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134 天十握剣 (改訂-5)

【天十握剣】をお送りします。


宜しくお願いします。

 瞬銀河の星々は……


 この世界も現世も等しく永遠を感じさせる……


 衛星軌道上に浮かぶ戦闘衛星アルテミス。


 ロード・グランデ大迷宮上空に到達したファイヤーグランドライン世界の魔導科学の結晶が、ヒロトの魔眼と連動、起動し始める。


(……カウント……弐……壱……ダークマター圧縮二十%……普通のレーザー攻撃とは一味違うぞ)



『リョウカイデス。圧縮率は35%に固定きますか? 』



(イエスだ。トリガーは俺に)



『了解。トリガーをマスターに』



 アルテミスの下部に超電磁パルスが発生し、光のリングが浮かび上がる。そのリングがゆっくりと収束していき、丸い光の球と化した。その球の中心に漆黒の球が重なる。



(……反物質収束砲……最小出力で発射!! )



『ターゲットロック……ファイエル』



 それが一気に地表に発射された! 地表から四万メルデ上空の宇宙空間から発射されたエネルギー弾は惑星の重力に引かれて更に加速する。地表に着弾したエネルギーは、グラウスがいる第六十階層まで到達した。



「……ななんだ? この光は?! 」

 ラスプーチンの頭上から細い光の筋が幾重にも降り注ぐ!



「いいかん! 」



 ラスプーチンはすぐさま五重の魔法障壁を展開したが、強烈な光の奔流が全ての障壁を薙ぎ払い、ラスプーチンに襲いかかった!!



「ぐっっつあぅううぉぉおおおお!! お……の……れぇ……ぐっぁぁあ!! 」

 辺りの空間ごと根こそぎ抉り取り、ラスプーチンはこの世界から消滅した。



「ななんだと! ラスプーチン?! 」



 ジル・ド・レは焦った。どの様な攻撃か理解出来なかったのだ。その一瞬の隙をウィリアムは横一閃の大剣で応える。

 首を絶たれたジル・ド・レの眼にはジャンヌと出会った瞬間の光景が見えていた。あの希望に満ち溢れた世界が……



『貴女様こそ、我が主君! 私とフランスを導いてください。さすれば我が命を貴女様に! 』



 崩れ落ちるジル・ド・レの顔は至福に満ちていた。



「……ごめん……私の事……好きだと言ってくれたんだよね……」

 ジャンヌの頬を涙がつたう。




◆◇◆





 「武蔵殿、これがその剣だ」

 アーサー王は天十握剣(アメノトツカノツルギ)を武蔵に手渡した。



「前回の災厄の渦で、神武が手にしていた神剣だ。彼が現世に戻る際に、我が鎧にかけられた呪いの進行を止める為に下された物だ。これのおかげで何とか生きてこれた」



 天十握剣(アメノトツカノツルギ)、別名を天羽々斬剣(アメノハバキリノツルギ)と言う。素戔嗚尊(スサノオノミコト)が、出雲乃國で八岐大蛇を退治する為につかった剣である。蛇を斬ると言う意味から、退魔の剣として現代にも伝わっている。



「これを俺に? 」



「貴公の手で、現世へ持って帰って欲しい。この剣は神武が愛してやまない日の本の宝だろう。神武も喜ぶ」



「……わかった。有り難くお預かりする」



「先ほどの攻撃はヒロト殿か? 危ういな」

 アーサー王の顔は暗い。


「危うい? 」



「……技や術というものは、それの使い手の身体や精神とバランスが取れていなくてはならない。それは貴公も良くご存知だろう? 」



 「魔法の術に関しては素人だが、確かに剣の技に関してはアーサー王の言う通りだろう」



「ヒロト殿の場合、そのバランスがちぐはぐなのだ。整っていない。かなりの無理を強いている……」



「……だから危ういか……」



「ヒロト殿は皆の戦闘力を数値化して見る事が出来る。それによると私のレベルだったか? それは現在百十三だと言う。ヒロト殿の数値は百七だ。ヒロト殿曰く、百を超えると既に人ならざる者だそうだ。だが先ほど使った術は、私の眼から見たら数値は百五十を超える……」



「……身体と精神が耐えきれんか……」



「……場合によっては彼を止めねばならぬ時がくるやもしれんな……マーリン様は早い段階から気づいていた様だ」



「あの馬鹿め! なんでも抱え込みよって……」



「とにかくこの陣を引き払い、第一部隊に合流する。あとヒロト殿と話してみよう」




◆◇◆



『……ひとたび生をえて、滅せぬものの、あるべきか……蘭丸! 金柑頭に、我が首を渡すな! 』



(殿!! )



『抜け穴より其方は落ち延びよ! 九州へ行け! 彼の地にてバテレンの手の者が秘術を執り行う。貴様は生まれ変わるのだ…………』


(殿もご一緒に!! )



『この足では長く歩けぬ、行け!! 』

 燃え盛る本堂の柱が落ちて二人を遠ざけた。もう終わりなのだろう。世界が暗くなった……



深い闇だ……



(殿!! )



『すでに三の丸まで敵が迫っております』



(よくここまで耐え抜いてくれた。主の御心は其方達を祝福し、天に導こうぞ! だが徳川め、口惜しい……転生した我を見抜くとはな……あと一歩で殿を復活させる事が出来たものを……)



『時貞さまだけでも、さあ、早う! すぐに儀式をとり行いまする! 』



(口惜しい! 日の本の全てを! 呪ってやるぞ! 主の名にかけて呪ってやろうぞ!! )



再び深い闇だ…………



闇だ……




(?!…………またあの夢か……)



「あと二人……呂布と道満の身代わりが消滅し生贄になれば、全てが始まる」

 蘭丸は真紅の魔法陣の中で、現世の夢を見ていた。




◆◇◆




 世界は黄金色に輝く。


 この大空間には天井から砂金の粒子が降り注ぐ。


 太古より存在する地下大空洞の一角に巨大な五つの影が浮かび上がる。ここは古の宝物殿だろうか?



「……災厄の渦が始まった……アレが復活する兆しだ」



「人間種が創り出した災いの塊」



「紅蓮の巫女も準備に取り掛かった様だ。あの女狐め、我らをどうにか出来ると思っておるわい……」



「あれは、白銀の巫女に嫉妬しておるのよ。アリストラス超帝国の継承権が白銀よりも下だからな」



「そろそろ、我らもどの陣営に着くか決めねばなるまいて」



「此度の災厄の渦……予定にない因子が混ざり込んでいる。恐らくアレを止める為にシステムが介入した恐れがある」



「恐ろしい事だ。人間種如きが作ったシステムが、神の摂理に影響を及ぼすとは……」



「災厄の渦の結果いかんで、我らがどう動くかを決める。それで宜しいな」

 ひときわ巨大な金色の存在が皆に言う。



「仰せのままに」

 残り四体の存在は、首を垂れた。

【天十握剣】をお送りしました。

ここから災厄の渦の核心部に入って行きます。

(映画 魔界転生を観ながら)


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