プロローグ
ネット掲示板の表示を物凄く簡易にした表記で全体的に書かれておりますので、必ずこのような作品が苦手な方もいると思われます。
また、読み始めてから読み方を混乱されてしまう方が出ないように、ここで一例としてこの小説の表記を少しだけ書いておきます。
(例)ハコ:おはようございます!
↑この場合、『:』の左に発言者、右にその人の発言内容が書かれています。
これは普通の小説とは明らかに違いますが、あくまでも掲示板上が舞台ですので、このような表記になります。
また、掲示板上の表記ではなく、主人公やその他人物の心境に関しては、『:』はなくなり、そのまま書かれます。
夢猫堂。
あたかもふぁんたじーの世界を舞台にしたラノベに出てきそうなギルド名的なそれは。
僕の通っているネットのサイト名である。
もちろん舞台は現代。
ネットが大いに普及し、今やネットやらWi-Fiやらの環境が家庭に必ずあるという前提で話を進められてしまう、そんな時代。
どうせもう二度と呼ばれることがないであろう主人公の、僕の本名を言ってしまおう。
鈴木太郎。
いくらなんでもありきたりすぎる、その名前を平気な顔して付けた親の顔を見てみたい。誰もがそう言うだろう。そりゃ作者だって分かってる。
でも、これでいいんだ。
この名前で呼ばれることなんて、少なくともこの話の中じゃほとんど無い。
いや、それよりも呼ばれる回数が圧倒的に多いであろう名前があるのだ。
ハコ。
それが僕の、ネット上でのハンドルネームだ。
なんでこんな中身の無さそうな意味も特に無さそう名前にしたのか。
それは単なる思いつきに過ぎない。僕がふと思い付いた名前がそれだっただけである。
でも、この名前ほど気に入っているものはない。
今日もまた、いつものサイトの、いつもの掲示板で、この名前を誰かが呼んでくれるのだ。
これは、僕の通っている掲示板、
『夢猫堂』の物語。