99 中華最強 (改訂-5)
【中華最強】をお送りします。
宜しくお願いします!
暗雲が立ち込め、
空気が重く感じる。
殺気と血臭が混じり合い、
大気の震えが、肌に伝わってくる。
闇の中を人ならざるものが、蠢いている。
神を呪う怨嗟の声……
「来ました!! 物凄い数だ! 緊急事態!!! 」
物見櫓から駐屯地に伝令が走る。
ヒロトは既に状況を把握していた。
「マーリン、各軍の魔導団より広域集団魔法を発令! 」
「あい、わかった! 各魔導団は、順次魔法発動! 」
マーリンからの合図で一斉に魔導軍が動きだす。
敵妖魔軍の頭上から攻撃魔法の炸裂が始まった。炎に焼かれる魔獣、妖魔の群れ。
ビリーの銃士隊の一斉射撃も始まった。ブローニングM2重機関銃の号砲が響き渡る。だが敵の数は圧倒的だった。妖魔の死骸を踏み越えて、魔獣が進軍してくる。
「敵が多すぎます!! 」
城壁の上に、多数の式神兵が浮かび上がる。晴明が印を結び、城壁を登ろうとする妖魔を叩き落とす!だが魔獣相手には役不足だ。
「……星降る世の、神代の依代、その剣持て、ヒイ フウ ミイ ヨ…… 顕現せよ!! 」
空間に穴が生まれ、そこから巨大な太刀を持った古代の武者が現れる。十二神将と呼ばれる天界の守護神を式神として召喚した!
「方位を守り、神界を守護する者よ、我らを護り給え!! 」
まさに鬼神の如く、魔獣を狩り始める! 元は夜叉であるが、仏法に降伏して善神となり、薬師如来を守護する明王や菩薩となった。陰陽道では十二天将とも言う。
晴明は中国で仙道の奥義を習得し、日本の古神道と組み合わせて陰陽道とした。それ以外にも空海がもたらした密教の奥義も全て習得している。あらゆる術を取り込んで、それを更に昇華させ日本の呪術的技術を、大いに発展させた。
「……何か巨大な気を放つものが来る……総司、武蔵、ウィリアム! 」
ヒロトは最大級のアラートを念話で発した! 魔獣の群れの中心が二つに割れて行く。無人の野をゆく巨体……城門から総司、武蔵、ウィリアムそして九郎が、その禍々しい何者かを出迎える。巨大馬に跨り、矛を持ち、身の丈はニメルデを超える。
「……なんつう〜奴だ?! こいつ……」
ウィリアムは背筋に冷たい物が走る。
「こんな奴が?! 転生者? 」
総司は未だかつて経験した事がない恐怖と対峙している。
「この圧力!! はは! 武蔵坊以上だな……」
九郎は初めて五条大橋で武蔵坊弁慶と対峙した時の事を思い出した。
「この剣気は、かっての剣聖上泉伊勢守信綱に匹敵する! 」
武蔵は、遂に実現しなかった剣聖との戦いに思いを馳せた。
「武蔵殿! 一人でやろうなんて、考えないで下さいよ! こいつはやばい! 」
総司が吠える! 本能的な危機を感じている。巨漢の男が、その矛を回転させる様に振り回す。その風圧だけでも竜巻の様だ!
ウィリアムが仕掛けた! 上段から大剣を振り切り、巨大な真空刃を飛ばす。だが男は平然と矛で弾き飛ばす。
総司が一気にトップギアに入れ、動きで男を翻弄する。だが神速の突きを放つが、男はそれも難なくかわし、横殴りの一撃を放つが、総司もそれをかわして、白刃に神霊力を練り込む。男の矛を掻い潜るたびに冷や汗をかく。凄じいプレッシャーだった。
「光明剣!! 」
総司の発した閃光と共に、爆発した神霊力の波動が、男に襲いかかる!
男はまともに喰らい、爆ぜた!
「魔戦剣!!! 」
よろけた男に九郎も畳み込む様にしかける。
刀身の周りの空間が歪曲する。その波動を男に叩き込む!
たまらず男は、腕をクロスして、その攻撃を耐えていたかと思ったが、その腕を広げた瞬間、膨大な神霊力で、周りの空間が炸裂し総司と九郎が巻き込まれた!
武蔵が走り、渾身の一撃を男に浴びせ斬る!! 空間を切り裂く刃が、男の肩口から左腕を断ち切った!
「ぬぅつ……やるな召喚者め!! 」
他の転生者と違い、再生が遅い。男は、馬から降り、馬の首を摩りながら優しく労りの声をかける。
「赤兎馬よ、後方で待っておれ。そんなに時間はかからぬ」
その男の声で、馬はゆっくりと踵を返す。
「我が名は、宮本武蔵! 貴公の名は? 」
「お主を戦士と認めよう! 我が名は、呂布。字を奉先」
武蔵は信じられない思いだった。あの伝説の男が目の前に存在する!?
呂布。字を奉先。中国後漢末期、いまの内モンゴルに生まれた。子供の頃より馬の扱いに優れ、体格にも恵まれていた。武芸を志した事もなく、それでも同年代の者には負けた事がない。様々な王に仕えたが、最後は部下の裏切りによって曹操に捕らえられ、処刑された。呂布を慕う陳宮、高順は用兵の天才曹操が、唯一用兵で倒せなかった男と評する。またその単純な武力でも中華で負けた事は最後まで無い。
「これはまたとない好機! 」
武蔵は嬉々として、剣を青眼に構えた。
【中華最強】をお送りしました 。
最後の転生者である、あの漢が登場しました。
宜しくお願いします。
(映画 レッドクリフを観ながら。)
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