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93 孤軍奮闘 (改訂-5)

【孤軍奮闘】をお送りします。

九郎が奮闘します!


宜しくお願いします!

 安徳天皇を殺させてはいけない。


 平家は幼い天皇を道連れにしようとしている。二宮からこの壇ノ浦まで追い込まれ、源氏に幼い天皇が利用される事を良しとしなかった。



「天皇とはいえ、まだ幼子だ」



 九郎は平家郎党と戦い、船から船へ飛び移りながら、安徳天皇を探す。平家の終焉をさとり、郎党共は幼い安徳天皇と三種の神器を海へと誘った。


 現世での心残り。


 救えなかった事は、自分の力不足だとも思った。でも実際にはそうではない。それはわかっている。だが……



 ふと、馬を走らせながら思い出す。



「何で今思いだす? 」

 ゴドラタン軍野営地の外苑まで到達した! 頭の迷いを、直ぐに追い出して、野営地に突入する!



「迷ったら、やられる! 」

 九郎は集まって来た敵兵を蹴散らしながらも速度は落とさない。鬼神の如く、突き進む!

 ゴドラタン軍の中枢は麻痺していた。




 「敵だと? ライアット軍か? 」

 ゴドラタン軍のガイス将軍は、鎧をつけながら報告を受けた。



「少数の騎兵のみで、突入されました」



「愚か者め! 監視を怠りおって! 直ぐに装甲兵を本陣の守備に回せ! 」

 そこへ別の伝令兵が駆け込んで来る。



「報告です! 敵は転進して、野営地の外へ出て行きます! 」



「何だ? 本陣を奇襲するのでは無いのか?? 」

 どう言う事だ? 兵法の基本から逸脱した異常な行動だ。


「大軍ですり潰せ! 敵を自由にさせるな! 」

 だがゴドラタン軍は良くも悪くも上からの指示には精密な用兵行動を行うが、指示に無い事にはどうしても判断が遅れ、混乱が生じた。

 九郎は幾らか敵を屠ったところで、すぐに転進する。 



「直ぐに抜け出すぞ! 」



 そして二百メルデほど離れた地点にまた突入した。ある程度、敵を始末したら、またすぐに離脱し、また三百メルデほど離れた地点に突入する。ゴドラタン軍は混乱の極地に叩き込まれた。


 「己れ! おちょくりよって! 騎兵を二千送れ! 」


 野営地から出てきた九郎を、敵騎兵二千騎が追撃に出る。

 九郎は一気に速度を上げて、左側の森林に入って姿を消す。

 姿を見失った敵二千騎は速度を落として、森に入るかを迷ってしまう。



「奴ら、逃げよったか? 」



 そこへウィリアムが率いる四千騎が背後から襲いかかった! そのタイミングを合わせて、直ぐに九郎も動く!



「転進するぞ!! 」



 九郎は馬首を返して、敵二千騎に向かって突入し、暴れまわる。まさに修羅だ。

 あっという間に、敵二千騎を屠ってしまった。

 するとまた、一千騎で敵野営地に突入する事を繰り返す。敵の指揮系統は何が起こっているのか理解できていない。そもそも用兵学の基本から逸脱した行動なので、対応がどうしても遅れてしまう。

 そうこうしていると、九郎の軍は、かれこれ合計四〜五千の敵を屠っていた。



「引けー! 街まで引くぞ〜! 」


九郎は、さも街に戻るふりをしながら、野営地から離脱する! 街の方向へ走りながら、途中で転進し、敵野営地を大きく回り込む。



「二刻したら、また行くぞ! それまで寝る! 」



 朝方に同じ事を繰り返して、結局は、七〜八千の敵兵を屠った事になる。

 そのまま今度はカルーナの街に凱旋して見せた。あくまでもライアット公国軍として振る舞う。

 ゴドラタン軍は五万の兵で進軍したが、カルーナの街を包囲する前に、四万二千まで削られた為、慎重にならざるおえなかった。




◆◇◆




「ふはぁはははは!! 」



グラウス皇帝は、殊の外楽しい様だ。ここまで笑い声を上げるのは珍しい。


「陛下、そんなに可笑しいのですか? 」



「可笑しいだろ? ここまで上手く立ち回られたら、笑うしかあるまいよ。あの様な戦い方をする武将がいるのだな。余の記憶の中にはまずおらんな」

 グラウス皇帝という人間は、敵味方に関係なく、才能のある人物が好きだった。ナポレオン自身の生まれが貴族とはいえ、シチリアの貧乏な家系だった為、生まれなどで人を判断しない。

 これでカルーナに手を出し難くなった。だが本来の目的はアリストラス本国からの補給を滞らせる事にある。

 古代の船を発掘する為の目眩しであり、時間稼ぎでもある。

 


「第二軍を合流させ、妖魔軍の防壁陣地をカルーナを囲む形で構築させよ。そのまま遅滞戦略に移行する! 」



「仰せのままに! 」

 ナターシャは直ぐ家臣に指示を出す。



「会ってみたいな。その東洋人の召喚者に。そしてヒロトと言う者にも」

 また一つグラウスの楽しみが増えた。




◆◇◆




 ヴァイアの街はカルーナと公都を繋ぐ要所だ。その為に宿屋や酒場など、旅人、キャラバンなどの為に、施設が多数ある。古来より湯治場としても有名で、負傷兵や疾患のある人々が多く訪れる。

 

「エレクトラ様! とても良い温泉があるそうです! 」


 身の回りの世話をしてくれる侍女のサーシャは、いままでアリストラス皇國を出た事がなく、全てが物珍しく楽しかった。


「温泉ですか。入りたいけど、今は非常時です。我らだけ楽しむわけには行くまい……」



「そうですよね……駄目ですよね……」



 直ぐ思ったことが顔に出る様だ。

 思いっきり落ち込んでる……


「そうね……ヒロト達に交代で、温泉に入って頂き、疲れを癒やして貰おうかしら? 」

 エレクトラは、チラッとサーシャを見た。この子が可愛い妹の様に思える。



「わかりました!! 直ぐに手配いたします! エレクトラ様の水着もご用意していますから! 」

 サーシャの顔が満面の笑みになった。



「水着ですか? ちょっと恥ずかしいですね……」

 ……ヒロトはどんな水着が好みなのかしら……



「英雄様達の水着もご用意致します! 」











 

【孤軍奮闘】をお送りしました。

 九郎とウィリアムが頑張ってます。

 新たな敵軍が動き出し、急展開していきます。

 (映画 たんぽぽを観ながら)


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