141 終わりの始まり (改訂-5)
【終わりの始まり】をおおくりします。
宜しくお願いします。
常世の祭壇の……
冥府魔道の結界内にある……
闇の深い穴……
その穴から凄じい轟音と共に……
閃光が溢れ出す。
「……約束の刻だ……」
蘭丸と呼ばれる銀髪の男の顔は歓喜に打ち震えている。閃光が溢れ出たかと思った次の瞬間、光が一筋の束に収束され、第九十九階層から上の階層を光が突き抜けて天空に走る!
アヴァロンの艦橋に緊急警報が鳴り響いた。モニターに退避を勧告する表示がなされる。
「未知のエネルギーが、ロード・グランデ大迷宮から発生! 」
エルトリアは、すぐさまエネルギーの解析を始めた。
「あの光は何処に向かっている?! それになんだこの表示は? 」
ジークフリードはメインモニターに光の筋が天空に向かって走るのを目撃した。そのエネルギーを感知したアヴァロンのモニターに、【創世記システム起動】と表示される。
「宇宙座標16:18:52 ……赤い月です!! 」
「フェルミナ! アヴァロンを起動! 地上の軍をグランパレスまで退避させろ!! 何か始まるぞ! 」
◆◇◆
「始まった?! ……間に合わなかった」
ヒロトは本能的に空気が変わった事を感知した。
「行こう、九十九階層へ! 」
グラウスが皆に促す。補給部隊は地上へ返した。ここからは、死地になる。
「俺の記憶と大分違う……魔神は解き放たれていない? それどころか、魔神すら奴らは贄にするつもりだ…… 」
「宝珠を魔神が取り込んだ瞬間、そのエネルギーが収束されて、天空に向かって走った……どうなっているんだ? 」
グラウスは焦りを覚えた。やはり予言と異なり過ぎている。
「うぐっつ!? 」
ヒロトがいきなり頭をかかえて、うずくまる。頭の中で鐘の音が響き渡る様な感覚。
「どうしたのじゃ、ヒロト! 」
マーリンとジャンヌがヒロトの身体に駆け寄った。
「頭痛が……だだいじょうぶだよ……」
ロード・グランデに入ってから段々と頭痛が酷くなり、間隔も短くなって意識が一瞬飛んだ……
「う………っう……」
『……お兄ちゃん……お兄ちゃん! 目を覚まして! 』
(ユイ……ユイなのか? )
『……博人! 博人! ……何故目覚めないんだ?! 』
(…….父さん? 父さんも? ……)
「う……っあ、頭が……なんだ今の映像は? 夢? 」
数秒だが、ヒロトの意識は現世に戻っていた。
◆◇◆
ヒロト達一行は、遂に最下層に到達した。他方もない幅のある回廊を進んで行く。何処で稲妻の音が聞こえる。階段を降りた距離と、地面から天井までの距離の辻褄が合わない。空間が歪曲している。
「……ヒロトが見た超帝国崩壊の映像だっけ? よく考えたらさ〜誰がどうやって、その五千年前の崩壊の元凶を止めたんだろうね? 」
頭の後で腕を組みながら、九郎がしみじみ話しをする。こんな時だけど、流石に肝が座っている。
「たしかに……崩壊が始まった映像しか無かった……それに実際にどんなものが暴れてたのかも……」
「まあ、行ってみりゃ〜わかるだな」
ビリーも何処までも能天気だ。三十分ほど進むと目の前に巨大な両開き扉が見えて来た。ジャンヌは歩きながら、今朝キャンプ地で作ってきたサンドイッチの残りをかじっている。
「よく食えるな? あきれたもんじゃ〜」
マーリンがやれやれと言う顔で、でも何処か嬉しいそうだ。ジャンヌもマーリンも普段通りだなと、ヒロトは思う。
「食欲が有るのはいい事ですよ。腹が減ってはなんとやら」
総司も相変わらずだ。武蔵もウィリアムもうんうんと頷いている。小次郎はげんなりして、話しには入って来ない。
でもこの皆と共にここまで来れた事がとても嬉しかった。
「お主らを見てると飽きんの〜」
クレオパトラもヒロトと同意見みたいだ。アーサー王も笑顔で答えてる。
「さあ! ご一同、心の準備は良いかな? 」
グラウスが扉のロックを開ける術を発動させた。ここまで来た者に恐怖も気負いも無い事は分かっている。あとは向かうだけだった。
「本当にいいんだね? 」
ヒロトが再度問いかける。
「はい。もう後悔をしたくは有りません。兄が愛した父母の為にも! 」
エレクトラは補給部隊と地上に戻らずに最後まで残ると言い張った。最後まで見届ける事が私の責任だと心に決めていた。
「わかった。皆で君を守ろう」
アーサー王もエレクトラの肩にそっと手を置き、この気丈な女性を愛おしく感じた。
【終わりの始まり】をお送りしました。
(映画 ロードオブザリング3 を観ながら)




