第一話 たんすとうさぎと…それから有砂
2話目です。一話一話が短いですね…。
それにしても、文才がないなぁ
有砂は鼻息荒く川原をしばらく進んでいた。しかし、他に人がいたら皆が遠ざかるであろうといった剣幕である。
「あの、ばかお兄ちゃんめぇぇぇ!」
そんな中、目の前を一匹の白うさぎが有砂の目線の前方からやってきた。距離がまだ遠いはずだが、大きさがおかしい。
「え?白うさぎ?こんな場所で??」
そう、普段は白うさぎはおろかうさぎすら見ないような場所だ。先ほどまでの怒りはどこに行ったのか、有砂は足を止め目を疑いつつも白うさぎを見つめる。
「まずいわねー、ちょーっち遅刻しちゃうわぁ、これじゃあ、あのマッドの実験台にされちゃうじゃないのよぉぉ、そんなのたまるもんですかぁ!」
白うさぎは駆け出し、ひとり言を大声で言いながら、有砂の目の前でキレイにドリフトを決め、さらに草むらを有砂の右手の方向へと有砂を障害物として認識しつつも華麗にスルーをし進んでいった。
「まさか、これは!ふふふ、お兄ちゃんめ、私を笑った不幸を呪うがいい!って、でかい!白うさぎでかいよ!」
そう言って追いかける有砂。やがて、白うさぎは川原の近くの岩肌にあった、洞窟へと飲み込まれた。
そして、有砂も洞窟へと入ろうとしたその瞬間だった。
「まてぇぇぇ、…あれ?…うわぁぁぁぁ!」
こうして、足元の穴に吸い込まれていく有砂。
やがて、落ち切り尻餅をついて…意外と落ちた高さはあったが大丈夫だろうか?
「いったーい!まったく、こんな目になんであわなきゃならないの!あれ、たんすがあるわ。白うさぎはこの中にいったのかしら?」
有砂は痛みに叫んでいた。元気そうだ。
「こ、こんなところで泣いていたってなんにもなりはしないわ。はやく行かなくちゃ。」
泣いていたというより、泣き叫ぶ…であったがすぐに気を取り直し、ゆっくりと歩き出していったのだが…
「たんす???なんで、こんなところに衣装箪笥?」
有砂は落ちた後に洞窟の奥にあった箪笥の中へと開けて入る。
「奥が…深い。ナルニアみたいね…。一話のライオンと魔女のルーシーってところかしら。私は…。」
どこまでも文学少女な有砂であった。