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135 さよならインターバル (改訂-5)

【さよならインターバル】をお送りします。


宜しくお願いします。

 ロード・グランデ大迷宮第六十階層……


 天井には夜空が映し出され、


 ここが地の底だと言う事を忘れてしまう。


 補給部隊が到着し、巨大な天幕を設営していく。


「調べれば調べるほど、不思議なところじゃな……」

 マーリンと晴明とでこの階層を調べて回ったが、この場所にある植物や小動物、虫など全て外界と変わらない状態で生存している。夜空どころか、風まで吹いてくる。



「何かの実験場か……」



「それより、温泉が沸いておるぞ。皆で入ろう」



「マジで言ってるの? 敵地だよ。それも第六十階層の」

 ヒロトは時々マーリンの大胆さに舌を巻く。



「ここに晴明と妾で結界を張った。当分は大丈夫じゃろ。これからどんな戦いになるか分からんから良いじゃろ? 」



 グラウスと話しをして、希望者は温泉に入る事になった。もう一日身体を癒す事にする。この広大な階層は、ゴドラタン帝国のスタージンガーの宮殿がすっぽり入るほどの広さがある。その中に、温泉もあれば、川も流れ滝もある。



「いや〜。極楽極楽! 」

 ビリーは真っ先に温泉に入ってバタバタと泳ぎ回る。


「隊長……変な事はしないで下さいよ 」



「おれっちが、変な事なんかしないだなよ〜」



「……またお湯に溶ける水着とか用意して来てるんじゃ? 」



「こんな場所に温泉があるなんて、わかる筈無いだろ! 」

 メイデルやライラから冷たい視線を送られるが、全く気にしてない。

 するととてもいい匂いが漂ってくる。



「何やってんの? 」

 ヒロトがリプリスに問いかける。



「あ! ご主人様! いまアヴァロンから食料物資が到着したので、これからここで調理します」

 リプリスとメイデル、ジレそしてカノンが調理してくれるそうだ。



「あと、本国から補給物資がロード・グランデ大迷宮入り口の駐留部隊に到着したので、すこし趣向を考えました」

 カノンがなんだか嬉しそうに話す。



「趣向? 」



「題して、ロード・グランデ食べ放題選手権!! 」



「何だそりゃ? 」



「私が提供するデカ盛りフルコースを残さず食べれたらプレイトゥ商会お買い物券を一万ギニー分 プレゼント! 」

 カノンはポケットからお買い物券を取り出して見せる。


「一万ギニー! 凄いな」


「そのかわり、食べきれなかった方には五千ギニーを支払って頂きます」

 この辺が流石商人だ。ただでは起きない。



「奮って御参加下さい!! 」

 かくして、参加者が思いの外集まった。


【参加者】

九郎

バロフ

武蔵

ライラ

ジャンヌ

ビリー



以上六名!



 「さあ! 待ちに待った食べ放題選手権! 我がプレイトゥ商会がご提供するデカ盛りフルコースを始めさせて頂きます! マイクパフォーマンスは私 メイデルが担当させて頂きます! さあ! スタートです! 」

 いつプレイトゥ商会に入ったのか不明だがメイデルが火蓋を切った!



「まず最初のお料理は前菜! サーモンのカルパッチョ、アンチョビ風味! 」

 どんぶりにサーモンとレタスが山盛り入っている。



「余裕! 余裕! 」

 ビリーがどんどん平らげて行く。次に出て来たのは、どんぶりに入った、香草と魚介のスープ ゴドラタン風。

 それも難なくみんなクリアして行く。



「がははは! 所詮はこのドワーフ最強の胃袋をもつ儂の敵ではないな! 」

 バロフは尋常じゃないスピードで口に料理を放り込む。



「ふん! 酒では遅れを取ったが、食べる事に関しては負けんぞ! 」

 武蔵も負けじとスープを飲み干す。

 次に出て来たのはアリストラス名物の巨大川魚ラーグの丸焼き。体長70センツの大物だ。何とか皆、格闘しながら平らげて行く。



「武蔵様〜もう食べ過ぎて胸が一杯です〜」

 ライラが武蔵の腕に豊満な胸を押しつけていく!


 ブッフー!! 


 武蔵が鼻血を噴き上げて後ろにぶっ倒れてしまった!



「お〜っと! 武蔵殿が脱落です! ライラ殿もギブアップ! まさに共倒れ! 仲がいいこと〜」



「ふん! だらしないオッサンだな〜! 余裕! 余裕! 」

 九郎は魚の白身を食べ切った! 次の料理は巨大ピッツァだ!

 カノンは調理をしながら、選手の腹を確認していく。


 (さあどうかな? 皆大分腹が膨らんで来たな! ビリーもだいぶ腹が膨らんで来た。九郎もそろそろか? バロフは流石ドワーフだけあってまだまだだな。……ジャンヌは……全く腹が出ていない? なんだ? あの腹は? )

 

 ジャンヌのペースはゆっくりだが、確実に料理を片付けて行く。食べ方に余裕すら感じる。



「次の料理は、野生の鴨の丸焼きと猪の丸焼きのダブル攻撃だ。腹にキノコのリゾットをたっぷり詰め込んで、バターたっぷり塗って塗って、こんがり焼いて! 」



 カノンはノリノリで料理を送り出した。鴨のモモ肉を食べていたビリーの様子がおかしい。猪を半分ほど食べた九郎も段々と顔が青白くなる。ビリーと九郎はヨタヨタと千鳥足で、グラウスに近づいていって、足元に縋り付く。


「わ……」

「あ……」



「あぁ?! 何だって? 声が聞こえないぞ? 」



「わ……わ我が友よ! ……支払いを……」

「あ……あ兄上! ……支払いを……」

 ビリーと九郎はグラウスの足に抱きつきながら力尽きた。





 


【さよならインターバル】をお送りしました。

(映画 コンフィデンショマンJPを観ながら)


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