組む④
作者「⑤で桐島パートは最後です。次々回からまた進パートに戻ります。今の所大西と仮面を渡したおばさん以外の女性は敵キャラみたいに書かれてますが、これも”ご主人様”と呼ばれるクズのせいなので、奴が死ぬ頃にはヘイトは全てご主人様(と私)に向くと思います。」
【桐島 剛】
おかしい。
風真が飛び出してから1日が経とうとしている。
だが、未だに帰って来ない。”死んだのか”と思って携帯で確認しても残機が残っている。
それに、他のみんなも帰ってきていない。今ここにいるのは俺と奈珠波だけだ。
(ガサゴソ……)
「ん?あ、遅かったな………なんだその傷!?」
「うん、ただいま。」
「す、すみません! ちょっと襲われてて……頑張って逃げてきました。」
今帰ってきたのは、口数が少ないが頼りになる”修也”と、行方不明になっていた”壮真”だ。
やっと1人見つかった……他のみんなも大丈夫だろうか?
それにしても……
「誰かに襲われた……のか?」
「はい、アオイと名乗る人と、フウカと名乗る人に。」
「アオイって奴の能力、厄介だった。」
「…………アオイ!?」
名前が出た途端、奈珠波が驚いていた。
「そいつらの能力って、『歌』と『動物化』?」
「そうですけど……てか、なんであなたがここに!?」
「……殺す。」
「いや待て待て、奈珠波はもう仲間なんだ! 信用してくれ!」
そうだった。まだ奈珠波の事説明してなかった!
「まぁ、桐島さんがそう言うなら信じますけど……」
「ねぇ、桐島。 思うところがあるんだけど」
「え?」
「見ず知らずの人とかを仲間にして大丈夫? 自分、まだ……特に毒島は信用できない。」
「毒島を……? なんでだ?」
「あのケイって人と戦ったのは、毒島の提案。多分、戦わなかったら渡辺は裏切ってなかった……」
………そうか。
進……訳アリなのは分かっていたが、裏切られて、仲間を殺されて以降はもう敵として認識してた。
あいつもあいつなりに、思う所があったんだな……
「そういえば、毒島さんはどこに行ったんですか?」
「……昨日ここを襲われたんだが、その相手を殺してくると言って飛び出してから、まだ帰ってきてない。生きてはいるが、心配ではあるな……居場所も分かってないし……」
「……電話使えばいいじゃん。」
「……あ、そうか!」
「毒島は94番。電話かければ良いと思う。」
「あぁ。」
俺は携帯のボタンを押してスクロールし、94番を探した。
94番……あった。
俺は通話ボタンを押して、返答を待った。
【毒島 風真】
僕はずっと跡を辿っている。
普通の人なら筋肉痛になりそうな位歩いているけど、毎日のバイトで鍛えた脚はまだ動いた。
それにしてもあの女……ずっと跡をつけていて分かりやすい。
それ程急いでたんだ……
「……あ、跡が見当たらなくなった!」
どうやらここがゴール近くみたいだ。
ここは……え、すごい!
大きな町と、その真ん中にそびえ立つ大きな城があった。
あの城が”ご主人様”って奴がいる所なのかな?
「ご主人様、口調は呑気だけど凄いビビってたね……」
「まぁ命を狙われる対象になったら誰でもそうなるよ。私たちでご主人様を守りぬこ!」
……まずい、見張り役だ!
やっぱり”ご主人様”はここにいるんだ……
あの2人を殺せば、死なずに済むのかな……
でも……
(殺されたっていっても、そっちが先に殺そうとしたんだから、憎む資格ないよね?)
(人に任せてないで、自分でちゃんと動いたらぁ?動かないからこうなるんだよ)
(もはや檻から出たお猿さんみたいだね、バーーーーーカ!)
さっきのあいつの声が、うざい位に脳裏で再生する。
もし”立ち直れないと死ぬ”なら僕は今日で……
”そんなの嫌だ!”って感じになってるけど、それだともう立ち直れないのかな……?
僕があの2人を覗いてるその時だった。
(ピロロロロロロロロロロロロロロロロ!)
……電話!? もしかして、桐島さんから!?
「……誰!?」
「もしかして、ご主人様の事を把握して襲ってきた奴かも!」
マズい、気づかれた!?
「あ、いた!」
「ここに来たからには、悪いけど死んでもらうね!」
「……《エル・ポイズン》!《エックス・エル・パワー・バフ》!」
「うぅっ!?」
「きゃあ!?」
よし、2人共毒が効く! 悪いけど、殺して失格だけでも免れてみせる!
「はあああ!!」
「《男禁止領域》!」
(ガッ! ビュッ)
「……え!?」
はじき返された!? てか何、この黒のフィールド!?
攻撃しようとしたら、何者かの横合いによってフィールドの外に吹き飛ばされた。
「……美羽ちゃん!?」
「”ちょうちょうつよびじょーズ”の1人に選ばれた美羽がなんでここに!?」
……ミウ? ちょうちょうつよびじょーズ?
向こう側の専門用語がよく分かんない。
「お前、よくもこの2人を傷つけてくれたな! お前のようなご主人様の足元にも及ばない陰豚は私が断罪してくれる!」
陰豚って……何そのチー〇みたいな扱いの呼び方……
「《断罪の槍:ベタルソード》!」
「……え、あ、え!?」
まずい、襲い掛かってくる!
しかも速……
(グシュウッ!)
「うがあああぁぁ!?」
痛い痛い痛い痛い痛い……痛い!
「う、《エル・オート・リカバ……」
「あんたみたいな女に暴力振るう奴も、陰ですごい性的な目で見てくる奴も、まじでキモい!」
(グジュルルル!)
「う!? うがあああ!」
腹を貫いてきた!?
まずい、技名を言わないと発動しないのに、言う隙も与えてくれない!
こ、こうなったら……
「やっとくたばった。 ごめん遅れて、その毒を治しに行こう。」
「……う、うん!」
よし……僕が死んだと思ってるみたいだ……
この隙に技名を言おう。
……頑張って声を出さないと言えない位痛いけど、それに耐えないとこのまま死ぬ……!
「《エッ……クス・エル・オート………・リカ……バリー……》」
(キュイーン!)
「な!? あの男、まだくたばってなかったのか!?」
「《エックス・エル・スピード……」
「うりゃあああ!」
「バフ》!」
よし、今回は最後まで言えた!
この女、強い……なんて威力だ……回復魔法がなかったら短い間で死んでた……
レイド対象の居場所も特定できたし、殺すのは諦めて逃げないと……!
僕は急いで町から出て、来た道を戻ろうと走ったが……
「まさか逃げられるとか思ってないよね、私の友達を傷つけて……!」
……嘘ぉ!?
《エックス・エル・スピード・バフ》と同じ速さで追ってきてる!?
背中から感じるその殺気で、足がいつもより動かなかった。
頑張って逃げる毒島だが、果たして……!?
5日経つまであと数時間、毒島が死ぬのは確定しているが、桐島達のもとに帰ることは出来るのか!?
次回『組む⑤』
つづく!




