考える
作者「5日以内に人を殺さないと失格になるこのバトルロワイヤルですが、それを回避した進たちには、戦う意味があるのでしょうか? 進には圭を生き返らせるという思いで戦っていますが、長谷川……凌久には戦う理由がありませんね。」
【渡辺 進】
「……レイドバトル?」
僕は長谷川の”異世界ネットシステム”をひと通り確認し、少し休んでいると、携帯に通知が入った。
『ミッション;レイドバトル:92番を殺せ』
・参加は自由。参加するには、最低でも2人でチームを組む必要がある。
・携帯電話にあるアプリ『ラクラクツウシン』でチームを組む人達で携帯電話を通信させ、
チーム登録することで参加可能。
・チームの再登録は不可。
・頑張って92番を見つけ出し、殺すこと。
・92番を殺したチームは、全員の残機が1増える。
・92番が死んだ時、ミッションは終了し、チーム登録は自動で消去される。
「……これ僕ら参加する意味ないよね?もし92番に殺されたりしたら損でしかないし。」
「確かにそうだ……残機が増えるのはかなり良いことだと思うけど。」
92番って一体誰なんだろう?
剛や毒島達の番号は把握してるけど、違う。
「……一旦92番の位置を把握しないか?」
「……まぁそうだね。」
これはさっき知ったことだけど……
異世界ネットシステムにある機能の1つ、”マップ”には、一度メールで連絡を取った相手の位置情報が分かるようになっている。
これ……全員に迷惑メールを送り付けることで、参加者全員の場所を把握できる訳だ。
……いやこれこそ使えなくするべきでしょ。何考えてんだ主催者……嬉しいけど。
「92番にメールを適当に送っとけば、居場所が分かる。もし近かったら……一旦様子見で良いかもしれないな。」
長谷川はそういってメールを開き、92番に対して”あいうえお”と書いて送信する。
……僕もだけど、長谷川もテストメールは”あいうえお”なんだね。
長谷川はメールを送った後、マップを開き、92番の居場所を確認する。
僕の番号……10番と書かれた赤丸印と共に今の現在位置と、その周辺のマップが表示されている。
ここはダンジョンの隠し部屋。
ダンジョンの周りは木がいっぱいあるけど、マップから見て北側からは平原があるのが分かる。
ここで長谷川は、マップを縮小し、92番の現在位置を確認した。
場所は……
「…………ちっか!?」
……めっちゃ近かった。
北側の平原を進んだすぐ先に、都市のような大きい町があり、その町にある城から赤丸印が出ていた。
……いやどう考えても近い。さっきマップで、このバトロワのステージ範囲を確認したら、東京ぐらいの広さだったのに、家から自転車で10分ぐらいで着けるような距離にあった。
……いやどこ基準にしてんだ僕は。
「……一旦、様子見で町に行ってみるか?」
「……いや、危険だよね?」
様子見で行っても良いかもしれないけど、ちょっと危険じゃないかな……
「……ん!?」
長谷川がマップを見て何かに気付いた。
「見ろよこれ。 製鉄所じゃないかこれ?」
長谷川のマップは、まるでどっかのブラウザの地図機能みたいな奴に搭載されている、”町中の視点で見る”機能がある……らしいね、僕も今知った。
そんなことより、製鉄所……え、製鉄所? 異世界に?
「ここの鉄を使えば、僕の《創作スキル》で武器とか作れるんじゃないか?」
長谷川の《創作スキル》……鉄とかを使うことで、剣を作ったりできるのか。
「……そうと決まればさ、一回町行って鉄を回収しないか? そこで92番を確認して、殺せそうだったら……まぁ、殺すか……」
長谷川……見た目が男で性自認が女だった、あの敵の死体でまだ心を痛ませてるのか……
……これって、”あまり知らない赤の他人だから別に死んでも心が痛まない”僕がおかしいのかな?
「……僕たちはもう立派な人殺しだよ。犯罪……なんて、ここには警察とかいないから、最早どうでも良い。だからさ、生き残るために戦わない?」
「……お、そうだな。 出発はいつにする?」
「明後日が良いかな。」
「え、あ、なんで?」
「明日で5日が経つから、人を殺してない奴とかが必死になってるかもしれないし。それに、皆92番を探すのに必死になるのは多分今日か明日だと思うから。だから明後日が良いんじゃないかって思うんだけど、どう?」
「確かに。じゃあ明後日向かうか。」
(ポタポタ……)
……ん? 水?
あ。さっき天井を防ぐために張った氷が溶けだしてる。
「……多分明日までは持ちそうだな。いやすげーよその氷、普通の氷とは違う。まぁ明日また張り直せば良いんじゃないか? まぁ、僕の《創作スキル》で直す手もあるかな。ここの外ダンジョンでさ、多分岩とかでできてるじゃん。それで、明日一旦外に出て、どうにか岩を削れば、その岩を《創作スキル》を使えば、防げるかもしれないなー、それに、ボクノソウサクスキルハソザイサエアレバナンデモツクレルカラサ、アサッテトルテツトカツカッテテンジョウフセグノモイイシ…ア、ソウカ、ボクタチニハコノダンジョンノイワヲケズルノウリョクハナイ、ダカラアシタハイッタンコオリハッテェ、ソシテ、ボクノショウセツニニアッタヘヤヲツクルテンカイミタイニ、ドゥフw、マァテツガドングライアルカワカンナイケドソウスレバココニアルダンジョンニヒトガコヨウトモバレルカクリツガグントサガルシ、ソレデソレデ……」
「あーあーあー、うんうん。分かったそうしよ。」
長谷川ぁ……自分の小説関連の話になるとオタクみたいに話し出すのちょっとやめてほしいかなぁ。
まぁいいや、それより……
「それよりさ、明日やりたいことがあるんだけど。」
「お、何?」
「明日、僕の筋肉痛のリハビリ兼ねて、軽く修行みたいなことしない?怪我はしない程度に。」
「え?僕は明後日行かないけど?」
「……え?」
……あ、え?
「僕に戦う力ないから。 お前だけで一旦様子見してきて欲しいんだけど?」
「え?」
「こっちもこっちで、メールとかでサポートしたりするからさ、頼むわ。」
……人任せ?高みの見物かな?
まぁいいや、長谷川は物理の戦いは出来ないからね。
明日一回修行してから、明後日出発しよう。
【ミスターY】
「明日殺してない人みんな失格かー、どうしよー僕まだ一回も殺してないよねぇー。」
「どうするんだ?」
僕には今、言いなりにした2人の男の子がいる。
1人は”空”。空を飛べる。
もう1人は……”岳跳”。すっごいジャンプ力で跳べる。
敬語? かったる、僕は普通に接してくれればいいから、必要ない☆
「あ、そうだ! ごめん岳跳。一回僕に殺されてくれない?」
「……あぁ。」
まぁ2人は言いなりだから、拒否できないんだけどねー。
「………ごめんね。」
「ん?なんか言ったか?」
「い、いやいや何でもないよー。それより空、ちょっといいかな?」
「なんだ?」
「カードゲームとかが強そうな男の子を探してくれない? 見つけたらぁ、生きたまま捕まえて、ここに持ってきてくれないかな?」
「……分かった。」
ミスターYが”ごめんね”? あの狂気染みた振る舞いから、何か裏が……?
一方で進は、92番の様子見ついでに製鉄所の鉄を回収する為、襲われて死なないように修行をする!
次回『試す』
つづく!




