第1話 不穏
初投稿です。
午前2時45分
夜もかなり静まった時間に地下水路を歩く男がいた。
男は少し大きめな刀を所持しており、黒いローブを着ている。男は少し急いで地下水路を歩いて行く。突然後ろから悲鳴が聞こえてきた。
「うぁあああぁぁぁ!!!」
そうして後ろから走ってきたのは人形だった。
「ちょっ、先に行くなよ!俺知らなかったぞ!」
人形が喋ったのだ、ありえない光景だ。
男は驚きもせず、淡々と返す。
「のんびりしてるお前が悪い」
「けっ声ぐらいかけてくれてもいいのに」
そんな事を言ってる人形は男と比べてかなり小さい。男の半分、いやそれ以上の小ささだ。布が継ぎはぎされて造られたような見た目をしている。
「ここ通る必要あるの?」
「なるべくバレないようにと言われている」
「ふーん、コードってどんな奴?」
そう言うと男は何も言わずに写真を渡す。
「なんだーこれ、黒いのに青く光ってる」
「詳しくは教えてくれなかったが、機械の部品らしい」
「こんな特殊な物を取りに行くのか」
「そうだ」
ここで会話が途切れた。2人は黙々と歩いて行く。
「ここで出よう」
「ok」
2人は外に出た。少し遠くに大きな屋敷が見える。どうやらそこが目的地のようだ。
「行くぞ」
再び2人は歩き始めた。屋敷に近づくと2人は玄関の方角を避け、庭に向かった。男は自分の2倍はあるであろう柵をやすやすと乗り越え、人形は少しきつそうにしながら隙間を抜けていった。
「さて、ここからどうする?」
「いつも通り行く」
「了解」
男は慣れた手つきで窓から侵入した。人形も入っていった。
「依頼の物はどこにある?」
「えっとね...仕事場にあると思うよ、前回と変わってなければね」
「了解」
「俺は少しだけ面白いものがないか見てくるよ、先に行ってて」
「ダメだ、依頼外の事はするな」
そう男が言うと、人形は不服そうにため息をついた。人形の持ってきた屋敷の地図にしたがって仕事場に進んでいった。問題なく仕事場に着き例のコードの入ったケースを見つけた。中身を確認すると例のコードが入っていた。青く光って周りを少し照らしている。
確認も済んだので撤退しようと庭まで戻ったその時、
「いつまで見ている?」
「へ?」
「なんだぁー気づいてたのかー」
第3者の声が聞こえると、人形はビクッとして驚いた声を上げた。
「うお?!」
「当たり前だ」
「へー、その人形喋れるんだー」
「いや、気のせいだろう、で何の用だ?」
「気のせいかーそっかそっか、いやーね?特に用はないんだけどさぁ気になってずっと見てたって感じ?」
「ならもう追ってこないでくれ、帰る所だ」
「ごめんねー迷惑かけちゃって、それじゃ」
男は下がっていった、そして壁を曲がり見えなくなった。
「行くぞ、念の為ケースをもう一度調べる」
「あ、ああわかったけどあいつをほっといてもいいのか?」
「ここでコイツを取りに来ないって事は目的はコイツではないはずだ」
「お金かな?」
「豪邸だしな」
そう言い2人は再び地下水路に入る。
「あいつ、いつからいたんだよ」
「屋敷に入った時から」
「え!なんで言ってくんねぇんだよ!」
「騒ぐと思ったから」
「うぐ...」
そんな会話をしながら2人は自分の店に帰ってきた。
「疲れた、寝る」
「わかった、あとやっとくわ」
「助かる」
そういい男は眠りについた。人形はなにやら仕事があるらしい。
翌日
依頼主がやってきた。まるで探偵のような見た目をしている男だ。
「例の物は?」
「コイツで間違いないか?」
「ああ、間違いない、お代はここに置いてくよ」
「どうも」
探偵のような男はすぐ去っていった
店 ハルバード
なんでも屋 相談無料
と書かれた看板が置いてある小さな店だ。
だが客の入りは悪くない。金には困ってないようだ。
「あとは暇だな」
「まだ来るかもしれないって」
「お前は仕事中黙ってろ」
そう言われると店内を整理していた人形は少し不満な顔をした
「はーいちょっとストーップ」
一目のつかない場所で先程の探偵のような男が妙な男に絡まれていた。
「なんだい君は」
「そのケースちょーだい?」
「ダメに決まってるだろう、金目の物は入ってない、他を当たってくれ」
「ちがうよーそんなんじゃないって、じゃあケースの中身!頂戴!」
「何者だ」
「教えて欲しい?」
そう言うと男はあっさりと男を殺してしまった。一瞬だった。あたりに血が広がっていく
「こーゆう者さ!」
妙な男は死んだ男の服を剥ぎ取って去っていった。この男の死が世間に広がったのは1ヶ月後だった...