116 砂塵攻防 四 (改訂-5)
【砂塵攻防 四】をお送りします。
宜しくお願いします!
風が強い……
湿度は低い……
気温は上がって来た……
奴の心臓は……ここぐらいか……
神霊力を練り込んで行く…………オリハルコンの銃身が白銀に光り輝く……そしてビリーは軽く引き金を引く。
冷静に、
魔力を帯びた音速の弾丸が発射された! そして千八百五十メルデ離れたドラゴンの心臓を貫通する! すぐに次弾を発射する! 次の瞬間、ラスプーチンの頭が爆ぜた!!
「ヘッドショット! 」
ラスプーチンの身体がドラゴンと共に墜落した。土煙が噴き上がる。だが奴の神霊力は消えていない。
「……来るぞ!! 」
土煙の中から、周囲に熱線波動が撒き散らされた!
エレクトラとジャンヌが神聖魔法の障壁で対抗する。
「…….無茶苦茶だな」
「騒がしいのは嫌いなんだよ! 」
九郎が屋根の上から一気にラスプーチンに向かって飛び降りながら首を掻っ切った!!
その瞬間、ラスプーチンはニヤリと笑いながら、靄のようにかき消えた。
「消えた?! 」
エレクトラが叫んだ瞬間、黒い刃が後ろから襲いかかる。
「……うっ……」
「ヒロト!! 」
ヒロトの背中に刃が突き刺さった。その瞬間、風魔小太郎の首が胴体から離れ、塵にかわる。
武蔵が横一閃、風魔の首を斬り飛ばした!
「ヒロト!! ヒロト!!!……」
黒い刃が深くヒロトの背中に突き刺さっている。血の海に沈み込みながら意識は別の世界へと誘われていた。
◆◇◆
ここは?
ここは?何処だろう?
海が見える……浜辺に波が寄せては消える。
「お兄ちゃん? 」
「…….ユイ……ユイじゃないか? どうして?足は? 」
「足? なに言ってるのお兄ちゃん。キャンプに行くって言ってたじゃない? 」
「ああ……そうだな。火を起こさないと」
焚き火でお湯を沸かして、ユイがコーヒーを淹れてくれる。夜の森に梟の声が響く。
「お兄ちゃん……どうして私の側にいてくれ無いの? 」
「……災厄の渦を止めないと駄目なんだ……」
「何で駄目なの? 」
「……人が沢山死ぬんだ。だから……」
「それはお兄ちゃんが、頑張らないと駄目なの? 」
走行する路面電車の中で、二人は向かい合って座っていた。夕日が窓から二人を照らす。
「……ユイの身体を治す為なんだよ……」
ユイは浜辺の波に足をつけて、飛沫が飛んで笑顔になる。
「私は大丈夫だよ! お兄ちゃんは、お兄ちゃんの世界を生きて! 」
「……ヒロト! ヒロト! 」
薄らと目を開けてると、眩しくて辛い。やけに煩いな。
「おい! 大丈夫か? ヒロト! 」
なんだか前にもあったな? こんな事……
「う……ああ……皆んな……」
目を開けると、皆んなが周りにいた。ジャンヌの神霊力に助けられた様だ。クレオパトラ陛下が泣きじゃくっていた。
◆◇◆
「あらかた片付いたか?! 」
総司は血まみれの刀を一振りして、周りを見渡す。
辺りには魔獣の死骸が積み上がっている。キメラにトドメを刺したルナールと、ジレがへたり込んだ。
「……もう……無理です。立てない」
「……やばいな! あれ! 」
ジレの視線の先の空に、ワイバーンの群れが見える。百体はいる。
メイデルもワイバーンを捉えていた。銃士隊のダメージも大きく、呆然としていた。
「くっう……銃士隊! 構え! 」
その時、別方向から火線がワイバーンに向かって走った!
「なんだ!? 」
東から巨大な影がメイデルの上空をワイバーンの群れに向かって飛ぶ! 太陽の光を浴びて白く輝く船体が空に浮かんでいる。
「航空戦艦?! あんな巨大な物が空を飛ぶのか! 」
「第一次戦闘態勢! 対空射撃始め!! 」
ナターシャの声に合わせて砲撃が始まる。
ワイバーンの後方から二体のドラゴンが真っ直ぐ向かってくる。
「主砲発射用意……撃てぃ!!! 」
艦首に装備された主砲に魔力が充填され、発射された。簡単にドラゴンを貫いていく。
ものの数分で敵を殲滅してしまった。
「凄い! 」
これならグランパレスを一気に越えられるだろう。至る所で歓声が上がっている。地上では掃討戦が始まった。各騎士団の総力を上げて残敵を撃ち倒してゆく。
「……ゴドラタンが間に合ったか」
マーリンと晴明も疲れで立てなくなっている。カルミナは近くの兵達と祝杯をあげていた。
◆◇◆
ヴァイアの街の南側に航空戦艦アヴァロンが駐機している。ゴドラタン帝国皇帝がクレオパトラの幕舎に入ったのはそれから2刻後であった。
「よく駆けつけてくれた。この通り礼を言う」
クレオパトラとエレクトラは心底から礼を言う。
「頭をお上げ下さい。約定に従ったまでです」
「じゃが、お主が来てくれなんだら、どうなっておったか……」
「本番はこれからですよ」
【砂塵攻防 四】をお送りしました。
遂に発掘戦艦が登場です。
(映画 コードギアス復活のルルーシュを観ながら)




