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修学旅行Ⅱ


 もうすぐ、修学旅行だ。私たちの行き先は四国だ。しかも、3泊4日!もうすごく楽しみ!


「咲久~楽しみだね~」

「うん!私、トランプ持っていこうかな」

「いいね!ババ抜き大会したい!」

「千花、中学のとき最下位だったよね?また、最下位になるんじゃない?」

「いや、今度は勝つ!」


どこからそんな自信沸いてくるんだろ。でも、ホントに楽しみだな。私、四国行ったことないし。しかも3泊4日とかホント最高!


「咲久、後ろ後ろ」

「え、後ろ?うわっ!なんでいるの!?」

「呼んだのに気付かないから」

「急に後ろに立たないでよ。びっくりするじゃん」

「ごめんごめん。なんの話してたの?」

「「修学旅行!」」


千花と声が揃って思わず顔を見合わせて笑ってしまった。真白は隣の席のイスを引いて座った。


「3泊4日だっけ?」

「うん」

「自由行動とか誰とまわるの?」

「千花!それと五十嵐と伊織と俊。侑李は他の子と先に約束してたらしいから別行動だけど」

「葉山さんは五十嵐と2人じゃないんだ」

「まあ、亮太と2人もいいけどせっかくの最後の修学旅行なので咲久と一緒がよくて」

「千花~!」


私はガタンッと立ち上がって両手を広げて千花を抱きしめようとすると真白が私の肩を押さえてイスに座らせた。


「咲久、スカートの中見えるから」

「短パン履いてるよ」

「そういう問題じゃないの。咲久と葉山さんと俺の3人しかいないならいいけど今は他の生徒もいるからダメだよ」

「分かった」


真白は優しく微笑んで私の頭を撫でた。なんか、すごい子供扱いされてる気がする。まあ、はしゃいで急に立ち上がるのは子供っぽいか。


「千花~、帰ろうぜ」

「亮太遅~い」

「悪い」

「いいよ。咲久、仁科先輩。途中まで一緒に帰ろ」

「うん!」


荷物を持ってマフラーを巻いて昇降口に向かった。それから靴を履き替えて学校を出た。



 4日後。修学旅行当日。今日は平日なのでお父さんもお母さんも仕事。歩いて行こうかなと思っていたら前日に真白から『俺が送るから準備できたら呼んで』と連絡がきた。断っても行くからの一点張り。そして、今、荷物を積んでいる。


「真白も学校なのにごめんね」

「俺が来たくて来たんだよ。3日会えないからせめて今日は会いたくて」

「そ、そう。なら、いいけど」


ホントさらっと照れることを言うな~。まあ、私も今日会えるのは嬉しいけど。


学校に着くと真白はわざわざ荷物をグラウンドまで運んでくれた。


「咲久~!おはよう~って会長じゃん!なんで!?」

「会長、おはようございます」

「おはよう、佐々木さん、葉山さん」

「会長も今日学校ですよね?」

「うん。でも、咲久の両親が車で送れないって言ってたし、せめて今日は咲久に会いたかったから。」

「咲久~、愛されてるね~」


千花はニヤニヤと笑って私の頬をつついた。伊織までニヤニヤしてる。まあ、自覚はあるけど。

それから数分後、ぞろぞろと生徒がやって来た。


「真白、すごい注目されてる」

「やっぱてきとうにあった服に着替えてきたからかな?」

「絶対に違う。まだ帰らなくていいの?学校あるのに」

「俺も他の保護者さんと一緒にバス見送ってから帰るよ。それにもう少し咲久を充電しないと」


真白は私をぎゅっと抱きしめて頭を肩に乗せた。めちゃくちゃ密着してるせいでドキドキしっぱなしなんだけど。今、絶対に顔赤くなってる。


「あ~!会長~!おはようございま~す!」

「七海、おはよう。朝から元気だね」

「待ちに待った修学旅行ですから!もしかして、会長も行くんですか!?」

「そんなわけないじゃん。真白は普通に学校」

「なんだ~」


なんだ、って。普通に考えたら来ないでしょ。留年してるわけじゃないのに下の学年の修学旅行に参加したいです!なんて言っても無理だし。



「じゃあ、そろそろバスに乗らないと」


すると真白は私の腕を引き寄せてキスをした。


「また、急に、」

「行ってらっしゃい。気を付けてね」

「……行ってきます」

「可愛い」


真白は私の頭を撫でてから手を振った。



バスで駅まで言って新幹線に乗って香川県まで行った。



「着いた~!」

「咲久!ピース!」


反射的にピースをすると千花が自撮りをした。え、待って。今めっちゃ変な顔した気がする。


「千花、見せて」

「いいよ」

「やっぱ私変な顔してる」

「まあ、これもいい想い出だよ。それに変な表情でも可愛いのは変わらないから大丈夫だよ。会長なら可愛い~!って抱きしめるくらい可愛い」

「すごく分かりやすい比喩ありがとう」


真白は四六時中可愛いって言ってくるけどね。


それから広場に行って、各々持参したお弁当を食べた。お弁当を食べ終えて、バスに乗って小豆島へ向かった。ちなみに今小豆島に向かっているのは小豆島にある最近姉妹校になった高校に向かっているからだ。


「あ、着いたみたいだね」

「ホントだ」


バスを降りてリュックを背負ってグラウンドに出た。するとたくさんの生徒が出迎えてくれた。全クラスの生徒が揃ったのを確認すると向こうの学校の男子生徒が前に出てきて挨拶をしてくれた。


「……よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします。私は桜川高校代表の小鳥遊です。今日は楽しい想い出を作りましょう」


最初はそれぞれのグループで各クラスに分かれてついていった。私のグループは2年1組に案内された。


「すごい!可愛い~」

「ホントの羽みたい」

「写真撮ってもいいですか?」

「どうぞ」


私たちは天使の羽が描かれている黒板アートの写真を何枚も撮った。それから、お話タイムが始まった。


「小鳥遊さんって何が趣味なの?」

「私は運動全般好きだよ。それと、甘いものが好きだからスイーツたくさん食べたりするのも好き」

「え!俺も!」

「嫌いな人はいないよね~」


あははと笑うとさっきまで頭を抱えていた男子生徒が私に声を掛けた。


「……あっ!小鳥遊さんってもしかして体操で全国行ったことある?」

「なんで知ってるの!?」

「俺も体操部で中学の頃全国行ってたんだよ。女子の部で優勝してたよね?」

「うん。もうやめたけどね」

「そうなんだ。残念。小鳥遊さんの演技、今でも鮮明に覚えてるよ。高難易度の技ばかりなのにすごく綺麗で力強かった」

「ありがとう」


私を知ってる人と会うなんてすご!しかも、中学3年の頃だからもう2年も前なのに。


「そこまで言われると頑張りたくなるな~。バク転ぐらいなら廊下で出来るかな?」

「咲久、スカート預かろうか?」

「ありがとう、千花」


私は廊下に出て屈伸をして立ち上がった。“丁寧に”“綺麗に”を意識してバク転をした。すると、拍手が起こった。


「咲久!めっちゃ綺麗だったよ!」

「ありがとう、千花」

「小鳥遊さん、ホントに綺麗なバク転だった。ホントにやめたの?って思うくらい」

「そう?ありがとう。えっと……」

「あ、俺、(きずな)潮田(しおた)絆!」

「いい名前だね」

「だろ!?俺、自分の名前好きなんだ!だから名前で呼んで」

「分かった。私も咲久でいいよ」


絆って犬みたいだな。尻尾と耳が見えそう。それにしても、筋肉の付き方が現役だな。

それから、4時前になってグラウンドに集まって挨拶をして分かれた。と言っても私たちはコテージに荷物を置いてもう一度ここに戻ってくるらしいけど。何をするかはお楽しみと書かれていたので分からない。



「まだ5時過ぎなのにもう暗いね」

「うん。それにしてもお楽しみってなにするんだろうね」

「なんだろうね」


また、グラウンドに集まると先生たちがニコニコして立っていた。


「お楽しみはこの学校で肝試しをします!はい、くじ引け~。都合上、何ペアかは3人組だけどほとんど2人組だからはぐれないようにな~。ペアは両校を混ぜてるからな~」


この教師は鬼か!しかも、11月に肝試しとか。季節感大切にしてよ!


「お、小鳥遊は1番だな。他に1番誰だ?」

「私です」

「よろしく」

「よろしくお願いします」

「じゃあ2階の音楽室まで行って1番って書かれた紙を取ってこいよ」

「「はい」」


私はペアの子と一緒に校舎に入っていった。もう、校舎は薄暗い。怖い!


「あ、あの、なんて名前なの?」

坂倉(さかくら)るみ」

「るみちゃんって呼んでもいい?」

「いいけど」

「私は咲久でいいよ」

「分かった。」


それからしばらく歩いているとるみちゃんが急に立ち止まった。


「咲久ちゃん、靴紐ほどけてるよ」

「ホントだ」


私はしゃがんで靴紐を結び直した。そして顔を上げてるみちゃんの方を見た。


「ありが……。るみちゃん?どこ?」


るみちゃんはいなかった。探して歩いてみたけどいない。どうしよう。怖い。るみちゃんどこ行ったの?1人は怖いよ。真白、助けて!私は無意識のうちに真白に電話をしていた。


『咲久?どうしたの?』

「真白~!助けて!」

『ちょっ、咲久!ホントにどうしたの?何かあった?』

「しおりにお楽しみってあったでしょ?それで、肝試ししてて、ペアの子とはぐれて校舎で迷子になってるの。暗いし怖いよ。」


私は子供みたいに泣いてしまった。私がやっと泣き止むと真白は落ち着いた声で話し始めた。


『そっか。咲久、そっちは晴れてる?』

「……晴れてるけど……」

『窓があったら見上げてみて。今夜は満月だよ』

「……満月?」

『咲久、月が綺麗ですね』

「うん。……え、どっち?」

『内緒。それにしても咲久、声明るくなったね。もう怖くない?』

「うん。ありがとう。真白、勉強中だった?」

『え、ううん。休憩中だよ』

「良かった」


真白の優しい笑い声が耳元で聞こえた。


『咲久、1人じゃないからね。誰かと合流するまで繋いでて』

「うん。ありがとう」


通話を繋げたまま来た道を戻っていると千花と伊織が私に気付いて駆け寄ってきて抱きついた。


「咲久!会長から連絡着たときはびっくりしたよ~!1人で頑張ったね」

「千花、」

「咲久、もう大丈夫だよ」

「伊織~!千花~!」

「それにしても泣いてるかと思った」

「さすがに泣かないよ」


あははと笑って頬をポリポリかいた。


『え~、泣いてたじゃん』

「ちょっ、真白!言わないでよ!」

『あはは、ごめんごめん』

「笑い事じゃないよ!」

『もう大丈夫そうだね。修学旅行楽しんでね』

「ありがとう。急に電話してごめんね」

『いいよ。咲久の声聴いてたら勉強のやる気出てきたから』

「じゃあね」

『うん』


通話を切ってスマホを閉じると千花も伊織もニヤニヤしながら私の顔を見た。


「ラブラブだね~」

「怖くて無意識のうちに電話してただけだもん」

「会長、私たちが来るまで繋いでたんでしょ?優しいね」

「うん。それにしてもるみちゃんも1人だけど大丈夫かな?」

「るみちゃんならそこだよ」


千花ら私の後ろに視線を向けた。私もつられて振り返るとるみちゃんと絆が立っていた。るみちゃんは私と目が合うとすごく申し訳なさそうな顔をした。


「るみちゃん、大丈夫だった?」

「え、」

「るみちゃんも1人だったでしょ?」

「私、わざと咲久ちゃんを1人にしたの。でも、怖いのがそんなに苦手だと思わなくて、ごめんなさい」

「いいよ」

「なんで許してくれるの?私、理由とか言ってないのに。」

「じゃあ、後で教えて。早く音楽室行こうよ」

「紙ならもう取ってきた」

「ホント!?ありがとう、るみちゃん」


私たちは出口に向かって歩いていった。外に出ると私たちよりも後に入ったであろうペアがたくさんいた。


「小鳥遊、遅かったな。暗いの苦手なのか?」

「違いますよ~。学校探検したくなっちゃって。遅くなってすみません」

「何もなかったみたいで良かった。ゴールしたらあそこで保護者の皆さんが作ってくれたおでんとおにぎりがあるから食べてこい」

「やった~!おでんめっちゃ好き!千花、伊織、るみちゃん、早く行こ!」


私はテントまで走っていっておでんとおにぎりをもらった。


「美味しそう~!ありがとうございます!」

「どういたしまして。熱いから気を付けてね」

「はい!」


千花と伊織とるみちゃんと並んでイスに座っておでんを食べ始めた。


「るみちゃん、理由、教えてくれる?」

「うん。私さ、絆の幼馴染みなんだ。それで、絆のことが好きなの。でも、咲久ちゃんとばっか喋ってたし、家に荷物置きに帰ったんだけどそのときも咲久ちゃんの話ばっかしてて、嫉妬して、咲久ちゃんにも少しぐらい嫌な思いしてほしいって思った」

「そっか。あのね、言い訳に聞こえるかもだけど、私彼氏いるし他の人は恋愛対象にならないっていうか告白されても意識できないくらいだから話してても心配しないでほしい」


すると、るみちゃんは驚いた顔をした。千花と伊織は可笑しそうに笑った。


「咲久は会長のこと大好きだもんね」

「うん!あ、いや、その……」

「心配する必要がないのは分かったよ」

「よかった」


それからコテージに戻ってお風呂に入ってすぐに寝た。やっぱり移動で疲れたせいか寝付きがよかった。


2日目は小豆島を出て高知県に行った。残りの2日は高知にある宿に滞在する。そして、2日目は主に漁業体験をする。


「咲久~!見て!釣れた!」

「千花すご!私、まだ1匹も釣れてない」

「次は地引き網だから皆捕れるよ」


漁師さんが笑って千花の釣った魚をクーラーボックスに入れた。

それからクラス全員で地引き網をして宿に向かった。


「疲れた~」

「浴衣着よ~」

「そうだね」


浴衣に着替えて部屋の皆でトランプをして大広間に行ってご飯を食べた。それから大浴場で温泉に浸かって部屋に戻ってきた。

今日も漁業体験で疲れてすぐに寝てしまった。


3日目、今日は1日中高知観光だ。朝食をとって制服に着替えてすぐに宿を出た。動物園に行って色んなお店が集まった温泉街に行った。私は元々行こうと決めていたお店があったので1人でそのお店に行った。


「お姉さん、1人?」

「修学旅行で来てるので友達が待ってます」

「よかったらさ、俺、案内しようか?俺、この辺地元なんだ」

「ありがとうございます。でも、遠慮させてもらいます。お土産買った後に寄りたい場所もあるので」

「いいじゃん。1人でついて来てくれるならいい所に連れていってあげるよ」

「それは、彼氏がいるので遠慮しますね」


私は微笑むと男性は舌打ちをして帰っていった。私もみんなのいる場所に戻った。


「お待たせ~。ってあれ?なんか人増えた?長谷くんじゃん」

「たまたま会ったんだ。小鳥遊さん、一緒にまわってもいい?」

「まあ、皆がいいなら」

「ありがとう。俺、小鳥遊さんと話してみたかったんだよね」

「そうなんだ。ありがとう」


それからお土産を買ってお昼ご飯を食べて観光をして宿に戻った。

戻ってすぐに浴衣に着替えた。私たちの部屋は6人部屋だったけど他の部屋の子も呼んで恋ばな大会を開いた。


「咲久ちゃんの恋バナ聴きたい!」

「私も!」

「私も!」

「質問に答えるくらいならいいけど」

「やった!」


すると、皆でじゃんけんをして勝った人がばっ!と手を挙げた。


「会長の好きなところは?」

「いっぱいあるけど挙げるとしたら、ちょっとした変化に気付いてくれるところと、普段大人っぽいのに笑顔が子供みたいに無邪気で可愛いところ」

「じゃあ、告白はどっちからした?」

「私」

「じゃあ……」



「やっと抜け出せた~」

「今は伊織が質問責めにあってるけどね」


千花は部屋を覗いて笑った。すると、私のスマホにメッセージが着た。


「田辺くんからだ。」

「なんて?」

「大浴場近くの自販機まで来てだって」

「行ってら~」

「うん」


呼ばれた場所に行くと田辺くんと仲がいい日南(ひなみ)くんがいた。


「田辺くん知らない?呼ばれたんだけど」

「俺が頼んで呼び出してもらったんだ。小鳥遊さんに伝えたいことがあって」

「うん。」

「俺、小鳥遊さんが好きだ。俺みたいにバカな奴にも変わらず接してくれる優しいところが好き」

「日南くん、ごめんなさい。私は好きな人がいるから。だけど、好きって伝えてくれてありがとう。すごく嬉しい」

「うん」


私はもう一度だけお礼を言って部屋に戻った。それにしても驚いた。日南くんは蒼空の部活の先輩で弓道の大会に応援に行ったり差し入れ持っていったりしたときに仲良くなっただけだけど告白されるとは思わなかったな。きっとすごく勇気出してくれたんだよね。ありがとう。


4日目。今日は10時にチェックアウトして、お昼ごはんのお弁当を食べて新幹線に乗って帰る。

お弁当は宿の近くの広場で食べた。そして、新幹線に乗って桜川高校に帰ってきた。ちらほら帰っていく。私も荷物を持って校門に向かった。


「帰ってきたって感じだね」

「後輩にお土産配んねえと」

「あ、咲久。会長来てるよ」


千花に言われて校門の方を見ると真白が大きく手を振っていた。


「咲久!おかえり!」


真白は私の方へ走ってきて私を抱きしめた。


「ただいま」

「楽しかった?」

「うん!小豆島の景色綺麗だった!」

「いつか一緒に行こうね」

「うん!」

「じゃあ、そろそろ帰ろっか」

「うん。千花!五十嵐!またね!」


「ああ」

「うん!」


2人に手を振って真白の車まで行った。荷物を積んで助手席に座ると真白は私にキスをしてエンジンをかけた。


「自分からキスしてきといて照れないでよ」

「今のは完全に無意識だったから俺も不意打ち食らったみたいなものだったの」

「私も完全に不意打ちだった。2人して顔真っ赤なのって面白いね」

「そうだね」


真白は笑って車のアクセルを踏んだ。珍しく真白の照れ顔見たな。まあ、私は運転してる真白の横顔見るだけで未だに照れるてるけどね。


「送ってくれてありがとう」

「どういたしまして」

「よかったらご飯食べていかない?お土産の鰹のたたきもいっぱいあるし、お父さんとお母さんは仕事だから」

「じゃあ、甘えようかな。車置いてくるね」

「うん」


私は荷物を持って家に入った。元はと言えばお母さんがお礼したいから晩ごはんに誘ってって言ってたんだけど急な仕事で蒼空が準備してくれることになったんだよね。


「ただいま~。蒼空、鰹のたたきと鰹節買ってきたよ」

「ありがとう。真白は?」

「車置いてくるって。私は先にお風呂入ってくるね」

「ああ。」


荷物を部屋に持って上がって莉久に声を掛けてお風呂に入った。あ~、やっぱりうちのお風呂が一番くつろげるな~。

お風呂からあがって髪を乾かしてリビングに行くと真白が莉久に勉強を教えていた。


「じゃあここは、3!」

「正解」

「やった!宿題終わった!」

「お疲れ」


莉久はソファに寝転がってぐっと伸びをして立ち上がった。


「真白兄、ありがとう!」

「どういたしまして」

「湊に自慢してくる!」


莉久は階段を駆け上がっていった。ホントに莉久は湊のこと大好きだな。莉久はまだ自分の気持ちに気付いてないのかな?早く気付いて恋バナ聴かせてほしいな。


それから蒼空がご飯を準備してくれて皆で食卓を囲った。


「鰹美味しい~!」

「お味噌汁も美味しいね。鰹節使ったの?」

「ああ。やっぱり本場のは美味いな」

「蒼空ってわざわざ出汁を取って味噌汁作ってるの?俺は粉末の出汁いれるだけだよ。」

「俺も毎日出汁をとってる訳じゃない。時間があるときだけだ」

「俺も今度やってみよ。」


私も出汁取って料理なんてしたことないな。私はそもそもあんまり料理しないからな。月に4回はするけど。蒼空とお母さんのお休みデーには私と莉久とお父さんだけで家事をする。大変だけど、普段それを2人でこなしているお母さんと蒼空はホントにすごい。私もこれからはもう少しお手伝いしよ。

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