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story  作者: 岸村 改
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1.月城の狐

昔々、ある一匹の温泉好きの妖狐が居ました。


妖狐はたまたま見つけた相模の山に沸く温泉を好み、その山に住み着くことにしました。


それは好きな時に好きなだけ温泉に入れる、妖狐にとっては夢のような生活でした。


ある日、妖狐が温泉から上がると、独りの人間の青年が山を登って来るのが見えました。


普段この山を人々は瘴気を恐れ、近づくことはありませんでした。


気になった妖狐は、水気を飛ばすと青年の元へ向かってみることにしました。


山を登っていた青年は山から出る瘴気に侵されており、


妖狐を目にすると安堵の表情をして倒れてしまいました。


妖狐は青年を咥えると、自分の領域へ連れ帰りました。


領域で目を覚ました青年は、妖狐に麓の町を守って欲しいとお願いをします。


しかし、妖狐は神ではなく、また守ることへの得が無いため断ります。


それでも青年は諦めません。


何度断っても折れぬ青年に妖狐が理由を聞くと、


青年には恋人がいて、町を攻めてくる人間はその恋人を狙って来るとの事でした。


青年の答えに興味を持った妖狐は、ある条件を付けて青年の願いをかなえても良いと答えます。


青年は条件を了承し、条件が達成されるまではいつの世になろうとも、妖狐の身の回りの世話をすると約束します。


こうして契約を結んだ青年と妖狐によって町守れ、妖狐の為に後に温泉が引かれ、城も作られることになりました。


そして妖狐は何時の頃からか、人々から月城の狐様と呼ばれるようになりました。


しかし、妖狐の条件は達成されていませんでした。



ある時、青年の孫から妖狐に条件について、提案されました。


それは、妖狐に青年の一族へ条件達成を忘れる事が無い様に術をかけると言うものでした。


その呪いとも取れる提案に妖狐は反対しました。


しかし、青年の孫は一族がいつの日か契約について忘れてしまう事を恐れ、折れませんでした。


しぶしぶ、妖狐は己と一族へ契約内容とその達成条件を術としてかけることにしました。


こうして、それから長い年月を青年の一族と過ごすことになった妖狐は現在・・・。



「琴乃様、ごめんなさい~。本当に、本当にごめんなさい~。」


「梅ちゃん。大丈夫、大丈夫だから、ほら?お孫さん困っちゃうからね?ね?」


高齢の老婆に手を握られたまま泣かれて、困った表情をしてた。

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