第六話 心と闇と兄妹と
更新、長らく空いてしまい申し訳ございません。
「…ふぅ…はぁ……え?……(ぐはっ)……痛いな…腰痛い…。」
最初に落ちてきたのは佑紀だった。どうやら…その上に…
「自分のせいでしょ!」
いました、元気な妹が。
「いや、おかしいだろ…うん、お前が俺の上に落ちてくるのが悪い!」
「じゃあ、なに?可愛い妹が怪我をしていいとでもっ!」
「…自分で可愛いとか言うなよ…ハハッ…」
「うるさい!うるさい!とにかく進むわよ!」
「へいへい…ん?たんす…?」
「この中に入るのよ。」
「穴の次はたんすかよ…。なんてベタな展開なんだ…。」
そうして、二人はたんすの中へと、入っていく。
× × × ×
「ここで、ネズミに会ったのか?」
「うん、ここ…でっているじゃん。ほら、あのネズミ。」
「あぁ、あの根暗そうな。ま、ああいうキャラもいいもんだねぇ、好意に値するよ。」
「なに、お兄ちゃんキャラつくってんの?気持ち悪い……。」
「うるさいな、言ってみたかったんだよ、あんな感じのやつに対して。」
「ふーん、で?」
「で?って、ちょっとひどくないか?」
「そんなことよりさ、早く行こう?」
「うん………え…?…あれは、無視?」
「へ?あれ?知らない。ネズミなんて放っておけば?」
「可哀想に…。」
「なんで…どうして…こうなったんだろ?」
佑紀は気が気ではなくなり、ネズミに話しかける。
「もし、よかったら、なにがあったのかおしえてくれるか?」
「いや、あなたには関係ないですよ…ハハハ…ただ…」
「「ただ?」」
流石、兄妹。仲良くハモりました。
「ひとつ言えるとすれば、この世界を赤くさせた原因は少なからず僕にありますから…。」
「そうか、で、なにがあった。」
だんだんと謎な発言にイライラしてくる佑紀。
「それが、ここでそれを言ってしまえば、王に殺されてしまいます。」
「あれ…これ…」
「有砂…なにか知ってるのか?」
「いや、この前と同じ発言があっただけよ。」
「そうか…この前って例のうさぎの話か?」
「うん、殺されるってやつ」
「ふぅん…まあ、この世界のことは俺とは関係ないからな。あえて聞くこともないだろ。」
「え?…お兄ちゃん、ここまで踏み込んだのに!?」
「いや、きっと外の世界の人間がつっこむ話じゃないはずだ…。」
「…そう…。でも…。」
「はあ、王の軍は恐ろしいですよ?…あなたたちがなにをやるのかわかりませんがね。」
「お兄ちゃん、なんとかできないの?」
得意の上目遣いで有砂は聞いてみた。
「…クッ……いや…俺には関係ない…とりあえず、先に行こう。」
佑紀は自分の意思を思ったより簡単には曲げないようだった。
そうして二人はネズミのところから去っていった。
「あの魔術は使っちゃいけないよ…。もう。僕が人柱となるのが、やっぱり一番よかったんだ。」
ネズミの言葉を聞かずに…。
次回もよろしくお願いいたします。




