2-12
「はい、どうぞ。」
主は、口に入れた柿を食べ終えると、お皿から柿をもう一つ取ると、私へ差し出した。
「私は良いですから、主がお食べ下さい。」
「おいしいよ?はい。あ~ん。」
主は小さい体を懸命に伸ばして、私へ柿を差し出してくるのだが、
腕を思いっきり伸ばしているがきついのか、ぷるぷると小刻みに震えている。
「・・・いただきます。」
食べるまで伸ばし続けそうだったので、私は腰を下げると邪魔にならぬ様に垂れてきた髪を耳にかけてから柿を口に含んだ。
確かに、主が言う様に甘くておいしい。
実は熟れすぎず、しかし固すぎず、ちょうど良い食べ頃の物だった。
「はい!」
再び腰を上げ、主がお見苦しく無い様に片手で口元を抑えて租借をしていると、
主は隣にいる狐にも食べさせてあげていた。
狐は主の手から口へ柿を入れてもらうと、主の手が完全に離れたのを確認してから口を閉じた様だ。
そうやって分けて食べていると、どうやらここの主である狐殿が戻ってきたようだ。
外に大きな力の気配を感じると共に、主の横にいた狐が音もなく消えた。
どうやらこの狐、分体だったようだ。
「坊ちゃん、今戻りましたー。」
「コンちゃん!おかえりー!」
主は狐殿を迎えに入口へと向かったので、私もついていくことにした。
狐殿がなにやら主殿と話していたが、こちらを見て首をかしげてくる。
ふむ。私の姿は何かおかしいだろうか?
「コンちゃん。この人、知ってる?」
「えぇ。ほら、坊ちゃんが昨日見つけた刀があったじゃないですかぁ。あれですよ。それにしても珍しいですね、人型が取れるなんて・・・。」
・・・どうやら主は、私の事を認識できて居なかった様だ。
狐殿の説明に驚き、こちらと狐殿を交互に見ている。
「はい。」
その瞳が信じられないというと語っていたので、私は狐殿が正しい事を公定するべく頷いた。
それにしても、人型を取れるのは珍しいのだろうか?
主を持った道具や魂を宿した物は簡単に人型を取ると思うですが・・・。




