戦う ~渡辺 進vs桐島 剛~ ④
【三人称視点】
進「神よ、氷で私の腕を武器と化して下さい! 《コオリアームブレイド》!」
剛「っ!?」
《コオリアームブレイド》。進の右腕を氷で覆い、その形が剣となっている。
桐島は思わず目を見開く。こんな技を、小説を書いてる時に思いつかなかったからだ。
(ちなみに正確には腕全体ではなく、肘部分から氷が伸びている)
壮真「あれは……!」
修也「渡辺の……武器……」(かっこいい……)
剛「……成程。そう簡単には勝たせてくれないか。」
進「……はぁ!」
剛「……はあぁ!」
進の仮面越しの雄叫びと共に、戦いが幕を上げた。
まず桐島は、指先から電撃を何発も撃つ。
それを……
進「ふっ!」
躱せるものは躱し、躱しきれないものは剣で切り裂いた。
進も負けじと左手を銃の形にし、《コオリショット》を足に目掛けて撃った。
桐島は一発目を貰うが、二発目以降は躱し続けた。
剛「……もう無詠唱でできるのか、そのくらいは。」
互いに中距離から魔法を撃っては避け、動きながら撃つといった攻防が続く。
命中率は……進の方が高い。しかし桐島はそのほとんどを剣で弾いた。
進の方は、電気の魔法であるが故、当たった時のダメージが大きい。腹に当たり、痺れてしまう。
その隙を桐島は逃さず、剣を構え進へと近づいた。
進「神よ、吹雪で相手の視界を悪くしてください!《コオリブリザード》!」
剛「!?」
進は近づいてくる剛に小さな吹雪を喰らわせ、ダメージと共に視界を奪う。
剛「はあぁ!」
吹雪は桐島の炎魔法によって相殺された。
進の痺れも解かれ、互いに剣が届く程の間合いに入る。
奈珠波「……互角?」
昇「いや、動きは桐島の方が良い。よく見ろ。」
次に二人は剣をぶつけ合った。
進の剣は、ことごとく弾かれている。
対して桐島の剣は、一度防ぎきれず、進は左肩に切り傷を負った。
それ以降、進は桐島の剣を避けながら隙を突く、いわば”ヒット&アウェイ”戦法に切り替えた。
それでも、攻撃は弾かれるか躱されてしまう。
昇「あいつは、剣道か何かしていたのか?渡辺に比べて、動きが素人ではない。」
奈珠波「……??」
進「……はあ!」
進は隙を見て、《コオリマシンガン》を桐島のズボンに撃った。
ダメージは少ないが、桐島のズボンがびしょ濡れになり、動きが鈍くなる。
それを見て進は斬ろうとしたが……
剛「……危ねっ!?」
桐島はギリギリで躱し、逆に電気魔法を使い進を麻痺させ、距離を取った。
壮真「そういえば、桐島さんは以前こんなことを言ってました。”昔友人をノリでいじめてたけど、皆がいじめてる理由が分かった後はいじめをやめて友人になり、その友人を守るために色々とスポーツを始めて強くなろうとした”って。」
昇「……そういうことか。見た感じ、戦闘”センス”は渡辺の方が上だが、”経験”の差で桐島の方が今は強い。」
進「神よ、球状の氷で相手を攻撃させて下さい! 《コオリボール・リピート》!」
剛「はあぁ!」
進は氷の球を何発も発射し、近づいていく。
しかし桐島は特大の炎魔法を放ち、全てを溶かしていく。それは、進もだ。
進は避けれないと判断し、両手をクロスにしてダメージを抑えようとした。
昇「渡辺が使っている……コオリアームブレイドだったか?恐らくだが致命的な欠点があるな。」
修也「ん?」(桐島の炎が強すぎて……後ろの木が燃えてる……)
進「ふう……ふう……」
昇に燃やされた時の様に、進は真っ黒こげになった。しかし、あることに気付いた。
進「あ……コオリアームブレイドが……溶けてなくなってる!?」
昇「あれは実質、氷だけのアーティファクト。素材が素材だ。」
進の氷の剣が完全に溶けていた。
予想できそうでしてなかった欠点に進は驚く。
剛「……さっきまで互いに黙って戦ってたが、俺の気持ちを言わせてもらう。」
進「……え?」
剛は足に電気を纏い、高速で近づいた。
進は何とか避ける。
修也「デンキブースト!?」(足に電気を纏い、移動速度を上げる技……!)
剛「俺は!あいつらが殺された理由が!未だに納得できない!お前の大事な圭を逃がす為に撃った技で、そのまま殺すとはな!」
進「……!」
剛「お前が裏切った理由はこっちだってちゃんと分かってんだよ!だが、お前は俺が”さっきの攻撃で死んだんだぞ”って言っても、あまり反省してなさそうだったじゃねぇか!」
進「それは……」
壮真(僕だって、僕を殺した渡辺さんを許したくない。渡辺さんが感情を伝えにくいのは知ってる。でも、ごめんなさいもなしだから、反省してないのかと思ってしまう。)
剛「俺だって友達を失ってるんだ……許したいのに、許せない。だって、俺は……今のお前が!嫌いだからだ!」
そう言って剛は進の体を何度も切り刻んでいく。
真っ二つどころではない。剛は頭以外の部分を全て細切れにした。
昇「おい、殺しはなしといっておきながらな……!」
奈珠波「うぅん、あんな位ではギャグ世界の人間は殺せない。」
奈珠波の言う通り、進の体は集約していき、混ざり合ったかと思えば完璧に修復されている。
しかし、感じた痛みは修復できていない。
進「う、うぅ……」
壮真「……勝負あり……ですね。」
昇「……いや、あいつの目を見ろ。闘志が消えていない。」
進「……ごめん、桐島。」
剛「今更殺したことを謝られたって……」
進「違う、そこじゃない。僕は……人を殺しても、その人を想い続けることは難しいんだ。」
まさかの進の言葉に、一同は驚愕する。
剛「……お前……やっぱり反省してなかったのか?」
進「違う!本心だけど……本心のままでいたくない!僕は死んでいった知らない人間を想うことなんて今までしたことがなかった。でも、圭を殺されて分かった。大切な人を殺された気持ちが。今は難しいけど、僕は……」
剛(進……お前……)
進「僕は……僕をこれから……変えていきたい。剛、君と共に……」
昇「渡辺……桐島……だがいつかは二人は……ん?」
昇は気づいていた。戦いはまだ続いている。そして、進の右手の二本の指に、氷の魔力が集中していることに。
進「今は戦いだよ。でも、剛に攻撃するのは……これで最後。」
剛「……いつの間に!?」
進「《コオリスナイパー》!」
指から氷のビームが発射された。一見ただのビームに見えるが、弾速は恐ろしく速く、その速度で剛の心臓を完璧に打ち抜いた。
剛「かはっ……」
進「……この勝負、僕の勝ちだ。」
進が勝った。全員が”桐島が勝つ”と思っていたが、予想外の結末に一同驚く。
ただこれで完全ではないが、お互いの気持ちがある程度晴れた。さあ、次はレイドだ!
しかし、それより先に城にいる人が二人……清水と麻生はご主人様を倒せるのか!?
次回『結束する』
つづく!




