131 記憶改竄 (改訂-5)
【記憶改竄】をお送りします。
宜しくお願いします。
第二十階層……
設営された天幕にグラウスとナターシャの姿があった。
あと一刻で第二部隊は出発する。
「……やはり、何処にも無い……」
ナターシャは改めて予言の書を確認してみたが、アーサー王や、宮本武蔵などの召喚者の名前はあるが、ヒロトの名前は何処にも無い。
「……今まで何故か疑問にすら思わなかったが……そもそも、この予言の書は誰が作った?? その事を考えると何故か頭痛がする……」
グラウスはこめかみを抑えてうめく。
「……記憶の改ざんがあると? 」
「考え難いが、そうとしか考えられん。でなければこの違和感の説明がつかん。この予言の書は、始祖ナポレオンの宝物殿から発見された。たしか八百年前の事だ」
「……あの機械蜘蛛……本来あの階層の階層主はアースサーペントだった。それが予言に無い機械蜘蛛に置き換わっている」
「ヒロトの存在が、八百年前にこの予言の書を作った何者かの予定を狂わせていると? 」
ナターシャも深く考えると、こめかみ辺りが痛くなる。
「……そんな事が出来るのは、召喚者か転生者だけだ……だが誰だ? 前回の召喚者は……」
【前回の召喚者】
ナポレオン・ボナパルト
クレオパトラ七世
アーサー王と円卓の騎士
神武
楠木正成
ダルタニアン
李書文
郭雲深
ウィリアム・テル
ワイアット・アープ
【前回の転生者】
織田信長
エルナン・コルテス
イワン三世
テスカトリポカ
ヴラド・ツェペシュ
項羽
楊貴妃
ゾディアック
「この中で、先読みの呪法や、予言の秘技の行使が可能な者は? 」
グラウスがリストアップしていく。
「ヴラドか楊貴妃、後はクレオパトラ陛下ぐらいです……だけど」
「そうだ、日の本の呪法を災厄の渦に混ぜ込む事が出来る者は居ない……」
「……手詰まりですわね。では考え難いですが、我ら以外に何者かが召喚されたと考えるべきですわね……」
◆◇◆
魔導兵器から繰り出される腕に追いかけられ、総司は避けるのに精一杯だった。
「……静寂なる荒野の支配者よ、我らの眠りを妨げる者を拘束したまえ! ルア ナバリス ドラロアス……爆鎖縛陣!! 」
詠唱と同時にヒロトが地面に手をつく。地面から多数の真っ赤に燃える鎖が走り出し、魔導兵器の腕に絡みついてゆく。 だが今度は本体の背中から何かが発射された。
「ミサイル?! 魔法防御!! 」
小型のミサイルが、マーリンの張った魔法防御壁に阻まれるが、小型でもかなりの威力だ。マリーンが障壁ごと吹き飛ばされる。
「本体を排除しなければ駄目だ! 」
魔導兵器の腕が、また動き出そうともがく。ゆっくりと魔導兵器の巨体が動き出す。顔に相当する何処に閃光が発生した。
「レーザー攻撃!? よけろ!! 」
ヒロトは叫びながら、ジャンヌの身体を引き倒して、レーザー攻撃をかわす! かわしながら剣に集中した神霊力を解放し、雷撃剣を叩き込む! 一瞬動きが止まるが、殆どダメージが無い。
「貫通力が足りない! 総司! セネカ! 少しだけ時間を稼いでくれ! マーリンとジャンヌは防御に! 」
ヒロトが即詠唱に入る。
「魔界の魔獣リバイアサン。木星の断層より出でよ! 我が声を聞け!! …….」
総司とセネカが同時に魔導兵器の射程圏に飛び込み、最大出力を叩き込む! だが装甲の表面で弾かれてしまう。
そうこうしていると、遠隔攻撃をしていた腕が本体に戻って来た。強烈な爪の一撃が総司を襲う! マーリンが三重の魔法障壁を総司とセネカに張り巡らせ、物理攻撃をなんとか防いだ。
ジャンヌが身体強化と自動回復を行う。
「……バアル アドミラス ドゴスアルド 魔天の矢をつがえよ! 真魔弓獣呪断層!!! 」
ヒロトの腕にルーン文字が浮かび上がる。強烈な輝きを放ちながら呪文が腕の回りを加速しながら回転し始め、それが収束した瞬間、強烈な閃光を放つ矢が、魔導兵器に向かって飛ぶ!!
着弾の瞬間に強制的に時空間に断層が生まれ、魔導兵器の装甲に亀裂が走った。
その一瞬を総司は見逃さない!
「神閃光剣!!! 」
集約した神霊力の波動を愛刀【菊一文字】に纏わせて、一気に装甲の亀裂に上段から一閃!!
魔導兵器が真っ二つになった瞬間、炸裂した。凄じい振動がこの空間に広がった。
「……やったか? 」
ヒロトは断面から覗く魔導兵器の内部を眺めながら呟く。
「やったようね? あ〜ぁ、疲れた! 」
ジャンヌがへたり込んでしまった。
「……まだ第三十階層だ……先が思いやられますね」
流石の総司も床に座り込んで天井を仰いだ。
【記憶改竄】をお送りしました。
これから本当の戦いが始まります。
(映画 影武者を観ながら)
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