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魔王殺しの殺戮兵器<マーダーウェポン>  作者: 角富士
第二章:その世界の立ち位置
9/29

9【今の生活】

 あれから三日、起き上がった矢蔵刃睦月ことグラハムが部屋を見回す。

 三日前に住んでいた部屋とは大違いな質素な家の中、グラハムは『可愛い妹が起こしてくれたりしないかな』なんてことを思いながらベッドから降りて背を伸ばした。

 なぜこうも質素な部屋に住むことになったかと言うと、すべてグラハムが悪い。


 あの日、魔王への答えを『NO』とし、魔族側への協力を辞退した。

 故にこの状況なのだ。

 いや、この状況でも良い方だろう。

 断った後にわざわざこの世界で暮らすためにと、一通りの準備をしてくれた魔王には感謝してもしきれないほどである。

 ともかく、グラハムが暮らすことにしたのはいつものナヴィという街だ。

 なぜグラハムがそこにしたかと言うと、街で唯一知っている場所だったからとしか言えない。

 わからない街で過ごすよりは色々とわかっているし、なにより安全であるというのもある。


「さて、今日はどうするか」


 スラックスとワイシャツに着替えて、腰にポーチを付けると軽く髪を掻き上げてからテーブルにティーカップを置く。

 グラハムのいた世界で言うコンロのような形のもののボタンを押すと火が出る。

 三日前までの世話係ことサシャの説明では、魔力を通すと火を出す石を内蔵した魔力駆動の機械。

 科学レベルで言えばグラハムの世界の方が遥かに上だろうけれど、魔術やら魔法やらという科学力がある故に生活する分にはそれほど苦労していない。

  お湯を沸かして、グラハムはティーポットに紅茶を用意するとティーカップに注ぐ。


「ふぅ」


 息を一つ吐くも、そろそろ最近作ったこの習慣も面倒だなと思い始めてきた。

 やはり『なんだかカッコイイ』なんて理由でやるものじゃないなと心底思い、その流れでやめた習慣も数えればキリがないと自嘲するように笑う。

 そもそも、サシャがやってくれていたから習慣のようになっていたので自分でやればそれはそれは面倒である。

 故にグラハムは今日を最後にしようと、ティーカップの中身を飲み干すと服を着てその部屋を出た。


 ナヴィの住宅街の中の一軒家、自宅を出ると丁度、隣の家からも誰かが出てくる。

 そちらを向いて顔を合わせると、相手は笑みを浮かべた。


「おはよう、睦月君」

「グラハムで構わんのですが、まぁ良いか……おはようございます」


 グラハムは返事をして笑うとそちらへと近づく。

 彼を睦月と呼んだ女性は、セミロング程度の長さの薄い茶髪を結わいて肩に垂らして、体系もまさに豊満と呼ぶにふさわしく、グラハムのストライクゾーンど真ん中を突っ切っている。

まぁ、激しく広いグラハムの好みは置いておいて、ただ女性はそれほど彼のことを嫌っていないのだろう。


「グラハム君はお仕事?」

「ギルドの依頼ぐらいしか仕事につけませんので、フィーネさんはどうして?」


 グラハムにそう聞かれたフィーネという女性はちょっとだけ困ったような表情をした。

 困るような質問なのだろうかと思うグラハムだったが、まだ会って二日しか経っていないのだから話にくいこともあるだろうと引き下がることにする。

 食い下がろうとした瞬間、誰かが隣の家から出てきた。


「あ、グラハムさん!」


 出てきたのは一人の少女、見かけで年齢を言えば10歳ぐらいだろう。

 フィーネが居た方の家から出てきたところを見れば同居人だということがわかる。


「おはよう、ロッテちゃん」

「おはよう! お母さん、早く行こうよ!」

「待ってて、今戸締りしちゃうから」


 そう言って、実の娘ロッテの頭を撫でてから家へと帰っていくフィーネ。

 残されたグラハムとロッテの二人だが、グラハムこと矢蔵刃睦月はそもそもロリコンではないため、ロッテ相手にそういう意味での興味はそそられないので口説くこともしない。若干、セミロングの茶髪などを見ると大人になれば期待できるなと思うぐらいである

 とりあえず、フィーネが来るまで一緒に待つことにしたグラハムは左の腰につけた剣の柄を軽く撫でる。

 すると、ロッテが興味を持ったのかその剣をまじまじと見だす。


「それって、やっぱりギルドのお仕事してるから?」

「あぁ、尊敬に値する男からの贈り物だ」


 剣を贈った男こと、オルトの紳士的な態度と純粋な強さを純粋に尊敬し、そう答える。

 彼は自分自身を高く見積もる傾向があるが、それでもなお彼はオルトという一匹の魔物を尊敬に値する男と言った。

 元世界での彼を知っている人間はそれを聞けば心底驚くだろう。


「お父さんも、剣を振って頑張ってるんだよ!」

「ん、ギルドの依頼を生業にしているのか?」

「なり、わい?」

「いやすまん、ギルドの仕事で生活してるのか?」


 生業と言う言葉は難しかったのだろうとグラハムは思い、言葉を変えた。

 するとロッテにもわかったのか、首を横に振る。


「お父さんは軍で頑張ってるの」

「なるほど……家を空けることが多そうだな」

「でもね、今日は帰って来るからお母さんと一緒に迎えに行くの!」


 良かったな、とロッテの頭を撫でるグラハム。

 だがここで一つ疑問が浮かぶ、出かける理由がそれならばフィーネはなぜそれを答えるのを渋ったのかだ。

 そして結論が一つだけ、グラハムの頭に浮かぶ。


「ロッテのお父さんは、魔人ではない?」

「うん、お父さんは人間なんだけど私たちのために頑張ってるの!」


 それで納得がいったグラハムは軽く頷いてからフィーネが渋った理由にも理解ができた。

 確かに、この世情で旦那が人間で娘がハーフということを言いたいわけがないだろうと思い余計な詮索が過ぎたと若干ながら反省をする。

 黙ってしまった自分を不思議そうに見上げるロッテに、笑みを浮かべてその頭を撫でた。


「早く戦争が終われば良いな」

「うん! そしたらお父さん……あれ、お仕事無くなっちゃう!」

「はは、そしたら俺の後輩になるかも知れないな」

「えへへ、そうだね」


 すると、自宅の右隣りの家からフィーネが出てきた。


「お待たせロッテ、睦月君もありがとう」


 鍵を締めながらフィーネがそう言うと、グラハムは軽く首を横に振る。

 駆け寄ったロッテが、母を急かすように引っ張り歩きだす。

 父親を迎えに行くということから目的地が正門だと理解したグラハムは、途中まで同行することとし一緒に歩くことにした。


 鼻唄を口遊み、楽しそうに歩くロッテを見ながらグラハムとフィーネは歩く。


「ありがとう、睦月君」

「ん?」


 ボソッと言ったフィーネの言葉に耳を傾けるグラハム。


「ロッテの父親のこと、なにも言わないでくれて」

「聞いていたんですか……いや、良いじゃないですか魔族と人間なんてロマンチックで俺はときめきますね」


 からかいなどの類など一切抜きでそう言ったグラハムはまったくウソ偽りないという表情だ。

 そんな彼を見てフィーネが驚いた表情をするもすぐに笑みを浮かべて先を行くロッテの後ろ姿を眺める。

 彼女がなにかを思いついたのか、音を立てて両手を合わせた。


「そうねー、睦月君」

「ん?」

「大きくなったらロッテのこともらってあげてね?」


 正直、この世界に召喚された時や、その前の飛行機事故に巻き込まれた時よりも驚いた。

 立ち止まるグラハムはフィーネに揺さぶられてようやく我に返る。


「な、なにを!?」

「いやもう、そんなに驚くなんて思ってもみなかった」

「驚きもしますでしょう、さすがに俺もそれは予想外の問い掛けで、正直冗談なのか本気なのか……」

「あら、ロッテの気持ち次第でしょうけど本気のつもりよ?」


 再び歩き出す二人、さすがに不信感で一杯のグラハムだが、そんな彼の顔を見てフィーネは大人の余裕たっぷりに笑う。

 ここまで翻弄されるなどそうないだろうと自覚しながらも、グラハムはフィーネになにも言えないでいるあたり、状況は劣勢と言える。

 だからこそ一発逆転を考えるのだが、どうかんがえてもこの状況で優位に立つ方法がわからなかった。


「だって、睦月君って優しいんだもの……きっと、ロッテは睦月君のこと好きになっちゃうと思うな」


 さすがに無いだろうと言う表情をするグラハム。

 矢蔵刃睦月には妹がいるから良くわかっている、長く一緒にいれば一緒にいるほどそういう感情など抱かないものだと……。

 だがそれでも、フィーネは『きっとそうなる』と言う。


「それにハーフだから、あの子も魔族と同じで若いまま長生きよ」

「む、それは興味深い」


 そう言って、グラハムは数度頷く。

 だが一つここでグラハムが思うのは、『自分が人間だと言っていない』ということだった。

 ロッテが大人になればフィーネのような美人になること決定だろうし、興味深いなどというレベルではないとグラハムは真剣にフィーネの言葉を考え始めた瞬間、隣のフィーネがグラハムの肩を叩く。


「ん?」

「ギルドよ」


 そう言って指をさすフィーネの前には、確かにギルドがあった。

 無意識にまま無駄に時間を過ごしていたのかと、ため息をつく。


「ああ、ありがとうございました。それでは楽しんできてください」

「ええ、またね睦月君」

「またねグラハムさん!」


 グラハムは軽く手を振って、いつも通りギルドへと入った。

 すっかり顔を知られたグラハムが男たちに挨拶をされるが、軽く返していつも通りカウンターへと着く。

 通常ならば、誰かと交渉をしてパーティーを組んだりするものなのだがグラハムはそんなことはせず、ただ一人で行くのみ……。

 正直なところ、パーティーに誘うのに酒をおごったりするのが嫌なのである。


「さて、今日の依頼は…」

「そうですね。領地奪還の参加依頼がありますよ、数日後ですが」


 依頼書が貼られた掲示板の前に立っていると、隣に受付嬢がやってきてそう言った。

 だがグラハムは表情をしかめて首を横に振る。


「それは良い、今すぐにできる類が良いな」

「なら、討伐依頼でしょうね」


 そう言われて、いつも通りに頷いたグラハムがその紙を引き抜いた。

 そしてその紙をギルドカードと共に受付嬢に渡す。

 二つを受け取ると店の裏へと下がっていく受付嬢を見て、グラハムは左手で剣の柄をそっと撫でた。

 受注完了となれば、ギルドカードを受け取ってあとは現場へと行くだけだ。




 ナヴィの裏門を出て、いつもと違う道を歩いて行く。

 そして、少し立ち止まると……突如、走り出した。

 助走をたっぷりつけると、片足で地を蹴り跳び、空中で頭を下に向けると木に張り付いている何かを見据えて剣を抜刀。

 そして着地すると、木に張り付いた翅の付いた長い胴体を持った虫の頭が切断できたのを確認する。


 軽く剣を回して納刀すると、いまだ木に張り付く虫の胴体を視界に入れた。

 瞬間、首の無い虫の翅がバタバタと動きだし、昔いた世界で言うセミのような音を出す。

 グラハムが顔をしかめて周囲から気配を感じて左手で鞘を持ち右手で柄をしっかりと握る。


「ええい! これは報酬以上の内容になりそうだなッ!」


 突如、周囲から飛び出してきた同じような虫の魔物。

 グラハムは地を蹴って真上に飛ぶと、まず正面から襲い掛かってくる虫の顔を縦一閃に切り裂く。

 その大顎に噛まれれば洒落にならないだろうと理解したグラハムはすぐに身を翻して背後から襲い掛かる虫も切り裂き、横から迫る虫は鞘で叩き地に落とす。

 地に落ちると共に、叩き落とした虫の頭に剣を突き刺して素早く抜くと、剣を振るって緑色の血を振るい落として走る。


 戦略的撤退という奴だ。

 ギルドの依頼では一体を倒せ、ならば先ほどの隙に切り裂いた大顎の歯をポーチに一つ入れたので十分だろうと理解する。

 だが背後から自分を追ってくる翅の生えた虫たち、明らかにむこうの方が早いと理解したグラハムが振り向き、居合の構えを取ると虫が迫る瞬間に上に抜刀。

 それにより虫を真っ二つに切り裂く。


 二つとなった虫の体がグラハムの両脇に落ちると、グラハムは次なる敵を視界に入れるがその数は十を超える。

 さすがに困ったと思い空を切り血を飛ばす。

 だがその瞬間、グラハムの前に見覚えのあるローブが映った。


「風の王、エリスか!」

「その通りだ……ギルドでお前がこっちにいると聞いて、なッ!」


 エリスが背中にかけた刀を抜くと両手で構える。

 虫たちは一瞬、警戒するように動きを止めるがすぐにエリスへと襲い掛かった。

 十を超える数の虫の魔物たちが一斉にエリスへと襲い掛かると、エリスは刀を斜めに振るう。 

 それと共に飛ばされる視覚でわかるほどカマイタチが、十を超える魔物たちを一瞬で切り裂いた。


「まさか、ここまでとはなっ……」

「当然だ」


 さらに襲い掛かってくる魔物を、風を使わずにその刀で切り裂いていく。

 その動きは数日前と変わらないが、グラハムよりそんな魔物を相手にするのは慣れているという風でもある。いや、実際に魔物を相手にするという点ではグラハムよりよほど勝っているのだろう。

 対人戦の才能で言えば、グラハムはエリスより勝っていたというだけだ。

 総合成績であればエリスの圧勝だろう。


「これで、終わりか」


 エリスは刀を背中の鞘に納める。

 助かったと言う風に、グラハムはため息をついて鞘を左の腰に装着して戦闘態勢を解く。

 なぜここにというより差し出された拳に拳をぶつけて挨拶を交わす。


「数日ぶりだが、やはり凄まじいな」

「なに、お前が魔族でないのが残念だ……魔族でもこのようにコミュニケーションが取れないのも厄介だがな」


 ため息をついてエリスは街へと歩いて行く。

 当然グラハムも着いて行き、一緒に歩いて街へと向かう。

 その最中に、グラハムはふとエリスに話を振ってみる。


「それにしても四天王というのは個性豊かで良いな」

「……それはどういう意味だ?」

「勘違いするな、これでも褒めてる」


 少しばかり不信的な目をエリスに向けられ、弁明するグラハム。


「いやはや、火、水、土、風……四大元素を司る四天王なんて、胸が熱くなる」

「違う力でなければ四天王にならないからな、同じ力なら順位が付きだすし……拠点も皆奪い合うことになる」

「そう言えば、それぞれ拠点があるのか……メシスのものしか知らんな」

「あそこか、オルトはレイジマウンテンが拠点だ。ウェアウルフの中でもヴォルカウルフという種が生活している地帯にいる」


 暑そうと思うグラハムだが、やはり火を使うのだからそうでなくてはと数度頷く。


「カロドナは湿地帯奥に館がありそこに住んでいるらしいぞ」

「なんとなく納得できるな」


 そして、エリスはなにも言わなくなった。

 それに疑問を覚えたグラハムが首をかしげて口を開く。


「エリスはどこが拠点だ?」

「……私のことは良いだろう、これで話はおしまいだ」

「む?」


 なにか言いたくないこともあるのだろうと、グラハムは数度頷いた。

 街も見えてき、あとはギルドに寄るだけだ。

 ふと、グラハムは一つの心配事を頭に浮かべる。


「ところで四天王がギルドなんかに来て大丈夫か?」

「問題ない」




 ギルドに着いてから、グラハムは自身の心配が杞憂に終わったことを理解する。

 いくら四天王と行っても恰好が恰好のために、特にバレることもないようでただ普通に対応されていた。

 報酬金をもらうと、グラハムはエリスと共に自宅へと帰ることにする。

 自宅に帰ると、グラハムはコーヒーを入れた。


「で、どうして今日は? まぁおかげで助かったわけだが…」

「そうだったな、まぁ本当の目的はこれを渡すためだ」

「ん?」


 そう言うと、エリスがポケットから青い石を出す。

 それに何らかの魔力を込めると、青い石から刀が現れる。

 エリスの持っている刀に似た刀、エリスの持つ刀をもうちょっと小さくしたような物だ。

 エリスはそれを手に持ち、グラハムに渡した。


「東国の刀匠に売ってもらった…」

「なるほど、それをわざわざ?」

「あぁ、お前の戦い方を見れば異世界の人間なのに東国の居合術に似ているからな……それに適した刀だ」


 確かにグラハムとしても今持っている西洋剣よりもエリスの刀の方が抜刀術で戦うには適していると思った。

 だがさらに、エリスはそれよりも居合が楽な刀を持ってきてくれたのだから感謝せざるをえないというものだ。

 そしてさらに言うと、彼女が自分にそうしてくれる理由がわからなかった。


「ハッ……惚れた、か?」

「ば、馬鹿を言うな! 私は愛などという粘膜が生み出す錯覚などに惑わされん!」

「つまらんな」


 自分のからかいに顔を赤くしたエリスを見て笑うと、グラハムはエリスから刀を受け取る。

 居合術で戦うにはだいぶ大きいその剣を背中に装着して、刀を腰左に装備して一本の刀と一本の剣を装備したグラハムは、部屋の家具から離れると腰左の鞘を外すといつものように鞘を左手で持ち、右手を柄に添える。

 スッ、と雰囲気が変わったことを察したエリスが少しだけ目を見開き、その金色の瞳を見開く。


 まさに、研ぎ澄まされた刃。

 そう呼ぶにふさわしいと、エリスは笑う。


「―――!」


 グラハムがカッ、と目を見開いて刀を引き抜く。

 いつもとは比べ物にならないスピードですぐに納刀して、笑みを浮かべた。

 チャキッ、と鍔が鞘にぶつかる音がすると同時に、グラハムの視線の先にあったティーポットが斜めに切れる。


「良いなこれ」

「それなら良かった、その刀の刃は所有者の力に呼応して強くなるという、お前が力を付ければ付けるほど強くなる」

「ほぉ、俺の身体能力が不自然なまでに上がったのは?」

「その刀の力だ、自らの力を存分に振るわせるために使用者の能力を底上げする」


 ならそこで疑問が一つ。


「お前が使わないのはなぜだ?」

「人にしか使えないというわけだ」

「なるほどな」


 おもしろそうに刀を抜いてその刃を眺めるグラハム。


「だがおかげで、紅茶は淹れられんな」

「……知るか」


 エリスが苦笑しながら言うと、グラハムも笑って刀を鞘に納める。


「ところで泊まっていくのか?」

「泊まるか、貞操の危機だ」

「ほぉ、処女か」


 髪の色と同じぐらい顔を真っ赤にしたエリスが刀に手を掛けて、グラハムが平謝りするのはこの数秒後になる。

 なにはともあれ、彼も彼女もなんだかんだで仲睦まじいように周囲から見えるだろう。

 ともかく、彼は彼なりの人間関係をこの世界で築くのだった。


「ところで、魔王のバストサイズを教えてくれ」

「―――斬る」

「すまん」




あとがき

とりあえず、これからは日々を過ごすことになります

すぐに物語も進行させますがこうして世界は回ってる。的なことを説明できればなって感じですね

では、次回もお楽しみいただければまさに僥倖!

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