103 四者会談 参 (改訂-5)
【四者会談 参】をお送りします。
別の意味で、ヒロトはピンチを迎えます!
宜しくお願いします!
夕闇が近づいてくる。
止めどない妖魔の攻撃に、各軍も消耗しきっている。
「一旦、各騎士団をさげる。ビリーに連絡」
マーリンからの指示を受けて、騎士団が街に下がる。
それを追う妖魔を銃士隊の一斉射が迎え撃つ。
「……かなり減ったか……」
晴明の召喚した《八雷神》が、騎士団に代わって奮戦している。敵の数も当初の半数まで減らす事が出来た。
続々と各軍が城門から戻ってくる。その分、ビリーの銃士隊の負担が増えた。
「敵を近づけさせるな! M2重機関銃! 弾幕薄いぞ! 」
メイデルの劇が飛ぶ!ブローニングM2重機関銃は、あれから更に補充されて、今では五十挺にまで増えた。
明日には、更なる新兵器をカノンが運び入れるらしい。だが銃器のメンテナンスも、行わなければならない。正直ボロボロだ。鍛治工廠が総出で駆り出されているが、通常の刀剣や鎧の修理も行うので、てんてこ舞いだ。
「一旦、街の中心まで軍を入れるだよ! 」
ビリーは友軍が街に待避するまで、城門前で援護を行っていた。今朝に比べれば、敵の進行は散発的だ。
「トーウル王国軍がパルミナ連合王国国境から引いて行きます」
連絡兵からの報告が幕舎に届く。
「ゴドラタンとの会談が上手く行った様ですな! 」
カルミナ団長はマーリンに少し休む様に促し、少し持ち場を代わると言ってくれた。
シリウス団長は、各軍の再編成に追われているが、この間、幕舎には少し時間が生まれた。
「ヒロトならば、問題ないでしょう……」
(……それよりも、気がかりはクレオパトラだ……あの、エロ年増……ヒロトに手を出したら、ただではすまんぞよ!!! )
「クレオパトラ陛下もおられる事ですし、上手く事を運ばれるでしょう!」
「……あまり上手く行くのは阻止しなければ……」
「は? 何か言われましたか? 」
「いや! こっちの事じゃ! 」
◆◇◆
「このナルサ海で取れた海老と卵のスープ蒸しは絶品ですわ! 」
ナイアス大陸東方域から南方域にかけてのリアス式海岸に巨大な湾がある。この地域ではそれをナルサ海と呼んだ。
ゴドラタン帝国から、アリストラス皇國を経由してパルミナ連合王国まで海産物が運ばれて行く。
ナターシャは年相応の笑顔で料理の説明をしてくれる。本来はこれが、この子の本質なのだろう。よく見ればまだあどけなさが有る。
「ナターシャ、少し落ち着け! まだまだ料理は出てくるぞ! 」
グラウス皇帝が嗜める。がその声には優しさが満ちている。
「お兄様は質素過ぎるのです。普段など、パンと野菜スープだけで満足だ! とか言うんですよ! 皇帝の食事とは思えません! それに付き合わさせる私の身にもなって下さいよ! 」
「お客様の前だぞ! 恥ずかしい事を言うな! 」
ナポレオン・ボナパルトはイタリア、トスカーナ地方の血統貴族の家の出とはいっても、家族でコルシカ島の田舎暮らしをしていた為、あまり華美な生活を好まなかった。その記憶をグラウスも継承している為、豪華な食事などは、来客の時にしか嗜まない。
「私は元々庶民です。こんな豪勢な食事は経験がありません。召喚されて以来、この様にゆっくり食事もとれませんでしたし……」
ヒロトはこの一年近い日々の事を考え、目の前の二人の兄弟にユイの事を重ねて見ていた。いつかこの様な日々をユイと過ごしたい……だが、その為にはエレクトラの兄を倒す必要があるのか……それは苦しい事だった。他に方法は無いのか……
テーブルの下でクレオパトラの手が、ヒロトの膝の上に置かれる。思わずギョッとしてクレオパトラの顔を見るとクレオパトラが、ホークに海老を刺して、ヒロトを上目遣いに、舌で海老をチョロチョロと舐める……
(馴れ馴れしいとか言う前に、誘われてんのか??? )
危険を察知して、ヒロトは慌てて話しをグラウスに振ろうとする。すると、今度はヒロトの股間に手を……
「はぅ!! 」
「……どうしたのじゃ? ヒロト? 」
悪戯っ子の様な顔でクレオパトラが問いかける。親指と人差し指でギュゥ〜っとヒロトのあれを締め上げる……
「……いいえ、何でも……」
(まずい! まずい! まずい! マーリンに知れたら殺される!! )
「そうだ! ヒロト! 明日発掘戦艦を見て行くか! 」
「そうだわ! そうしなさいよ! 」
ナターシャも先ほどとは打って変わって態度が変わっている。
「お兄様の船は、とても大きくて、全長も長いのよ! 横幅も太いし」
「ほ〜う。 妾も太くて、大きくて、長いのが好き」
(変な言い方するな!! )
更にクレオパトラはテーブルの下で、もぞもぞと手をリズミカルに動かす。
(不味い!! 不味い!! 不味い!! 不味い!! 不味い!! ヒロト君 ピ〜ンチ!!! )
「お、お申し出は有難いのですが、まだまだ戦闘が続いていますので、明日の朝は早くたちたいと思います」
ヒロトがモジモジしながらグラウスに断ることにした。あまり戦況的に時間はない。
「そうか、わかった。 では艤装が完了し、試運転が終わり次第、迎えに行くとしよう! 」
グラウスは目の前のヒロトという人間を殊の外気に入ったみたいだ。
「あ! この子羊のローストも美味しい! 」
ナターシャは満面の笑みだった。
【四者会談 参】をお届けしました。
ヒロトの受難はまだまだ続きます。
(映画 告白を観ながら)




