140 中華最強再び (改訂-5)
【中華最強再び】をお送りします。
宜しくお願いします。
七つの宝石が嵌め込まれた杖を、
クラインは右手で弄びながら、
この迷宮での出来事を知覚していた。
「……ロンメルの反応が消えた……」
(死んだのか? それとも……)
「では後は呂布一人ですね。もうすぐですよ」
銀髪の男は身振りを交えて話しをする。目には狂気が宿っている。
「そう上手く行くか? 」
「行きますとも! この時を八百年待ったのです。呂布はすでに第九十階層で待ちかねてますよ」
「何故、一気に向かわせなかった? 」
「この迷宮で順番に殺し合わせる事も、術式の一つなのですよ」
「そして、最後が貴様という訳か? 」
だがこの時、クラインの心中には疑念が生まれ始めていた。
◆◇◆
第九十階層へ向かう一行は、
ヒロト
武蔵
総司
小次郎
グラウス
ジャンヌ
この六名だ。
「この扉の奥に九十階層の階層主がいる筈だ」
そう言ってヒロトが扉を押し開いていく。真っ暗な空間に魔法の灯りが手前から順番にともってゆく。そしてもう一つ扉があり、その中にはまた巨大な空洞空間が広がっていた。広大な空間の中央には一人の男が待ち構えている。
「待ちかねたぞ!! 」
呂布だ。武蔵と総司は嬉々として前へ出る。
「貴様と再度戦えるとは有難い! 」
武蔵は初めから二刀を抜いた。総司も刀を抜いて青眼に構える。
「こいつは何者だ? 」
小次郎もこの男のただならぬ妖気を受けて、背中の剣に手を添える。
その瞬間、大地が大きく揺れ、亀裂が出来たかと思ったら、そこから火炎を吐きながら、黒い巨体が這い出てくる。その鋭い牙は何者でも噛み砕きそうだ。
「エンシェント・ドラゴン?! まさか魔黒龍か? 」
グラウスも戦闘態勢に移行した。呂布が魔黒龍と呼ばれた存在の背乗る。巨大な羽根を広げて、呂布を乗せた魔黒龍が舞い上がる!
「ハンパないわね」
ジャンヌに天使の6枚の白い羽根か現れて、身体が宙に浮いていく。フルスロットルで神霊力を膨らませて行く。
「呂布……こいつが最後の転生者か……」
ヒロトも剣を抜き、その白刃に右手人差し指を添えて、詠唱を始める。
天から舞い降りて、強烈なドラゴン・ブレスを武蔵に向けて放った! 直撃したかと思われたが、武蔵の周りをジャンヌが張り巡らせた見えない障壁が取り囲み、防ぎきる。
総司が最速の突きをドラゴンに放つ! 三連続の衝撃波がドラゴンと呂布に襲いかかるが、それを呂布が鉾の一振りで弾き飛ばす!
「真・燕返し!!! 」
背中の長刀を小次郎が居合い斬りの要領で抜き放ち、袈裟斬りの一撃から、神速の跳ね上がりを魔黒龍に叩き込む! 魔黒龍の胴に裂け傷が走る! 小次郎の刀剣から青白い焔が立ち昇る。闘気が眼見えるのだ。たまらずドラゴンの左足の爪が小次郎を弾き飛ばした!
グラウスは黒革の本のページをめくり、そこから夥しい数の鎖が吹き出した。その鎖がドラゴンに巻きついていく。
「小賢し!! わが鉾の一撃を受けてみよ! 」
呂布が鉾を回転させながら、神霊力を鉾の先に集中させてゆく。次の瞬間、空間が炸裂した!!
グラウスと小次郎はズタズタに引き裂かれ、意識が飛んだ。総司が超神速の動きで呂布の注意を惹きつけ、武蔵が十握剣を上から下に振り切った! 呂布の左目から左胸が裂けて血飛沫が散る!
「北方の悪魔王、南方の悪魔王、西方の悪魔王、東方の悪魔王、四方を支配する王よ、ヨミの穢れを支配する王よ、アバドンの黒き闇より穢れの軍団を誘え、我に従え! 」
「暗黒穢餓鬼空間!! 」
ヒロトの詠唱が完了し、漆黒の地獄へ通じる穴がエンシェント・ドラゴンの真下に展開され、そこから無数の巨大な蛇がドラゴンに喰らいつき、地獄へ引き摺り込もうとする。呂布は必死に蛇の首を叩き落とすが、ついに雄叫びをあげながらドラゴンは穴へ落ちていった。
「小癪な真似を!! 」
大地に降り立った呂布が鉾を横殴りに振るう! 衝撃波がヒロトを襲うが、なんとか耐え凌ぐ。
「大天使ミカエルよ! 忠実なる僕をお救い下さい! 聖なる導き与え給え!! 神失楽砲撃波!!!! 」
ジャンヌの合わせた手の掌に強大な神霊力が収束し、一気に解放された!! ここは地下九十階層だと言うのに、天から一筋の光が呂布に振り注ぎ、無数の光の羽が呂布目掛けて襲いかかる。
「なんだ! この光は、恐怖は感じない? むしろ暖かくて……安心を感じるだと?! 」
呂布の身体が分子崩壊を起こして行く。体を構成する細胞が、分子レベルで崩壊し、さらに原子へと分解されて行く。それでも呂布は武蔵に矛の一撃をみまった。
「これが生きるという事か?! 」
「お前は生に執着し過ぎた! 」
呂布の強烈な一撃を流水でかわし、武蔵が呂布を上段から股間まで一気に切り裂いた!
「……おお、生きるという事は、終わりを迎えるという事と同じだな!! 」
呂布はどこか全てを吹っ切れた、清々しい顔をしていた。いつのまにか、広大な地平線に愛馬と共に駆け抜ける自分がいた。自分が欲していたのは、この広がりのある自由だった。ただそれだけだ。
「感謝するぞ、最後に強い者達に……会え……て」
呂布の身体は、その魂と共に大地に帰って行った。
【中華最強再び】をお送りしました。
遂に真の災厄が発動します。
(映画 ロードオブザリング2 を観ながら)
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