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story  作者: 岸村 改
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1-5

彼女と僕が出会ったのは、3歳の時だ。


初めて見た時の姿は今でも思い出せる。


もふもふの毛並みを携えて気持ちよさそうに眠る、1匹の狐の姿を・・・。


その日は今まで住んでいた家を離れ、新しい家へ引っ越しをする日だった。


本来は次の日の予定だったが、親戚のお婆さんからの連絡により、急遽前倒しになった。


その為、両親は朝から忙しく動き回っており、幼心に邪魔してはいけないと思う程であったのを覚えている。


父の運転する車で新居についた僕の感想は、綺麗な家だった。


家の周りは塀で囲われており、門を抜けると玄関まで車が数台おける空間が広がっている。


家は二階建てで1階は和室となっており、襖で仕切られた部屋がほとんどだった。


玄関と反対側にある部屋には縁側があり、そこから見える庭には綺麗な桜の木が1本咲いていた。


縁側が有る部屋の横ある2階へ続く階段を上ると、1階と異なり、扉と壁で各部屋分けられた洋室広がっている。


荷物が来るまではまだ時間があると言う事で、父が事前に渡された見取り図と内装を確認へ向かうと、


母は僕を連れて敷地内の探検を始めた。


時折僕の様子を気にかけながら、母が家の様子を見て回っているのは、恐らく僕がいつもみるお友達が居ないか確認して居たのだろう。


僕も最近気が付いたのだが、今まで僕がお友達だと思っていた存在は、両親やほかの人には見えない存在だったようだ。


前からふと気が付くと、僕の近くにいるお友達がいた。


特に何かをするわけでも話しかけてくるわけでもないが、時々扉を開け閉めしていたり、物を動かしたりしているだけだった。


そんなお友達について話した際、最初は微笑ましく返事していた母が、


お友達が扉の開け閉めをした時から顔を青ざめて、僕を守るように抱きしめてきた。


僕には何故そんなに怯えるのかわからなかったが、両親の様子を見るとお友達は他の人には見えないのではないかと思うようになった。


そんな時に親戚から話が両親に来て、気が付くと引っ越しすることになっていた。


ちなみに、お友達は門を潜るまでは一緒についてきていたが、外の門を潜ってからは何故か居なくなっていた。


「それにしても、すごく綺麗ね。住んでいたのはお婆さんって聞いてたけど、ハウスキーパーでも雇ってたのかしら?」


母の言葉で改めて部屋の中を見ると、掃除の行き届いてた綺麗な部屋であった。


目の錯覚だろうか、微かに部屋の中が光って見える気がする。


一番端の部屋についている窓からのぞくと、大きな木が見えた。


木の下には何か建物が見える。


「ママ、あれ何?」


「ん~?ああ、社ね。あそこには狐の神様がいるんだよ。」


母は手で狐の形を作ると、コンコンって鳴いているように見せた。


後から母に聞いたが、この家に引っ越すに辺り、前任者から家の権利を譲りうけたらしい。


その際の条件として、一族の仕来りにある狐の神様のお世話をする事なっていたそうだ。


「コンちゃん?」


「そう。コンちゃん。・・・ん?狐って事はお稲荷様系なのかな?でも、稲荷様はもともと狐じゃないし違うのかな?」


当時の僕は狐を理解しておらず、絵本のイメージによって狐=コンコンと鳴く=コンちゃん。と呼んでいた。


そして母は、僕によくできましたと頭を撫でつつも、自分で言った事に疑問に思ったのか、ぶつぶつと呟き首をかしげていたのだった。


結局、母の疑問は一通り家の中を見終えた父が合流した事で結論が出ずに終わったようだ。


それから僕たちは3人で挨拶を兼ねて僕たちは社へ向かう事になった。


それにしても、友達は何処に行ったんだろう?


この家に来てから一度も見てないな・・・。

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