閑話:イルの過去Ⅲ
閑話;イルの過去編はこれでおしまいです。短いです。
王家からの建前の守護を切り抜けて旅を続け40年経った。
髪を染め顔を隠し行商しながら人を助け時には人を殺し時には魔物を殺してきた。
生きるために世界を回った。私が私でいるために殺してきた。
酒場で喧嘩をし、行商で旅費を稼ぎ、新薬を開発し病人を治し、弦楽器を奏でる時もあった。
あれは3年前のことだ。
人間嫌いのエルフが住んでいる森の噂を聞き私はそこを最後の場所としたかった。
町を出て森に入ってから9日閒ひたすら歩き続けた。
穏やかな日の光を浴び一歩ずつ森の奥へ歩いていく。
そんな時前方から人の気配がしたため立ち止まった。
「こんにちわ、エルフの方ですかな?」
此方からはあちらの姿は見えずとも人の気配ではないことはわかっていた。
「ここは人間が来るところではない、速やかに立ち去れ」
鋭い叱責が飛ぶ。
「貴女方には迷惑はかけません、どうか森の一角に死に場所を作らせてもらえないか?」
戸惑うような気配が消える時間の閒、隣にいる子供に話しかける。
「ここが儂の死に場所だ。そしてお前の始まりの場所になる」
子供はわかったような分からないような顔をして首を傾げる。
「今は分からなくて良い。いずれ分かる時が来る。」
4歳の子供には分からないだろう。でもいいのだ、儂が導いてやればいい。
「…ここから30分ほど歩いたところの左側の木に印がついているそれを東に歩き小さな空白の場所がある。そこを使え。何かあったらすぐに追い出すからな」
そう言い残しエルフは去っていく。
「さぁ行こうか」
それが儂の最後の仕事だ。
次回からは8話の更新になります。
10月5日あたりに8話投稿します。




