夕焼け色の心映(改稿)
悲しみを帯びたビロード貼りの夕焼けは
風と共に塩の焦げた匂いを運んでくる
白い能面の凍りついた緊張
万華鏡の様に変わる感情
その裏側
気まぐれに似た偶然に終わる
嘆きをはらんだ怒りの前で砕かれる夢は
悪夢に変わる
砕かれたオレンジの血が海に滲む
わたしは生きているみたいだ
夕焼け色の火薬
風に乗って香り立つ
悪夢も夕焼け色に染まりつつ
深い海に溶けて沈む
遠い海の向こうでは血気盛んな者達が
夕日の海を渡って行く
映る心 映る心
映る波に夕日も揺れて
ある空 夕焼けの空
嗚呼雲はゆっくりと動くのに
何故わたしの心は動かない
ただ確かに夕焼け色に染まって行く
穏やかなこのひとときがもう少しと願う
紅く滲む雲の上
休めぬ羽は衝突を繰り返す
嗚呼この一時だけは
ゆっくりとあたたかなイメージに
身を委ねたい
心に映る悲しみと共に
夕日を心に宿すように