2.月下刀
昔々、ある一人の刀鍛冶が居ました。
彼の作る刀は、人々を魅了し、また人を狂わせました。
刀を持った者は皆、口々にこう言います。
「人を斬りたくて堪らなくなる。」と。
何時の頃からか、それらの刀は妖刀として扱われ、魂が宿るとまで言われるようになりました。
そして、人々からそれらの刀はこう呼ばれる様になります。
夜刀。
曰く、一度斬り始めたら止まらず、気が付けば一族を滅ぼしていた。
曰く、刀が刀を呼び、いつしか集団の刀に襲われていた。
名の由来は数々あれど、そのどれもが血生臭いものでした。
刀鍛冶は、人々の名声など気にしていませんでした。
刀鍛冶はただひたすらに一つの事を目指していたのです。
それは、魂が宿る刀を作る事。
刀鍛冶がその過ちに気が付いたのは、本当に魂が宿った刀を初めて打った時でした。
刀鍛冶は後悔し、その未完成な刀を封印します。
そして、それまでに作られて夜刀と呼ばれた刀に対し、滅ぼす事を決めるとある刀使いを呼びます。
呼ばれた刀使いは、いくつあるのかわからない夜刀を滅ぼす事を依頼され、刀鍛冶の最後の二振りを譲り受けました。
その刀の名は、夜刀月華と夜刀桜花。
刀使いは、完成された夜刀を見事すべて砕き、最終的に3本の刀をある祠へと奉納しました。
1本は、黒鞘にしまわれた刀。
1本は、元刀身が半分以下に折れ、小刀にされた刀。
1本は、白雪の銘を追加された刀。
祠の主は、受け取った3本をそれぞれ分けて眠りにつかせると刀使いにいい、
刀使いはその眠り行く刀を見て、初めて刀鍛冶の呪縛から解放されるのでした。
そして、その刀は今も・・・。




