101 四者会談 壱 (改訂-5)
【四者会談】をお送りします。
宜しくお願いします。
雪の結晶が舞い散る、
大気の気圧が一気に変化する。
氷雪の魔王が世界を駆け巡る様だ。
「大いなる大氷神、古の神オーディーン、汝の贄は悪なる者、氷雪の支配者にして、氷魔の代行者!グラビア ドロア クルバルカン!! 」
「アンブローズ・マーリンが命ずる! 巨人族すら凍り付く威力を思い知しれ! 覇王氷魔爆震波!!!!! 」
マーリンの古代ルーン秘技魔法が炸裂する!
戦場の大気が急激に低下してゆく。そして大気が一気に炸裂し、絶対零度の波を伝える。魔獣と悪魔の軍勢を覆い尽くし、白い魔力に覆われたものは、全てが凍りついた。凄じい吹雪が戦場全てに駆け巡る。
「マーリン……魔力を使い過ぎだ……」
ヒロトは、デーモンを更に屠りながら、不安を覚える。これ以上はマーリンの体力が持たない。
九郎とウィリアムの特別遊撃連隊の左翼突撃が始まった。戦局が大きく動く。右翼も総司が合流して、持ち直している。
「おっさん! 総司と合流してくれ! 中央は予定通りパルミナ幕府軍と交代する! 指揮はマーリンと晴明に! 」
「わかった! お前も無理するなよ! 」
「大丈夫だよ! 纏めて来る! 」
ゴドラタン皇帝との会談に向かわねばならなかった。
◆◇◆
ヒロトは、カルーナを経由して、ゴドラタン帝国に向かう。会談場所はゴドラタン帝国の帝都城塞都市スタージンガー。
ヒロトは晴明に式神鳥【日輪】を用意して貰った。魔獣の軍団が引いた為に、少しだけゆとりが生まれのだ。この機を逃すわけにはいかない。ヒロトは直ぐに行動に出る。
「陛下! 危険です! 」
侍従達を押し除けて、クレオパトラがヒロトに近づいてゆく。
「我は元十剣神、危険などあろうか? 」
有無を言わせずクレオパトラは【日輪】に跨る。
「クレオパトラ陛下?! まさか? 」
「ヒロト! 妾も行くぞ! 妾もいる方が話しが早かろう? 」
そう言ってヒロトの後ろに陣取った。仕方がない、そう言ってヒロトは【日輪】の手綱を握り、天高く舞い上がる。
式神鳥の速さなら、帝都スタージンガーまで半日もかからない。クレオパトラは慣れない高所に戸惑うが、ヒロトを抱きしめて紛らわす事にした。クレオパトラは胸をヒロトの背中に押しつける様にして、ぎゅっ〜と、ヒロトの腰を抱きしめる。
「陛下……少し手を緩めて……」
「そんな事をすれば、妾が落ちるではないか、遠慮はいらん、気にするな」
そう言いながら、更に胸を押しつけて来る。
(そんな事を言われても……この人、天然か? )
◆◇◆
帝都スタージンガーに到着したのは、昼過ぎごろだった。
ノイエ・ブリューゲン宮殿の正門前に【日輪】を舞い降りさせた。測った様に迎えの馬車と騎士が待ち構えている。
「パルミナ連合王国クレオパトラ陛下様、お迎えに、まかり越しました」
恭しく騎士が案内する。この宮殿は広大な敷地の為、馬車か馬でなければ途方もない距離を歩く事となる。
「ジークフリード、久しぶりに来たが、相変わらず大層な造りよな? 」
確かに造りはフランスのベルサイユ宮殿を更に巨大化して、堅牢な壁で周りを覆った風だった。やはりナポレオンの記憶があるからか?
クレオパトラがそう言いながら、そっと、ヒロトの膝に手を置く。見事に馴れ馴れしい。妙にくっつく。迎えの騎士とは面識がある様だ。
「見ない間に、いい男になったな? 妾の後宮にこぬか? 」
「へ陛下? 以前にも来られた事がおありですか? 」
「ああ、確か十年ほど前だったか? あの頃はまだ外の堀は完成して無かったし、この男もまだ生意気なガキだった」
「陛下お戯れを……我が主人が痺れを切らしております」
城門を潜ってから既に十分は馬車に乗っている。緩やかな坂を登りきると、広大な美しい庭があり、正門が中央に見えて来た。
馬車を降りて、フカフカの絨毯を進む。そのままエントランスを奥に進むと、そこが謁見の間だった。だが、そこでは無く、直接皇帝の執務室にて会談するとの事。
別の騎士が扉を開き、控えの間に通された。すぐに皇帝自ら出迎えてくれる。
「よくおいで下さいました。クレオパトラ陛下」
ゴドラタン皇帝はクレオパトラの手を取り、手の甲にキスをした。
「そして、お主がアリストラスの英雄殿か? 」
「は! ヒロトと申します」
ヒロトとクレオパトラは執務室のソファーに座る。執務室の調度品は質素だけど、無駄が無く、機能的だ。これだけでも皇帝の人間性がわかる……
「余が、ゴドラタン帝国六十四代皇帝 グラウス・ボナパルトだ」
そして、もう一人の同席者を紹介された。
「これは、ナターシャ・ボナパルト。我が妹だ」
流れる様なドレスを着た、美しい美少女。青紫の水晶がはめられた杖を傍に持参している。
「前置きは無しだ。話しを聞こう! 」
グラウスは話しを進める。
「では、グラウス陛下……ロード・グランデに急襲されるおつもりですね? 」
ヒロトも回りくどい言い方は、する気が無かった。
【四者会談】をお送りしました。
ついにゴドラタン帝国皇帝との会談がはじまりました。
次回も宜しくお願いします。
(映画 アンタッチャブルを観ながら)




