22【平和のための犠牲】
その後、グラハムの問いに彼は答えることもなく彼の隣に立ったままだ。
ただ黙っているグラハムとアキトの二人
会談が一通り終わる。まぁそれこそグラハムの言っていた通り現状の把握なのだが、しっかり捕虜の扱いの話などはしておりお互い『問題無し』とのことだ。
これにはグラハムも顔をしかめる。問題がない、わけがない。
だが話は問題が無いと言う話で進んでいるのだから、ただ一護衛の自分が余計なことを言うわけにもいくまい。
「……新堂秋斗」
「アキトで良いよ、グラハム?」
非常に不本意だが、自分がグラハムと呼ばせているのに彼の要望を聞かないというのも不公平だ。そもそも公平なんていうものを大事にしているわけでもないが、ここは少しは聞いておいてやろうと、グラハムは大人しく彼を“アキト”と呼ぶことにした。
そしてそもそも話しかけようとしていたことを、口に出す。
「なぁアキト……貴様は勇者としてどうしている?」
「はぁ? なんだよ突然……普通に旅とかしてるけどさ、今回は呼び出されただけで」
「旅か……男一人と女一人、良い身分だ」
笑みを浮かべて肩をすくめるグラハム、そんな皮肉っぽい言葉にアキトは少し驚いたような表情をしてから、苦笑する。
「今は女二人だ」
「……本当にうらやましいな。まぁ俺には遠い話だ……世帯持ちなんでな」
「なっ、マジか!?」
「勇者アキト、少し静かに!」
皇帝の横にいる女性からの言葉に、驚くアキト。
だが明らかにアキトの不手際であるのは明らかだ。
「あ、す、すみません……」
「クッ……ククッ……」
「お、お前なぁ」
ため息をつくアキトはどうせ嘘だろうと思うことにした。
「……お前って思ったよりとっつきやすい奴だったんだな」
「元々さ、お前は向こうでもこっちでもそれと言って変わらんな……」
「変わらないよ、俺は今も昔も……みんなが笑顔でいれたらって」
その心に、言葉にウソは無いと言うことは良く伝わってきている。グラハムから見てもそれは嘘偽り無いと理解できた。故に彼は無知だなと、心の中で苦笑いの一つもせずにいられない。
この世界でみんなが笑顔になど無理であり、それは元いた世界でも同義だ。
誰かが笑えるのは、誰かが泣いているから、苦しんでいるから……それぐらいわかる。
「……それにしても人が増えたな」
「そりゃ、色々話すことも多いみたいだし増えるだろ……俺らやけに見られてるけど」
「勇者と人間の裏切り者が一緒に話していれば見られもする……お前の女が怒ってるぞ」
自分を斬った張本人である金髪の少女が苛立つような表情をしていた。
おそらく、二人が一緒にいるのが気に入らないのだろう。金髪ツインテールにツリ目、まさに女騎士と言った感じで人間の裏切り者である自分を睨んでいればわかる。
前に出会ったエルフのエセ女騎士とは大違いだ。
「アリシアはそんなんじゃないってっ」
「ほぉアリシアと言うのか……良い女じゃないか、間違いなくお前に気がある」
「なっ、会ったばかりでそんなことわかるわけないだろっ」
肩をすくめるグラハムだが、顔を赤くしているアキトを見てまだ子供だなと苦笑した。
本当に、前の世界でのことを思えば新堂秋斗と矢蔵刃睦月がこうして話しているのは十人中十人が異常だと言うだろう。本当に、アキトとグラハムという別人になったかのようだ。
そんな風に和気藹々としていると、件の女騎士がやってくる。
「アキト、貴様なに裏切り者と話をしている……っ!」
「おい、こんな場所でそういうこと」
「やめておけ、政治の世界のことはわからんものさ、一介の騎士ならばなおさらな」
グラハムなりにできる限りのフォローは入れたつもりなのだが、物言いが悪かった。
見下されたように感じたのか、女騎士ことアリシアはやけに苛立ち剣の柄に手を添えるが、アキトが柄頭を押さえて剣を抜かせないようにする。
そう、彼が行動するとわかっていたグラハムとしても特に動くことはない。
「ともかく、グラハムもアリシアを挑発するような物言いはやめてくれっ」
「そんなつもりは無かったのだが、すまない」
「っ……アキト、お前もなるべくそんな奴と話はしない方が良い。変な噂を立てられかねないからな」
それだけ言うと、アリシアが皇帝たちの方へといってグラハムにした表情とはまったく違う表情を浮かべる。
驚愕するグラハムの隣でアキトが笑う。
「あいつあれでも貴族なんだよ……アリシア・エーデルフェルト。騎士の家系なんだと」
「ほぉ、お前もあれだな。良さげな女を捕まえる素質があるな」
「そういう言い方は好きじゃないな」
思ったことを悪い意味でストレートに言うのが矢蔵刃睦月の頃からだった。
それをわかっているアキトだが、さすがに嫌そうな顔をしたのでグラハムは苦笑して頷く。
二人の視線の先には席を立って近づいて話をする魔王と皇帝、安心したように息をつくアキトと、ただ黙ってその光景を見るグラハム。
「なんだ、嬉しそうじゃないな?」
「まだ喜ぶのは早いんじゃあないか?」
「そうかぁ?」
息をつくと、グラハムが壁に背をつけるのをやめて一歩前に出たところで止まる。
「ではな、次に話をするときは敵か味方かまたこのようか」
「やめろよ、そういう話は……口に出すだけでもさ」
「現実を見ろ、故に次の事態への備えというものができるのだ……」
瞬間、耳をつんざくような爆音が聞こえ、床が揺れた。
エリスから任されたのは魔王の護衛、そのほかにも彼女は自分に期待していたようだが、それでもいま現在やるべきことは魔王の元へといくことである。
皇帝の護衛である女性と男の騎士、そしてアリシアが皇帝の周囲を囲むように立つ。
そして同じように、グラハムとオルトと側近が魔王を守るように立つ。
「まったく、このような状況で……」
「だからだろう。この城の防衛力は確かなものなはずだ……ならば」
「内側の奴らであるか」
側近が思いのほか冷静で驚くが、今はそんなことを気にしていられるような状況でもない。
今やるべき仕事は魔王を守ることだ。
他の人間たちは部屋の端へと集まっていく。
「どこからくる!」
叫ぶ側近だが、どこからも攻撃の気配はない。
しかし外は騒がしく、両方の扉から沢山の兵士たちが入って来て魔王と皇帝を守るように立つ。
ちゃんと魔王も守るのだと少し意外で驚くグラハムだがここで一つ疑問が生まれる。
「……なぜ、誰も怪我一つしていない?」
すぐに来たというのもだが、あまりに廊下側が静かすぎる気がする。むしろうるさいのは窓の外、つまり扉から離れている側だ。
左手を腰の刀の鞘に手を当て、右手は柄に添えられている。いつでも抜けるようにしながらも、思考はこの状況への答え。そして出る答えは……。
ハッとしたのはグラハムだけでなく、アキトも同時。
「窓だ!」
グラハムとアキトの声がシンクロする。
そして貴族などが集まっている窓側に現れるのは巨大な鳥のような何か、その鳥のような何かはまさに“異形”と呼ぶにふさわしい姿をしていた。
鳥の体に頭は人、だがその口は避けており真横まで開くようになっている。その体から生える二本の鳥の足、だがその間からは無数の触手が存在しており、それが貴族たちを捕まえてその口に噛み殺され、食される。
口元を押さえる魔王の前に立つグラハム、動くわけにはいかない。今するべきことは魔王を守ることだ。
だが“主人公”は違う。彼は人々を救うために、目の前の人を救うために、走り出した。
矢蔵刃睦月はアキトという人物が命や人間に優劣をつけない人間だと知っていた。だからこそここで動かずに、魔王を守ることを選択する。
ある意味では信頼、そしてアキトも魔王はグラハムが、皇帝は仲間であるアリシアが守ってくれるという信頼があるからこそ、他のものを守るために前に出れた。
「魔物だっ!やはり魔王がっ!」
誰かがそう言った。だがそうなるのもわからないでもない。
守るモノがいない貴族たちが魔王からも離れて壁側へと集まっていく。
そこなら安全とでも思ったのだろうけれど、その背後の壁が崩れ巨大な四足の生き物が現れた。
2メートルほどの巨体を持つ猪のような生き物だが、顔部分の牙が割れるとそこには巨大な口が現れて、その口から伸びるのは無数の触手。
「あのような魔物、いや魔物かあれは!」
叫ぶ側近、彼が驚愕した表情を浮かべる。
顔をしかめるグラハムが刀の柄に添えた手を添えるだけでなく、強く握った。
飛び出してそれを斬りたい気持ちを押さえるのは自分の役割は魔王を守ることであるからだ、現状何が起きているかわからないからこそ下手に動けない。
だがそんな時、青髪の少女がポニーテールを揺らして入ってくる。
「アキトさんっ!」
「エリーか!」
鳥のようななにかと戦うアキトが、振り返らずに少女に叫ぶ。
僧侶風な恰好を見れば彼が言っていた“二人”の仲間の一人だということは良くわかり、グラハムは少しだけ安心するも少し馬鹿っぽい彼女が心配にもなった。
いうなれば脳みそ全部胸に詰めたような感じだ。
故にグラハムは舌打ちをする。
「すまん、エリーは陛下の安全を、アリシアはそっちの四足をなんとかしてくれ!」
「わかった、頼むエリー!」
「は、はい!」
皇帝の元から離れたアリシアが赤い鎧を揺らして四足に走っていく。
そして皇帝を守るのはエリーと呼ばれた少女と、眼鏡の秘書風の女性ぐらいだ。戦力差を見れば圧倒的だろうと顔をしかめたグラハムが背後の魔王を見ると、強い表情を頷いた。
横の側近も渋々という表情だが頷いてくれるのを見て、さらにメシスの方を見れば楽しそうにリボルバー式の拳銃こと魔銃ガルムをクルクルと回している。
「構わん、行って来い」
「あら、オルト直々よ……貴方は行きなさい」
「グラハムさま、ご無事で」
オルトとカロドナとサシャにそう言われるも、顔をしかめるグラハム。
今生の別れのようなことを言われれば顔をしかめたくもなった。
とりあえず刀を握りしめながら腰を落とす。
「……やめろ、帰ってくる」
「別に構わない、お前は人だし」
「言わせるな魔王……帰ると言った」
その言葉と共に駆けだすグラハムだが、これで良いのかと魔王は心配にもなった。
魔族の中にただ一人の人間、それがどれだけのことか彼女にはわからないが同族から“裏切り者”とまで言われて自分たちの側にいる利点が彼にあるようには思えない。
だがそこで、ふと気づく。
あの日に出会った少女を……。
「そうか、お前はあの子のために……」
もう一人、グラハムは二人の女のために戦う。
それを知らない魔王だが、彼とどうあっても分かり合えない彼女だが、それでも彼を信用はしていたし彼も彼女を信用している。それで十分、そしてあの少女がいるのだから彼は必ず帰ってくると魔王は理解した。
ならば彼を見送るのがここでは正しい、そして再び迎えてやるのが正しい。正しいはずだ……。
走り出したグラハムが、皇帝の方へと向かう。メガネの女性が驚いた表情でグラハムの前に立ちなにかを唱え出す。
今、魔物が襲ってきていると思っているのだからこうなるのも仕方がないだろう。
メガネの女性の前に紫色の魔法陣が現れるがそれを見た瞬間、グラハムは跳躍する。
「ッ!?」
「失礼したお嬢さん、だが危ないのは君も一緒でな」
笑みを浮かべたグラハムが女性の肩を軽く蹴ってもう一度跳躍し、皇帝たちを飛び越えて逆方向に着地する。
瞬間、アリシアの戦っていた魔物が口をひっこめて頭を角の形にして突っ込んでくる。
刀を構えるグラハムが走りだし、角が当たる直前で真横に避けてその足を斬り裂く。
バランスを崩して倒れる魔物、左手を鞘から離して背中の剣に伸ばすと、引き抜きその体に突き刺す。
「柔い!」
少し驚きながらも剣を引き抜いてグラハムはその魔物を踏んでさらに跳ぶと魔王の元へと戻る。
その間、僅か一分ほどでありその恐ろしい動きの速さと手際の良さ、そして優雅さに見ていた全員が驚愕するが、当然という表情でグラハムは前髪を軽く払う。
エリスからもらった多少の身体強化ができる刀もあれば、この世界で散々戦った。
最近はフィーネとロッテのために中々にギルドの依頼を受けたりもある。
「守るモノがあれば強くなるものさ、男はな」
「かっこつけてるとこ悪いけどもう戻りましょう、話し合いどころじゃないでしょうこれじゃ」
カロドナの言葉に、魔王が顔をしかめる。
「グラハムが身をもって私たちが潔癖だということは」
「それだけではないでしょう魔王さま、ヒトの心はそう単純ではなくてよ……みんな、良いでしょ?」
「カロドナ殿の言うことも確かです、魔王さま!」
「っ……わからない!ここで逃げてはそれこそ本当に私たちの仕業になる。グラハム!」
「いたしかたない、今回ばかりは聞いてやる……」
「へぇー意外だねぃグゥラハァ~ム」
「妙な発音で言うな腐りかけが……行かせてもらう!」
「余計な真似を!」
側近が悪態をつくが、なんだかんだで自分勝手なのがグラハムである。なんだかんだ難しい言葉づかいをしようと、大人っぽく振るまうとも子供、それを理解した側近。
そして側近もカロドナもオルトも理解している。一番子供なのが魔王なのだ。
理想論ばかり、単純な思考ばかり、だが彼女が魔王であり自分たちは彼女を裏切ろうだとか、彼女の地位を脅かそうだとかは思わない。
天性の人誑しという奴だと言うことは理解している。
「だからといって、私は魔王様を……」
「どうした?」
「いえなにも、カロドナ殿とオルト殿はともかくメシス、貴様はしっかりしろ!」
「えーしっかりしてんじゃん」
再び走り出したグラハムがアキトが戦っている怪鳥へと飛ぶ。
驚愕するアキトが止まるが、グラハムは刀を抜いて両手で持つと真上から真っ直ぐその巨大な怪鳥を斬り裂く。真っ二つとなった怪鳥が窓際から真下へと落ちて行った。
刀を一回転させると、鞘へと納めるが、後ろから突き刺さるような殺意を感じて飛び退く。
「……やはりこうもなるか」
舌打ちをするグラハムの視界の先には女騎士ことアリシアがいた。
そしてその隣にいるのはメガネの女性であり、皇帝は悲しそうな表情をしている。
間違いなく、自分たちの仕業だと思われているのだろう。
「俺たちがやったことは、自演だったと?」
その問いに応えるものは居ない。
そしてアキトは、迷うような表情で剣を持つ手に力は籠っていなかった。
ならばどうにでもできる。
「の、ようだぞ……?」
そうつぶやいて、魔王の方を見ればカロドナと側近が顔をしかめた。
やっぱりこうなった、とでも言いたいのだろうと考えてグラハムはゆっくりと刀の柄に右手をそえ、左手を左肩の方にある剣の柄に添える。
一触即発の雰囲気、魔王は驚愕したような表情で側近たちの前に出ようとするが、側近がそれを許さない。グラハムでも許さなかっただろう。
「オルト~」
緊張感のない声でそう呼ぶのはメシス、帽子を押さえて目元を隠すオルト。
そういうナチュラルにカッコいいマネができるところにグラハムは心底憧れるが今はそんなことを考えている場合ではない。
じっと刀を構えていると、オルト片足にて地面を数度叩く。
まるでなにかのメロディのようなリズムでカツカツと地面を叩く音が響き……そして―――。
―――!!
巨竜の咆哮、グラハムの真後ろに現れるのはここに来る時に乗っていた巨大なドラゴン。
驚愕するアキトをはじめとした面々、グラハムが鋭い瞳にてアキトを睨みつければそれだけで躊躇して止まる。その隙を見計らって側近が魔王を抱き、オルトがサシャを抱いてドラゴンへと乗り込む。
カロドナもメシスもドラゴンへと乗り込むと、それで全員だとグラハムも背後へと飛ぶ。
ハッとするのは皇帝の横にいるメガネの女性。
「逃がすな!勇者アキト!」
「し、しかし!」
そんな声が聞こえてくるが関係は無い、オルトがドラゴンを飛ばす。
素早く王都ラインバルトを離れるドラゴン、それを追う術を人間たちは持っていないだろう。ゆえに空は完全に安全であった。
ドラゴンの背に乗る側近が拳を自分の手のひらにぶつける。
「……やはり分かり合えん!人間とは!」
「簡単には無理だ、だが何度もやり続ければ」
「理想論よ魔王様、怖いのよ、お互いに信じるのが……でもあの魔物、オルトは知ってる?」
「いや、私の知識にはない……メシス貴様はどうだ?」
「いやぁーオルトにわっかんないのが私にわかるわけないじゃん?」
「……ならば、あれはなんだ?」
グラハムの言葉に応える声は無い。
だがサシャは頭をひねっていた。なにか答えが浮かぶのかと全員がそちらへと目をやるが、ため息をつくのみ。
結局何も出てこなかったということだろう。
「だがわかったのは、魔族側と人間側が仲良くして気に入らない者たちがいるということだろうな」
「……そんなっ、平和の何が悪いッ!」
悲痛な声でそう言う魔王だが、ため息をつくグラハム。
だがそれに関して側近は何も言うこともできない。いつもなら魔王様を笑ったかと大激怒する部分なのだが今回ばかりは魔王がただただ夢を見すぎている。それでも裏切らないのはやはり魔王が“良いヒト”だということを全員がわかっているからだろう。
「なぁ……どちらかが滅びないと気が済まないものか?」
「家族を殺された者もいる、そういうことだろう……あのタイミングを狙っていた過激派、くそ……人間の防衛力が無さすぎるのも問題か」
側近がグラハムの問いにすぐに答えた。
「家族を殺された者たちか……どうにもならんな、それは」
自分もフィーネやロッテを殺されればきっと恨み続けるだろうし平和など望まない。
殺した者も、指示した者も、その上司も、そいつを作った環境も、すべてを破壊してなお殺意はありあまることだろう。なら理屈と筋は通っていた。
だが、といって今グラハムの大事な者が殺されたわけではない。
ならばやることはただ一つ……。
「過激派の抹殺か」
「グラハムっ!そんなことをしても!」
「そうしなければおさまらんよ、魔族の過激派と人間の過激派の規模を縮退させてから会談にもう一度踏み出すぐらいは必要だ……わかれ魔王、お前は多くの者を犠牲にしなければならん立場だ」
「わ、私は……っ」
崩れ落ちる魔王、泣いているわけでもないが、葛藤しているのだろう。
何かを犠牲にする立場だと理解してもしきれない自分、そして平和を掴めない。
なにをするにしても犠牲を選ぶのはもっとも上の人間だ。それを平気で行えるか、心を殺して行うかが問題であり、魔王は後者であり苦しむ方ではあるが……人に好かれるのはそちらだ。
だからこそ、誰もが彼女を放っておかないし陥れないのだろう。
「ほほーん大人だねぃグラハァ~ム」
「黙れ腐れゾンビ」
「うわっ、ひど」
ともかく今は、帰ってフィーネとロッテと共に晩御飯を食べたいと思うのだった。
あとがき
今回は前半は少しほんわかとした話で中盤から真面目な話と言う構成でした
次回からもうちょっとハートフルな家族計画的な話にしたいとは思いますが、たぶんそうはなりません
でも今回出番のなかったエリスは出番があります
中々話が進まないのはキャラクターを掘り下げるための話とかをしてるからですね
なんとか一ヶ月に二回以上の更新は心がけて頑張ります
では次回もお楽しみいただければ僥倖




