第一章:都市の守護者
現代の東京。
喧騒とネオンが交錯する夜の街並みが広がる中、その中心に異質な存在が立っていた。
彼の名は天狗。
古来より山の守護者とされてきた妖怪である。
だが、彼の姿は伝統的な天狗とは異なっていた。彼は現代のストリートウェアに身を包み、足元にはスニーカー、上半身には風を切るようなフード付きのジャケットをまとっていた。
その一方で、彼の顔には古風な天狗の面がかかり、異様な雰囲気を醸し出していた。
天狗の周囲には、薄青い霧のような霊気が漂っていた。
彼が一歩踏み出すごとに、霊たちの囁きが聞こえ、空間が歪んでいく。
彼は現代の技術と古の力を融合させることで、この世とあの世の境界を操ることができるようになったのだ。
その夜、天狗は自らの力を使い、あの世の魂を吸い取るために動いていた。
彼の目的は、現世と霊界のバランスを保つことだった。
古来から続くその役目を、彼は現代の方法で果たしていたのだ。
繁華街のネオンライトが彼の背後に煌めき、古い寺院の影が彼の足元に広がる。
都市の喧騒の中にあって、彼の存在はひときわ異彩を放っていた。
「この世界の均衡を保つためには、あの世の力が必要だ。」
天狗はそう呟きながら、次の霊魂を探しに闇の中へと消えていった。
その姿は、都市の一部でありながらも、どこか異界の住人のように映っていた。