつまでここでへこんで待ってるわけにはいけないから。道に迷ってもとりあえず歩き回って探してみよう。
「まずは純恋の好きな魚のところに行ってみるか」
って純恋の好きな魚ってなんだっけ。昔聞いたことあると思うけど。
『ごめん、俺のせいで・・・・・・』
『いいんだって。今後一緒に・・・・・・』
腕を組んで考え込んでいた最中、昔純恋とのやり取りが思い出した。
俺はゆっくりと立ち上がった。
「一度行ってみるか」
心当たりの場所へ足を運んだ。
純恋がそこにいるかどうかわからないが、なんとなくそこにいそうな気がした。
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