夢のマイホーム
初めまして、天川裕司です。
ここではシリーズでやってます『夢時代』と『思記』の原稿を投稿して居ります。
また、YouTubeドラマ用に仕上げたシナリオ等も別枠で投稿して行きます。
どうぞよろしくお願い致します。
少しでも楽しんで頂き、読んだ方の心の糧になれば幸いです。
サクッと読める幻想小説です(^^♪
お暇な時にでもぜひどうぞ♬
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無課金でやっておりますので、これで精一杯…と言うところもあり、
お見苦しい点はすみません。 なので音声も無しです(BGMのみ)。
基本的に【ライトノベル感覚のイメージストーリー】です。
創造力・空想力・独創力を思いっきり働かせて見て頂けると嬉しいです(^^♪
出来れば心の声で聴いて頂けると幸いです♬
でもこの条件から出来るだけ面白く工夫してみようと思ってますので、
どうぞよろしくお願いします(^^♪
タイトル:(仮)夢のマイホーム
▼登場人物
●流実 柚芽雄:男性。55歳。独身サラリーマン。世間に絶望している。
●野羽華 朱理:女性。享年27歳。難病で既に他界していた。柚芽雄の元彼女。
●果祖上リナ:女性。40代(でも若く見える)。柚芽雄の本心と理想から生まれた生霊。
▼場所設定
●カクテルバー:都内にあるお洒落なバーのイメージで。柚芽雄とリナの行きつけ。
●街中:必要ならで一般的なイメージでお願いします。
●朱理の墓前:こちらも一般的な墓地のイメージでOKです。
▼アイテム
●Dream Home:リナが柚芽雄に勧める特製のカクテル。これを飲んだ人にとって、特定の愛する人とだけ一緒に夢の世界へ旅立てる片道切符の効果を秘める。
NAは流実 柚芽雄でよろしくお願い致します。
イントロ〜
あなたは自分の住処、
夢のマイホームを手に入れたいと思ってますか?
そして心の拠り所となる愛する人と共に、
その生涯を全うしたいと考えてますか?
これは誰にとってもおそらく大きな夢になるでしょうか。
でも、現実ではなかなかそうは行きません。
生存競争の激しい、欲望だらけのこの人間の世界。
その中で夢を叶えようとすれば、
幾つものハードルを乗り越えなければなりませんね。
生活に強い人も居れば弱い人も居る。
じゃあ弱い人は一体どうしたら良いのか?
今回はそんな弱さに悩み続けた、或る男性にまつわる不思議なお話。
メインシナリオ〜
ト書き〈カクテルバー〉
柚芽雄「はぁ、夢のマイホームか。ほんと、欲しいなぁ…」
俺の名前は流実 柚芽雄。
今年で55歳になる独身サラリーマンで、
毎日働きづめに働いて、そのうえ安月給のしがない男。
もう恋愛なんて40代の時に終わってしまって、
今では俺の周りに誰1人寄り付かなくなってしまった。
柚芽雄「ま、これも仕方ない事だね」
別にもう恋愛なんて新たにしたいとは思わない。
どうせ結婚したって子供を持つのは今の状況から見て大変だろうし、
子供が10歳のとき俺は55、20歳で65…
そんな事を考え出したらキリがなくなり、
今の僅かな幸せさえ失ってしまう。
そんな事を考える状況になってしまった。
やっぱり遅過ぎるのだ。これから結婚するなんて言うのは。
もう初老を迎える歳の俺。
周りと自分を見比べては、溜息をつく毎日だった。
でも…
柚芽雄「…こんな俺にだって夢はあったんだ。本当なら20代で結婚して子供を持って、愛する伴侶と一緒に穏やかな生活を送りたかった。人生を送りたかった。一戸建ての夢のマイホームを持って、家族みんなで仲良く暮らして温かい家庭を築いて…」
そう、諦め切れない夢が心の中にだけある。
でも現実がどうしてもそれを許さず、タイミングもなく
出会いもなければ生活を安定させられる仕事もなく、
ここまで来てしまった。
思うようには行かない…
とは、まさに人生においてこういう事を言うのだろう。
人生を上手く渡れる者と渡れない者と、
確かに2種類の人間が居ると思った。
これはもう運命で決められて居るようなもの。
どれだけ努力しても報われない者は報われない。
その事が人生を通してはっきり分かった俺は、
或る時からもうまともに人生を歩む事、夢を追う事を諦めてしまい、
夢を理想に描き続けるだけで人生の大半を終わらせた。
実際、俺の恋愛遍歴なんてホントにもうろくなもんじゃない。
みんな浮気という置き土産を残して立ち去った。
仕事も、実際やりたいと思える仕事を与えてくれる場所は
どんどん倒産して行き、
残ったものは全く自分のテリトリーからはかけ離れた
不得手なものばかり。
だから出世もできず、給料も上がらず、
おまけに余り器量も良くない俺は一般女性などには見向きもされず、
社会に出ながらほとんど社会とは無縁の生活を送ってきたのだ。
そんな人生を運命によって歩まされたのだ。
そのうち更に歳をとってこの世を去るのだろう。
柚芽雄「はぁ。俺の人生ってホント何だっただろう…」
そんな事をブツクサ言いながら行きつけのバーで飲んでいた時…
リナ「ウフフ、こんばんは♪お1人ですか?もし良ければご一緒しませんか?」
と1人の女性が声をかけてきた。
女性から声をかけられるなんて本当に久しぶりの事。
その嬉しさもありパッと振り向いて見ると
かなり美形の女性が立っている。
柚芽雄「あ、ど…どうぞ」
俺は思わず隣の席をすぐにあけ、彼女を迎えた。
彼女の名前は果祖上リナさん。
都内でメンタルコーチやライフヒーラーの仕事をしているようで、
どことなく落ち着いた上品さと知的な雰囲気を携え、
なんだか一緒に居るだけで心が安らいでくる。
彼女とそうして喋って居ると2つの不思議に気づいた。
1つは、
「昔どこかでいちど会った事のある人?」
と言う印象を投げかけてくると共に心が開放的になる事。
2つ目は彼女に対する恋愛感情が湧かない上で、
自分の事をもっとよく知って貰って悩みも聞いて貰って、
今の自分を救って欲しい…そう思わされる事だ。
気づくと俺はその通りに行動しており、
今の悩みを聞いて貰った上、アドバイスを仰ぎ、
実際、彼女は俺を助けようとしてくれたのだ。
リナ「そうですか。つまり遅過ぎた夢を今一度、この現実で叶えてみたいと?」
柚芽雄「え、ええ、まぁ」
リナ「何も恥ずかしがる事はありませんよ。そんな人は実際、この世間で非常に多く見られるものです。最近では晩婚化が進み、生涯を独身で貫き通す人も増えてきました。独身貴族を気取りながら男性も女性も『今のこの状態が幸せなんだ』なんて顔をしてますが、実際、心の蓋を開けてみれば『本当はもっと幸せになりたい』『人に与えられた初めからの恵み…普通に恋愛して結婚して子供を持って、夢のマイホームを手に入れて幸せに暮らしていきたい』…そんな事を純粋に願っているものです」
柚芽雄「はぁ…」(何となく聞いてる)
リナ「良いでしょう、分かりました。それでは私が少し、あなたのその悩みを解消し、長年思い続けたその夢を叶えて差し上げましょう」
柚芽雄「え?」
リナ「フフ、まぁ叶えると言っても、実際その土台を用意させて頂くだけの事です。そんなに身構えないでも大丈夫ですよ」
そう言ってリナは景気づけに一杯のカクテルをオーダーし、
それを俺に勧めてこう言ってきた。
リナ「それは『Dream Home』と言う特製のカクテルで、それを飲めばきっとあなたの夢は叶います。信じて飲んで下さい」
柚芽雄「は、はあ?」
リナ「フフ、信じられない気持ちは分かります。ですが、何か新しい物事を始めようとする時、特に夢に向かって歩き出す時はまず自分を信じ、自分の将来が必ず明るいものになる事を心の底から願わなければなりません。あなたはおそらく人生をどこかで半分諦めている所があるのでしょう。ですがもう半分は全く諦めておらず、何がどうでもその夢を叶えたい…そう祈り願っている所があると思います」
やっぱり彼女は不思議な人だ。
まるで心が見透かされているようなそんな感覚を憶える。
3つ目に彼女に感じた不思議な魅力はこれだった。
他の人に言われても絶対信じないような事でも
彼女に言われると信じてしまう。
心が開放的にされ柔軟になっているせいか、
彼女の言葉がすっと素直に心の中に入り、
その気にさせられ、彼女の言った通りに行動する。
俺はそのカクテルをすぐに手に取り、その場で一気に飲み干していた。
リナ「そうだ。今あなた、誰か特定の人を想ってらっしゃる…なんて事はありませんか?会社の人でも思い出の人でも誰でも結構です。夢のマイホームを持つ上では良き伴侶が居なければ始まりませんよね?その伴侶の方もあなたにご紹介して差し上げようと思ってますので」
柚芽雄「そ、そんな事まで…?」
リナ「ええ♪これも私の仕事の内ですから。私の仕事は困っている男性を助け、人生をもっと豊かに歩んで行ける…その為の夢の土台を用意して差し上げる事です。これはボランティアでやってますから、サービス料金を始め何かグッズを売り付けてお代を頂く…なんて事は一切ありませんのでどうかご安心を」
柚芽雄「…なんだかあなたって本当に凄い方ですね…」
リナ「フフ、お褒めに預かり恐縮です。でも先程からあなたの表情を拝見していますと、どうも思い出の中に特別な人が居るような気がするんですが、もしかしてそうじゃありません?」
また驚かされる。
今俺が心の中で思っていた事をそのまま言葉にしてきた。
柚芽雄「ど、どうして分かったんですか?そ、そうです。僕、実は大学の時に本当に恋をした人が居まして、名前は朱理って言うんですけど、そいつと付き合ったのが唯一、僕がまともに恋愛できたその時でした。僕は心底、彼女に惚れ込んでいました。でも家庭の事情やら何やらがあって彼女は遠くへ引っ越す事になってしまって、それ以来、連絡も次第に途絶え、自然消滅の形で別れちゃったんです」
柚芽雄「もちろん何度も連絡したんですが、彼女のほうからもう連絡が来なくなってしまって…。『ああ、飽きられたのかな…」って思って、僕もそのうち連絡するのをやめました。あんまりしつこいとそれ以上に嫌われると思いましたもんでねw。でも今でも、僕はどこかで彼女に恋をしてるんです。好きなんです」
俺は過去の事を出来るだけの正直をもって、
全てリナさんに打ち明けていた。
リナ「…なるほど、そうでしたか」
それから延々1時間から2時間ほどかけて、
俺は思い出話をするついでにその朱理の事を話した。
彼女は自分にとってどんな女性だったのか?
それを1つのテーマに、俺が今彼女に対して思う事を
洗いざらい告白したつもりだ。
するとリナさんは驚く事を言ってきた。
柚芽雄「ええっ!?あ、あなた、朱理の事を知ってるんですか!?」
リナ「ええ、おそらく。あなたのお話を聞かせて頂く上で、その彼女さんの特徴や外見からして多分あの人じゃないか?…と思います」
柚芽雄「あ、あの人って?」
リナ「今、私が開業しておりますヒーラー教室に通ってらっしゃる生徒の方で、まずお名前を野羽華 朱理さんと言って、あなたが言われる外見の特徴とすっかり当てはまるように思います。そう、右目の下に確か小さなホクロもあったように思います。少し目立つホクロですよね?」
柚芽雄「あ、あ…」
まさにその通り。
長年ずっと会いたいと思ってきた彼女に会える!?
その気持ちがどうしても膨らんでしまった俺は少し常識を弁えず、
「今、彼女元気で居るんですね!?できたら会わせて下さい」
そんな事を夢中でリナさんにお願いしていた。
会うのが無理なら遠くから眺めるだけでも良いからと。
するとリナさんは…
リナ「いえ、ちゃんと会わせて差し上げましょう」
と言ってくれ…
リナ「ただしその彼女さんのほうにもあなたと同じく、これまでいろんな事があったようです。その彼女の生活歴・人生も全て背負う上で、もし彼女があなたのそばへ行くような事があれば、その運命を共にする覚悟を持って下さい。それは今、彼女の心をヒーラーを通して癒そうとしている私からのささやかなお願いです」
と俺の覚悟を同時に確認してきた。
そこまでくると俺はもう会える嬉しさで…
柚芽雄「も、もちろんですよ!彼女…朱理に会えるなら、僕はどんな覚悟だって持ちます。ええ、どうせこの世の中でこのまま生活していたって僕には何もありません。夢から遠く離れた所で年老いて、やがては死んでいくのでしょう。そんな不毛な毎日は本当にもう嫌になったんです。お願いです。僕を彼女に会わせて下さい。僕が初めて恋をした人なんです。たとえ夢が叶わなくても、ひと目会えればそれで…」
ト書き〈彼女に再会してからオチへ〉
そしてその週末。
リナさんは朱理を連れて又バーに来て、俺に会わせてくれた。
柚芽雄「あ、朱理…朱理なんだな!」
朱理「柚芽雄ちゃん…ごめん、連絡取れなくなっちゃって本当にごめんなさい…」
話を聞くと、
彼女はどうもあれから大病に罹っていたらしく、
それから渡米して治す為の治療を受けて帰国していた。
でも元通りには治らず、片足に麻痺が残る形で治療を終えた。
そんなの全然構わなかったのに
彼女のほうでどうしても気に病んでしまったらしく、
俺に再会して今の自分を見られるのが嫌で、
心を鬼にする形で俺への未練を断ち切っていた。
柚芽雄「…そっか、お前も、大変だったんだな…」
朱理「…ねぇ柚芽雄ちゃん。こんな私でもイイの?」
柚芽雄「え?」
朱理「こんな私でも、受け入れてくれる?」
柚芽雄「…何言ってるんだよ。当たり前だろ。俺が愛してるのはお前しか居ないんだから。…なんだよ、急に連絡取らなくなったりして。ちょっと水臭いぞw」
朱理「…柚芽雄ちゃん…」(感動しながら)
リナ「ウフ、水を差すようでごめんなさいね。ここもうすぐ閉店らしいですからそろそろ出ましょうか♪」
柚芽雄「あ、はい♪…リナさん、今日は本当にどうも有難うございました…」
俺は精一杯の気持ちでリナさんにお礼を言った。
(オチ)
それから俺は、この世から姿を消したらしい。
朱理と一緒に夢の世界へと旅立ったのだ。
(朱理の墓の前で)
リナ「私は柚芽雄の理想と本心から生まれた生霊。その夢を叶える為だけに現れた。今、柚芽雄は朱理と一緒にこのお墓の下で新婚生活を歩んでいるわね」
リナ「そう、朱理はもう十数年前に亡くなっていたのよ。大学時代から30年も経っているのに何の違和感もなく彼女を迎え、当時の面影を確認できたのがその証拠。ほとんどその当時と容姿は変わっていなかったでしょう?」
リナ「私があのとき勧めたカクテルは、想う特定の人とだけ一緒に夢の世界へ旅立てる片道切符。その効果を秘めていたのよ。世間に半分絶望していた柚芽雄なら、その事にもうっすら気づいていたかしら?」
リナ「世間で夢のマイホームを持つ事、子供を持つ事・育てる事は、今の柚芽雄には到底無理な事だった。難しい事。そんな夢を叶えられるのは、本当に眠って見る夢の世界ぐらいなもの。得てしてこんな柚芽雄のような人は世間に多いんじゃないかしらね?もはや人間が生きづらくなったこの世の中。どうして生きて行くかを、現実と夢の世界の両履きで考える必要があるのかも」
リナ「…柚芽雄。朱理さんと一緒にマイホームを持って、子供を持って、ずっと続けて行ける仕事も土台にし、末永くその夢の世界でお幸せにね…」
少しでも楽しんで頂き、読んだ方の心の糧になれば幸いです。
サクッと読める幻想小説です(^^♪
お暇な時にでもぜひどうぞ♬