6.武器屋
宿を出てリウィが向かったのは剣と剣が重なった看板がある武器屋だった。
武器屋は剣が重なっている絵、防具屋は上部のプレート部分の絵、道具屋は袋の絵だ。
ほかにも靴屋だったら靴の絵、服屋だったら服の絵など業種に合わせた物でわかりやすい絵の物が描かれている。
元々文字は商人や貴族、王族などが勉強するもので一般の者は商人の丁稚や下級貴族がギルドの講師として文字を教えるなど少ない世帯しか読み書きができなかった。そのため看板に業種ごとの絵を描くことで文字が読めない人でも利用しやすくなったため全ての街で普及された。
「らっしゃい、好きに見てくんな!」
リウィが入店するとカウンターの奥から声が届いた。
カウンターの奥のほうを見ると3人の職人がスレッジハンマーで鉄を叩いていた。
付近の物を見て声をかける。
「シュミットの人はいらっしゃいますか?」
リウィの声を聞き1人の職人が向かってきた。
「私がシュミットだが何か用かね?」
「階位をお聞きしても?」
「階位は5位を頂いているサルベージだ」
「5位の方でしたか、早速ですが手を見せて頂いても宜しいですか?」
「同業者か?いいぞ」
--階位5位でこの手だと打ってもらっても折れてしまいますね…。
「ありがとうございました、参考になりました」
礼を言い視線を戻す。
「至急とある武器を作って頂きたいのですが…」
言葉途中に「またか」という苦い顔をした。
「申し訳ないがただでさえ貴族の奴らに頼まれてるんだ、悪いが仕事を受けれることはできない」
めんどくさそうにそういった。
「そうですか、それは残念です。今の注文が終わるのはどれくらいになりますか?」
「小口だが数が多いからなぁ…1ヶ月少しはかかるだろう」
「貴族の注文ということは装飾用の剣や短剣なのですか?」
「あぁ…普段使われる物を作りたいのだが貴族には逆らえないからな」
二人して苦い顔をして次の言葉を放つ。
「ホワイトスミスはどこにいますか?」
「ホワイトスミス?なんだそれは、聞いたことないぞ?」
惚けた顔をしたサルベージにリウィは声を落として言葉を放つ。
「白と黒は違えども」
「…我ナイパーの名を持つ者なりてこの身を授けん」
※サルベージとはその店の一番偉い人のことです。
今回の場合は鍛冶屋の頭領さんのことです。
次回更新は大学が始まるので少し遅れます。
9/12~追記~
22土か23日に次話投稿します。