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お風呂で逆上せた僕は、コンちゃんに介抱されて水分を取ることで何とか復活した。
忘れてた。コンちゃんはお風呂好きだから、コンちゃんに合わせるとついつい長湯になってしまう。
今は、コンちゃんが晩御飯を作っているので、僕は湯覚ましがてら庭の様子をぼーっと見ている。
夏が終わり、秋が深まってきたので、庭の木々が色付いて綺麗だ。
朝から宝物庫の冒険をし、途中お昼ご飯やおやつ・お昼寝以外はほとんど一日宝物庫で遊んでた居たからか、
こうしてお風呂上りに心地良い風が吹く縁側に座ってると、ぼーっとして眠くなってきた。
風で揺れる木々の葉音を子守歌に、僕は縁側に横になって目を閉じた。
「・・・そんな所に寝ては、風邪をひきますよ。」
どのくらい眠って居たのだろうか?
落ち葉を踏む足音と共に、耳障りの良い声が聞こえてきた。
口調は優しいが、声色は少し冷たい感じがするので、コンちゃんではない。
僕は目を開くと、外はすっかり暗くなっていた。
今日は月明かりが強いのか、庭は淡い光で照らされている。
そんな淡い光が照らす庭で、一人の女性が立っている。
黒字の着物に銀色の刺繍が有る様で、その刺繍部分が月明かりに反射して金色に輝いてる。
着物を着ていてもその体は細身に見えるが、それは痩せているのではなく、しなやかに綺麗に鍛えられた体をしている様に感じられた。
一番の特徴は、その髪の毛だ。
髪の長さは腰下位まであり、美しいプラチナブロンドが周りの暗闇を反射して黒く艶やかに光り、
月明かりを映した部分は金色に輝いている。
その姿はさながら機能美を突き詰めた、美しい美術品を見ているかの様だ。
「きみはだれ?」
そんな姿の女性に一瞬魅入られた僕は、率直な疑問を聞いた。
女性は微かに微笑むと、こちらに背を向けた。
先程はわからなかったが、何か棒状の物を体につけているみたいだ。
「今日の所はこれで。いずれあなたに必要とされる事を待っています。」
それだけ背中越しに言うと、女性は庭を出て行った。
後に残された僕は、今のが夢だったのか、それとも知らない人が庭に勝手に入ってきた事をコンちゃんに伝えるべきか悩む事となった。
「坊ちゃ~ん、ご飯できましたよ~。」
「今行くー!」
結局、夢か不審者かと悩んでいた僕だったが、コンちゃんの料理を食べている間に、そんなことがあった事などすっかり忘れて、
夕飯後は、歯磨きをして部屋で眠ったのだった。
出来事を思い出す事になるのは、次の日になってからだった。




