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148 一つだけ有る! (改訂-5)

【一つだけ有る! 】をお送りします。


宜しくお願いします。

「グラン バルサラダード ヘルム 闇の精霊よ、光の精霊よ! 大いなる世界の理りの王達よ! 我に力を! 」

 マーリンが詠唱の声に力を込めてゆく。両手にほんのりと小さな光の粒子が集まってくる。




「権限せよ!  零式六大精霊王降臨(エレメンタルオーケストラ)!!!! 」

 虚なる神の目の前に六つの召喚魔法陣が形成され、その中から異なった精霊が召喚される。



「地、水、火、風、闇、光の各精霊王を召喚した! 神と言えどもそう簡単に突破はできぬぞ! 行け! ヒロト! 」



「おう!! 」

 マーリンの声に後押しされヒロトが跳躍した。




◆◇◆



 あの世とこの世の境目にその世界はある……



 あると言うべきか、その世界の存在じたいあやふやな世界……跳躍したヒロトがその世界に現れる。他の二人と共に。目の前には荒涼とした大地が広がっていた。




「ここは?! ここに時貞が? 」

 武蔵は目を凝らして辺りを伺った。



「おっさん! あれ! 」

 九郎が目で合図する。前方に朧げな姿で時貞が現れる。



「クライン……あんた正気に戻ったのか? 」

 ヒロトは剣を抜き放ち、臨戦態勢に入る。いつの間にかヒロトの隣りにクラインが立っている。



「ああ、詳しい話しは後だ。今は奴を始末するぞ! 」

 クラインは何処からか両手に円月刀を握り込み、神霊力を練り込めて行く。

 時貞は目を瞑ったまま微動だにしない。その時貞の体から神霊力が膨れ上がる!



「……黙って神に取り込まれればよいものを……」



「あいにく貴様ほど人類に絶望もしちゃいないんでね。そろそろ退場して貰うよ」

 ヒロトの剣の白刃が輝きを帯びる。白くなったかと思うと、青く、そして赤くか輝き、さまざまな色に変化する。



「……貴様も無詠唱魔法を使うのか? そんなデータは無かったが……さまざまな精霊術を重ねがけしているのか? 」

 時貞はまだ動かない。

 ヒロトは魔導演算の領域キャパの割り振りを変える事によって無詠唱も可能だった。今までは必要が無かっただけだ。

 武蔵と九郎が飛ぶ様に走る!



「もう用済みの下郎共が! 死んでしまえ!! 」



 時貞が両腕を交差し、その両手を一気に武蔵と九郎へ突き出す! 凄じい衝撃波が二人を襲う! 必死に耐える二人。この世界でもジャンヌの加護が生きている。

 その二人の影からヒロトとクラインが飛び出す。必殺の斬撃が時貞を襲うが、障壁に塞がれてしまう。



「どの属性攻撃も効果が無い? 」

 更にヒロトは魔導演算を継続する。量子電脳AIアップルシードが多数の高速演算を行っている。



「効果が無い訳ではない。奴は属性を入れ替えている。時間を稼いでくれ」

 クラインが下がり詠唱を始める。



「時間など稼がせぬ! ドーマンセーマン 黄泉の穢れより出でよ、破壊と共に権限せよ! 」



 時貞が印を素早く結び、足で五芒星を描く。

 巨大な影が現れ、その中から形容し難い、この世の者では無い何かが這い出て来る。



「何だこいつらは?! 」

 湧き出た異形の者共を武蔵と九郎は斬りまくる。



「こいつら、黄泉平坂の穢れだよ! 鬼一法眼が編み出した古神道の呪詛だ! 」

 古事記にある異界から這い出てくる穢れと呼ばれる者共だ。九郎は六韜の魔が祓いの足運びで、結界線を地面に引きながら戦う。線が結ばれた時、そこに安全地帯が生まれた。



「この中に、穢れは入って来ない! 」

 九郎はクラインを結界内にいれ、自分は外で武蔵やヒロトと共に戦う。



「大いなる願いのうちに、われアリストラスの末裔が命じる! グラスカルナ バラス ドゴスアルファ 闇の眷属よ! ダゴンの王よ! 暗黒惑星より出でよ! ガイナス ストラ! 」

 クラインの詠唱によるものか、時貞の足元の地面が吹き上がり、時貞を中心に土が渦を巻く!



暗黒龍王惑星圧搾陣(ガイナスストライダース)!!! 」



 クラインが突き出した右手に赤黒い閃光が輝きだす!広げた手のひらをゆっくりと握り締める! その瞬間、時貞の周囲の土や石、砂鉄や細かい微粒子までが、時貞にまとわりつき、体に吸着していく。



「周囲の物質を時貞の体が引き寄せているのか? 」

 ヒロトは見たことのない術だ。既に直径が五メルデを超えて、さらに大きくなっていく。

 グラウスが拳を更に握り締めると、その球が拳に合わせて圧縮される。



「時貞を核としたブラックホールを作る気か?! 」

 そんな事を言ってる間にもどんどんと圧縮されて行く。普通ならこれで終わりだが、クラインは更に圧縮させて行く。



「……あくまで時間稼ぎだ。奴が転生者だと言う事を忘れるな。首を刎ねなければ奴は滅びない。またそれとは別に特殊な転生術がかかっているから、滅びてもまた転生する」

 クラインは更に圧縮し続ける。



「……ひとつだけ方法がある。リアル世界の魔術や魔法が通用しない世界へ奴を放り込む」

 ヒロトは何かを決意した様だ。



「そんな世界があるのか? どんな異空間に奴を転送しても、必ず復活するぞ」

 武蔵は穢れを祓いながらヒロトの側による。



「一つだけある! 」

 ヒロトの目には迷いは無かった。




【一つだけ有る! 】をお送りしました。


(映画 キューブを観ながら)

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