過労気味の妹はタダでは転ばない!
「イヤイヤ…兄ちゃん、それが噂の内視鏡かね?」
「…ん?何しに来たんた?」
「ストレスで…胃の検査、取材も兼ねて胃カメラを…。」
「…お前なぁ、仕事頑張りすぎなんだって、わざわざ実の兄がいる病院まで来て仕事とは…検査したら真っ直ぐ帰れ!」
ここは、とある場所に有る病院、そして俺は、この病院の新米の医師である。
このセリフを聞いた通り、非常に頑張り屋さんな妹なんだ…が、正直、周りの為に頑張りすぎて過労気味だ、兄としてなるべく負担にならないようにしてるが…。
妹は、作家や記者をやっていて、ファンも、かなりいるらしいが…正直な感想、妹を応援してくれるのは、兄として嬉しく、そして、ありがたい。
「私で、その内視鏡、試してみる?最新型でしょう?赤の他人に試すより気楽だと思うけど…。」
まぁ、確かにそうなんだけどさぁ…。
「馬鹿な事言ってないで、治療に専念しろ!ゴキブリを見習え!アイツらの胃袋は丈夫たぞ!」
「ゴキブリと比較するって失礼でしょ!謝んなさいよ!」
「すまん、すまん、冗談だ!まぁ、無理して倒れたらみんなに迷惑かかるぞ!」
「うぅ…確かに、わかった、仕事は我慢する。」
「過労の診断書を書かれないだけでも、有り難いと思え!」
…ん?周りの看護士たちの視線が…少し気になる。
「とりあえず、お兄ちゃんに、あの内視鏡を私の胃袋に入れて、感想文を書きたいわけよ!」
…あぁ、全く人の話をキカナイ。
「残念だが、内視鏡を突っ込むのは俺じゃない!感想文でなく診断書を会社に提出しろ!病院で変な事考えるな!」
あぁ、なんて妹なんだ…。
この時、俺は妹の頑張る姿を見て、心底不安を感じた。
妹よ…身体あっての人生だぜ!少しは休めよ!