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咲久、母校訪問


 付き合ってちょうど10年目。2年前に結婚もして今は1歳の長男、白斗と3人で暮らしている。


そして、今日は桜川高校の生徒会のメンバーから頼まれて母校に訪問することになった。時々テレビには出るけど女優さんとか俳優さんとかじゃなくていいのかな?


「咲久、今日の服似合ってるよ」

「真白が買ってくれたやつじゃん。まあ、ありがとう」

「うん。って白斗、眼鏡で遊ばないで」

「掛けなかったらいいじゃん。そこまで視力悪くないんだし」

「咲久、眼鏡掛けてるときの俺好きって言ってたじゃん。だから伊達メガネ買ったんだよ」

「言ったけど」


真白の視力は0.6で字が小さい本を読むときや参考書を読むときだけ掛けている。それなのにわざわざ伊達メガネ買ったんだ。白斗のおもちゃになってるけど。


「そろそろ行こうか」

「だね。白斗、今日は亮介くんに会えるよ」

「!」


白斗を抱っこして駐車場に下りた。私たちは桜川市に住んでるので歩いて向かえる距離だけど、白斗は少ししんどいと思うし、まだ10月なのに最高気温は30度を越えるらしいので車で向かう。


「どうしよう」

「どうかした?」

「体育館入ってシーンッてしたら怖いなって」

「じゃあ、そうなったら俺が馴れ初めでも話して場を盛り上げれるように頑張るよ」

「え、知らない人の馴れ初めなんて訊きたくないでしょ」


笑っているとすぐに桜川高校に到着した。懐かしい校舎を辿って職員室に向かった。


「失礼します」

「仁科くん、小鳥遊さん、この度はお忙しいなかありがとうございます」

「いえいえ、可愛い後輩に頼まれたら断れませんから」


真白が微笑むと白斗が私の後ろをじっと見て手を振っていた。私も振り返って見てみると亮介くんが小さく手を振っていた。亮介くんに手を振ってたんだ。


「亮介くん、今日はよろしく」

「うん。よろしく。真白くんと白斗くんも」

「うん」


それから体育館に移動して生徒が集まったのを確認して真白と一緒に舞台に出た。すると、心配とは裏腹に黄色い声援が聞こえてきた。


「皆さん、こんにちは」

「「ましさくです」」

「今日はよろしくお願いします」


2人でお辞儀をすると大きな拍手と歓声が聞こえてきた。


「今から、お話をしようと思います。体勢崩しても大丈夫なので聴いていただければ幸いです」

「まず始めに、俺たちのこと知ってるって人~?」


真白が手を上げると9割以上の生徒が手を上げてくれた。これもテレビ効果かな?


「皆さんは、高校生活楽しんでますか?」


するとおお~!と元気な返事が返ってきた。


「俺たちもめちゃくちゃ楽しんだよね?」

「うん。けど、意外と印象に残ってるのは行事よりも日常なんだよね。数学の授業で先生の誕生日をお祝いしたら1ヶ月間違ってたとか、バレンタイン前は女子更衣室で何作るかどうやって渡すか相談とかね。昔はそれが当たり前だったけど今思うと青春だったって感じする」

「確かにね」

「だから、後で貴重な思い出になるなら今を全力で楽しんで、最高に青春したなって思えるくらいの思い出を作ってください」

「俺たちはたまたま恋愛だったけど、友情も部活も受験も全て青春だと思う。だから、苦手なことも得意なことも全部本気で楽しんで。そうしたら、大人になったとかに“あれだけ頑張れたんだから今も頑張れる”って思えるかもしれないから」

「最後に一言。たとえ恋人だろうと、親友だろうと、言葉にしないと伝わらないことだらけです。怖くても恥ずかしくてもなるべく言葉にして相手に伝えることを意識してください」


「「ご清聴、ありがとうございました」」


お辞儀をすると最初に入ってきたときよりも大きな音の拍手が起こった。それから、質問コーナーに入った。


「咲久さんに質問です。10歳年下はいけますか?」

「私がってこと?女性がってこと?」

「咲久さんならどうですか?」

「私は、初恋が真白で他に好きになったことがないのでタイプとかは分からないですけど、10歳くらいなら特に気にならないと思います。それだけ相手が好きなら、ですけど」


私、真白が10歳年下でも好きになっちゃう気がする。だって高校生の頃から既に真白のこと好きなんだから今、真白が高校生でも好きに決まってる。


「お二人に質問です。どうしたら、好きな子に好きになってもらえますか?」

「それは絶対っていう方法はないけど、とりあえず◯◯なところが好きって少しずつ伝えてみたらいいんじゃないかな?」

「そうだね」


質問コーナーを終えて私たちはさっきまで亮介くんに見てもらっていた白斗と一緒に亮介くんのクラスに行った。呼ばれるまで廊下で待っていた。


「白斗も将来桜川入ったら?」

「いいね」

「あ、でも、白斗は俺みたいにモテないようにね。大変だからね」


「入ってきて」

「「は~い」」


亮介くんのクラスに入るときゃあ~!と歓声が聞こえてきた。真白が白斗の耳を押さえているので白斗は泣かなかった。よかった。


「私たちとしたいことがあるって聞いたのでこのクラスに来ちゃいました」

「よ~け~!(亮介と言っているつもり)」


白斗はパタパタと走って亮介くんの足に抱きついた。


「白斗、俺より兄さんの方が好きなの?」


真白の背中をそっとさすって苦笑いを浮かべた。茶番に付き合わされてる生徒さんたち可哀想だな。


「あの~、天宮先生と真白くんって兄弟なんですか?」

「義理だけどね。真白のお姉さんが亮介くんの奥さんだから。」

「え!」

「ところで、私たちとしたいことあるって言ってくれたの誰か教えてほしいんだけど」

「あ、私です。というか、クラスを代表して私です」

「そうなんだ。何がしたいの?」

「腕相撲したいです」

「いいね。」


真白の肩に手を置いて笑った。


「腕相撲だって。聞いてた?」

「え、あ、ごめん」

「私さ、多分大半の女子に勝つと思うんだけど、女子の中で一番腕相撲強そうな子誰?」

「多分、私です。テニス部です」

「じゃあ、教卓で腕相撲しよっか」


教卓に腕をついて腕相撲をした。少し申し訳ないと思いながら勝ってしまった。


「じゃあ、次、男子でもいいよ。真白より私の方が弱いから真白と腕相撲するなら私に勝ってからね」


それからいかにも運動部という感じの男子生徒と順番に腕相撲をした、けど、勝っちゃった。


「強すぎません?」

「筋トレしてるからね。それに、白斗のことよく抱っこしてるから腕は結構筋肉あるよ」

「真白くんと咲久ちゃんで腕相撲してくれませんか?」

「真白には負けると思うけど……いいよ」


さっきまで男子生徒と腕相撲してたときすごい嫉妬してたみたいだし。


「白斗、ママの応援してくれる?」

「パパの応援してくれるよね?」

「ま~ま~!」

「やった。」


真白の手を握って微笑んだ。生徒に合図をしてもらって腕に力を込めた。真白、わざと手を抜いてるよね?というか、倒そうとせずに腕に力を込めてるだけ。これだったら私でも勝てるんじゃない?


さらに、腕に力を込めると真白も同じように力を込めた。ねえ、びくともしないんだけど。でも、本気じゃない人に負けるのは嫌だしな。あ、そうだ。いいこと思い付いた。


「真白」

「ん?」

「大好き」


私は微笑んで、真白にキスをした。すると、真白は真っ赤になって腕から力が抜けてすぐに倒せた。


「私の勝ち~!」

「反則」

「キスしちゃダメってルールないし」

「咲久のせいで顔熱い」


顔を両手で覆った。耳まで真っ赤だから覆っても照れてるの分かるけどね。


「ま~ま~」


白斗は私の膝の上に立って私の頬にキスをした。


「白斗ずるい。俺からはまだ咲久にキスしてないのに」


「えっと、今日はありがとうございました。学校生活楽しんでください」



亮介くんに手を振って、職員室にも挨拶をして駐車場にある車に乗った。


「暑いね~」

「そうだね。白斗、大丈夫?」

「だ~う!」

「よかった。じゃあ、帰ろっか」

「そうだね」


家に帰って車を停めて、エレベーターに乗った。そして、皆で手洗いうがいをした後、白斗は走って涼しい室内に走っていった。


「咲久」

「どうしたの?」

「好きだよ」


真白は笑って私にキスをした。


「白斗のところ戻ろうか」

「そうだね」

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