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143 虚なる神 (改訂-5)

【虚なる神】をお送りします。


宜しくお願いします。

 この世界には支配者という者は居なかった。


 約五千二百年前に完成した世界ネットワークを管理するシステムがアリストラス超帝国のインフラだけでなく、社会その物をコントロールする様になって政治という概念が不要となったのだ。だがそれでも人間の欲求を完全には制御できなかった。

 テロが頻発する様になり、システムはその事実に蓋をして無かった事の様に振る舞うようになっていった。それらをプログラムのバグとみなして、闇から闇に葬る為の組織がシステムによって創設された。だがそんな矛盾を孕んだまま二百年が経過した頃、世界の歪みに限界が訪れた事を導き出したシステムは、再度世界を創世記からやり直す事を考え出し、その為の神を作り始めた。

 システムによって作られた神は神の子宮と呼ばれる製造システムの中で、自ら凄まじい速さでこの世界を学習し、そして結論づける。人類は不要であると。



「あと5分で衛星軌道上から奴が降下します」



「超帝国旗艦メタトロン並びに、外惑星機動艦隊は降下中の奴に攻撃を開始しましたが、効果が認められず! 」

 巨大な艦艇からビームの奔流が、何かを攻撃している。


「メタトロンが次元バーストを開始するまで、アヴァロンで盾になるんだよ! 」



「無茶言わんで下さい。アヴァロンの装甲もガタガタなんですよ! 」



「無茶でもやるんだよ! 」

 その瞬間、またいくつかの艦艇が消滅した。




 



『……なんだこの映像は……頭が痛い……夢では無い? 頭に映像が流れこんで……』

 ヒロトは次の瞬間、覚醒した。



(……意識が飛んでいた? こんな時に? だが時間にして、五秒もたっていない……)




 時貞とクラインの身体がゆっくりとスライドする様に重なり合い、一つとなった。

 時貞の神霊力が一気にに膨れ上がる。身体的にも若返っていた。



「ふっふっふふ……ふぁっはははは!!! 」



「貴様! クラインと一つとなって……なにをした? 」

 アーサー王は、時貞の神霊力があまりにも巨大化したために、焦りを覚えた。



「……此奴の魂と身体は、我の肥やしとなったわ! これで超帝国の聖なる血も我の物となった」



「お兄さまを……なんと言う事」

 エレクトラは倒れそうになる心と身体を踏ん張って耐え忍んだ。



「……まさに鬼だな時貞! 」

 ヒロトは素早く右手で術式を組み上げて行く。



「でなければ、此奴のこんな力、なんになる?! 」

 そう言って時貞が左手を掲げた瞬間、一気に神霊力が吹き出して暴風になった。



「くっう!! やるぞ! 」



 グラウスは黒い手帳のページをめくり、前に腕を突き出してかざす。手帳の中から馬に跨った白金の騎士が現れた。馬の頭には一本の角が生えている。ユニコーンと呼ばれる聖獣が四体。時貞に向かって突撃を開始した。

 ウィリアムが気合と共に剣を振り切った。



「波動剣!! 」



 切先から青白い波動が時貞に向かって飛ぶ! それを時貞は扇子の一振りで叩き落とした。更に横殴りに扇子を振るうと、騎士の乗ったユニコーンも全てかき消えた。



「そのような無駄な攻撃を! 」

 ゆっくりと時貞の身体が浮かび上がり、虚空を見つめる。



「貴様らの相手などしてはおれぬ。神をお迎えしなくてはな」

 そう言った瞬間、時貞の姿がかき消えた。



「跳躍した?! いかん外に出られたぞ! 」




◆◇◆




「赤い月が移動を開始しています」



 月と言っても、本来の月の約二百分の一のサイズしかないが、距離的に本来の月よりも地球に近い位置にある為、地上からは二つ共、同じスケールに見える。だが赤い月が移動を始めた為、段々と大きく見えた。



「地球の重力に引かれている筈なのに、速度が一定です。自律的に速度を調節しているとしか、思えません! あと二十分でロード・グランデ上空に到達します! 」

 フェルミナは自分の理解を超えている為、声が震えている。ジークフリードは直ぐに指示を出す。



「地上部隊に通達、国境まで退避! どんな攻撃があるかわからんぞ。第一種警戒体制! 」

 するとグラウスより通信が入った。



「ジークフリード! あの月を攻撃せよ! あの中に居る物を殲滅するのだ! 」

 


「は! 攻撃を開始します。みな聞いたな?! 火器管制をあの月に集中! 」

 エルトリアがアヴァロンの照準を赤い月に固定する。



「主砲旋回、ターゲットロックオン……撃ち方はじめ(ファイエル)!! 」

 ジークフリードが右手を振り下ろすと同時にアヴァロンの主砲が発射され、降下する赤い月に着弾した!

 まともにアヴァロンの主砲弾が直撃し、月の外殻が炸裂し、ぼろぼろと破片が降り注ぐ。



「急速に高エネルギー反応が上昇! 」



「回避しろ!! 対ショック防御! 」

 アヴァロンが右に舵を切った。炸裂した月の中からの高エネルギー体がアヴァロンを掠める。



「……何かが現れます……あれは何? 」



 フェルミナは自分が見ている物が、信じられなかった。純白の六枚の翼を広げた人型の存在。クリスタルの様な身体から神霊力が溢れ出している。時貞は神だといった。だがアリストラス超帝国の文献には世界を滅した虚ろなる悪魔と記載がある。



「……偽神……」

 エルトリアが思わずつぶやいた。

【虚なる神】をお送りしました。


(映画 シン・エヴァンゲリヲンを観ながら)

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