第十三話 モーニングコール(3)
「なんでここでエラーが発生するんだろう」
俺は顎に手をやったままモニターをぼーっと見つめていた。
何度考えても原因がわからない。一体何が原因でエラーが発生するだろう。エラーを発生させるようなコードはないのに。
「ここを書き直せばぁ。いや、これは問題ない」
ああ、考えすぎて頭がぼーっとした。
一体どうすればエラーをなくせるんだろう。
考えば考えるほどため息が出た。
「先輩」
その時、田中くんが声をかけてきた。俺は彼に顔を向けた。
「食事に行きませんか」
「ん?」
田中くんの問いかけに、俺はモニターに目を向けた。時刻を確認すると、いつの間にか時刻は十二時を超えていた。
「もう昼休みか」
エラーのことで昼休みになったことにも気づかなかった。
まずはご飯食べようか。
今どんなに考えても無駄な気がした。どうせ今解決できないのなら、ひとまず休憩を取ってからやるのが良いと思った。
俺はスマホを持って席から立った。すると田中くんは言った。
「先輩今日は一緒に食べませんか。久しいぶりに先輩と一緒に食」
「やだ」
俺は田中くんの言葉が終わる前に即断った。
「今日は一人で食べたい。今度一緒に食べよう」
「前にそう言いましたよ。その今度って一体いつ来るんですか」
「まあ永遠に来ないかも」
「それはひどいですね」
田中くんの言葉に、俺は笑い流した。しょんぼりしている後輩を後にして、俺は事務室を出た。
俺はいつものように会社の前のマックにに行った。昼にはセールをして昼飯はほとんどハンバーガーで済ませる。
俺はマックに入ってビックマックとナゲットを頼んだ。そして少し待ってトレーをもらって中に入った。幸いにすぐ空き席を見つけてそこに座った。
俺はイヤホンをつけ、ユーチューブを開いた。そして適当に面白そうな動画を再生してビックマックの包み紙をはがした。ユーチューブを見ながら食事を始めた。
ハンバーガーを一口食べてフライポテトを食べる。
やっぱりマックのフライポテト美味しい。
このマックのフライポテトのしょっぱさが俺は好きだった。もっと食べようと思って手を伸ばした時、スマホの画面上部に通知が一つ来た。今回も純恋からの連絡だった。
『今お昼休みでしょ?』
『何食べてるの』
『ちなみに私のメニューはこれ』
メッセージと一緒にきた写真にはご飯と肉じゃがをはじめとしたおかずのありふれた食卓が映っていた。
『家で適当に食べてる』
『夏梅は何食べてる?』
純恋の問いに、俺はティッシュで手を拭いて返信を送った。
『ハンバーガー』
写真はまあ送る必要ないだろう。と思って写真は送らなかった。絶対写真撮るのが面倒くさいわけではなかった。
そうしてしばらく後、純恋から返信がきた。
『そっか』
『ハンバーガーいいね』
『私も食べたくなっちゃった』
それを最後に純恋から連絡が途切れた。
俺はもう来ないだろう、と思ってハンバーガーを食べようとした瞬間、純恋からまたメールが来た。
『今日の仕事な時まで?』
『多分六時』
『六時?』
『じゃあ仕事終わりに会おう』
は? それはちょっと・・・。
今日は金曜日だから、仕事終わったらすぐ帰ってゲームで夜更かしする予定だった。だが、純恋の言うことだから聞いてやろう。
『わかった』『どこで会う?』
『やったああああ』
『会社の住所教えてね』
『近くで待つから』
『わかった』
俺はマップに会社の住所をコピーして純恋に送った。
『え、家から近い』
『じゃあ後で会おう』
『うん』
それを最後に俺たちの連絡は終わった。もう返信が来ないのを確認した俺は、ユーチューブを開いた。またユーチューブを見ながら食事を再開した。
******
時間は流れ、いつの間にか日が暮れ窓の外は暗くなってきた。俺は席に座ってぼーっとモニターを見ながら小声で呟いた。
「どうしよう。これ六時まで終われるかな」
まだ六時になったわけではないが、まだ仕事は終わっていなかった。
「これ定時に帰れるかな」
まだコードの作成が終わってなかったので、定時に帰られなさそうだった。
「まさかエラーが発生するとは」
コードは全部書いたが、エラーの原因を探して書き直さないといけなかった。しかし何回見直してもエラーの原因はわからないし、どこが問題なのか見当もつかない。こうなると時間がどれだけかかるかわからな買った。
「これ残業になりそうだな」
「残業」という二文字に心がイライラした。もうすぐ六時なのに帰られないなんて。今日は純恋との約束もあるのに・・・。
なるべく六時まで終われるように頑張るつもりだが、正直にできなさそう。
「一旦純恋に連絡送っておこう」
俺はモニターの前に置いておいたスマホを手に持って、純恋にメールを送った。
『ごめん』
『遅くなりそう』
『いつ終わるかわからないから』
『先に帰って』
今回はすぐ返信は来なかった。俺はスマホを机の上に置き、またぼーっとモニターに目を向けた。
「何が原因かな。なんでエラーが」
原因を探していた中、スマホが震えた。純恋からの連絡だとわかっていた俺はすぐ手を伸ばした。
『大丈夫』
『終わるまで待つ』
『終わったりここにきて』
純恋はあるカフェーの住所を送った。
「別に待たなくてもいいのに」
俺は小声で呟いた。
どれだけ待たせるかわからないから、「帰って」って言ってたのに。それでも待つなんて。
「純恋らしい」
そう呟きながら俺は返信を送った。
『わかった』
そして画面を消し、モニターに目を向けた。
早く終わらせよう
俺を待ってる純恋のためにも、早く終わらせるべきだった。
俺はさっきよりさらに真剣にモニターの中のコードを隅から隅まで見直し始めた。
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