123 王乃帰還 (改訂-5)
【王乃帰還】をお送りします。
宜しくお願いします。
深い闇を……
一筋の光明に向かって……
歩みを進める……
黒騎士の一団がロード・グランデ大迷宮の入り口付近に到達したのは、今朝方だった。ここまで来ると流石に強力な妖魔が多数出現する。
「ドラゴン共が飛び立つ……グラウスが来たか?! 」
ヴァルフは周囲に広範囲結界を張り、索敵を行う。
「あの球体からの生命エネルギーで、三本の塔が、鳴動している。あれをやるぞ! 」
黒騎士は白銀の大剣を抜き、神気を練り込んで行く。
「……奴らが来ます! 」
広範囲に張られた結界に、妖魔が入って来た。八本の腕にれぞれ剣を持ち、三つの顔を持つ化け物が多数、黒騎士達を認識した途端に地形をものともせず、走って向かってくる。
「主の神気が溜まるまでの時間を稼ぐわ! 」
セネカが二本の戦斧を担いで走る。小次郎は対照的にゆっくりと、化け物に近づいて行く。背中の物干し竿と呼ばれる長刀を抜き放ち、その制空権内に敵が入った途端、神速の刃が化け物を両断していく。
「さすが召喚者! 私も負けてらんないよ! 」
セネカが戦斧に神霊力を込め、化け物に目掛けて投げた! 戦斧は回転しながら、化け物共を薙ぎ倒して行く。十二人の騎士が、黒騎士を囲う様に円陣を組み、化け物を寄せ付けない強さをみせる。
上空ではアヴァロンが球体建造物との交戦に入った。
◆◇◆
「魔導収束熱線砲の魔導術式に、私の魔導術式を連動させます」
そう言って、ヒロトが火器管制システムにアクセスを始める。魔眼による遠隔入力を行っている。
「何を馬鹿な! 」
ナターシャが即座に反応するが、グラウス艦長がそれを諌める。
「許す! やってみろ! 」
「は! 粒子加速値上昇……魔導演算コンタクト……アップルシード起動……ハドロン値安定…….クリア……詠唱スタート! 」
ナターシャが席を譲り、ヒロトはコンソールを叩きながら、同時に遠隔入力も行う。
「……凄い……」
ナターシャは呆気にとられた。
「……天上の至高なる雷帝、白銀の矢をつがえし弓の王、我らを犯す敵を殲滅する為、その大いなる力を貸し与えん! 真・天弓波動砲 !!!! 」
魔導収束熱線砲塔が白銀に発光し始めた。その周囲を光輝くルーン呪文が取り囲み、砲塔に収束されて行き、一気に放たれた!!!
魔導の力で粒子加速されたエネルギーに、ヒロトの魔導術式が累乗の効果を付与する。その波動が、球体建造物を貫通した!!
次の瞬間、建造物の貫通跡から、黒煙を発して炸裂した!
◆◇◆
「我が至高の聖剣よ! 今こそ神罰の時!! 封神鳳凰旋風断!!!!! 」
黒騎士が放った巨大な神気の波動が三本の塔全てを横に断ち切った!! 凄じい衝撃波が吹き荒れる!! 十二人の騎士達が神霊力の障壁で、皆をカードする。
上空から球体建造物が落下を始めた!
「我に捕まれ!! 」
ヴァルフが短距離転移魔法を発動させ、全員を爆風圏内から避難させる。
落下した球体建造物と三本の塔が衝突し、凄じい爆風と衝撃波が円形に広がって行く。
◆◇◆
ロード・グランデ大迷宮のそばに、アヴァロンを駐機させて、大迷宮への突入の為の入り口確保を行っている。先ほどの大爆風のおかげで、周囲のモンスターは一網打尽になった。
「……久しぶりよな……」
クレオパトラとグラウスは感慨深かげに、黒騎士と握手した。
「八百年ぶりか……」
黒騎士もクレオパトラ同様に歳を取らない。
「……道は違えたが、求めるところは同じじゃな」
「……俺はただ、我が騎士達を現世に戻してやりたいだけだ……この世界の世直しなど考えていない」
「それでも、もう一度我らは共に行けるさ。今だけは我もボナパルトに戻ろう。ブリテン王よ! 」
「ブリテン王?!……まさか? 」
ヒロトは一人の英雄の名前が浮かんだ。
「ヒロトよ、この御仁こそ、聖剣エクスカリバーを持ち、戦乱のイギリスを統一した、初代ブリテンの統一王 アーサー・ペンドラゴンその人だ」
いま伝説の英雄王が目の前にいる……
レベル 110 騎士王
「ははじめまして! 」
ヒロトの声がどもる。
「……其方がアリストラス皇國の軍師殿か。宜しく頼む」
「恐縮です……あの、実は後ほど合わせたい者が居ります」
彼女がアーサー王に会うとどうなるだろう?
一抹の不安があった……
だが会わさないわけにはいかない。
【王乃帰還】をお送りしました。
伏線の回収が次々と行われています。
新たな伏線も……
(映画 エクスカリバーを観ながら)




