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六話

この作品は(以下略

 6話 笑えない話



全身に痛みを感じながらも、何とか身を起こし、バスが突っ込んだ方を見る。

 ガードレールを突き破り、前方に在ったコンクリート製のビルに突っ込み、原形を留めていなかった。咄嗟に、飛び降りる事が出来た客は半分ほど。あとは、おそらく大破したバスの中で、息を飲む暇も無く、或いは苦しみながら、死んでいったに違いない。

 助かった客の中にも、知り合いが居ないのを見るや、泣き出したり、無表情のまま腰を抜かしている者が居た。横で棒立ちしているヨルは無感情な瞳で、瓦礫の山を見ている。

「ヨル?」

 話し掛けるが、此方を向こうとしない

「そ――こに、居るんでしょ? <出て来い>」

 それは、まるで悪夢だった。瓦礫が膨れ上がり、肩や首をだらりと垂らしたままの運転手が、身体をくねらせながら、まるで芋虫の様に這い出してきたのである。

 それでも、ヨルは動揺することなく、短い単語を発する。

「そこから<動くな>」

 言葉に貫かれたかのように、操り人形と化した運転手の身体がピンと硬直した。

 それを確認すると、ヨルは懐からナイフを取り出し、冷笑を浮かべながら近づいていく。

 頬を伝っていた汗が止まり、氷のように詰めたい空気が、私の身体を包みこむ。

 緊張の糸が張り巡らされ、周りの動物たちを絡め取っている。ヨルの目は、獰猛な肉食動物のように、瞳孔が開き冷たい光を帯びている。だが、その奥には歓喜の色が。

 そして――。

 運転手の首は、一瞬にして吹き飛んだ。ただ、ナイフを横に薙いだだけの動作。

 間髪置かず、二回目の狂気が振り下ろされる。次は右の肩から、左の脇まで。まるで、魚を雑に捌く包丁の様に、人の身体が切り裂かれていく。だが、ナイフでは置くまで届かなかったらしく、抉られたように肉が裂けただけである。血は枯渇したのか、流れない。

 たった二回。それだけで、人間だった者の身体が、完全に壊れてしまった。

 とても――綺麗だ。

 思わず、心の中で呟く。それは、この街に置いては普通の感情。いつ殺されても分からないのだから、その前に危険な物は、断ってしまわねばいけない。そう、目の前にいる少年の様に、無感情のまま、何も思わず命を摘んでしまった方が、気が楽なのだ。

 ヨルの<調理>も終わり、血すら付いていないナイフを持った手が、下に垂れる。

 そんな光景に、周りの人間はただ呆然と立ち竦み、眺めているだけだった。

 その横をすり抜け、私はヨルの元へと駆け寄り、その白い首に腕を巻きつける。

 私以外の人間の臭いが、鼻を擽る。やはり、慣れない。

「ヨル。もう片付いたから、帰ろう」

 その軽い身体が、ぐらりと傾き、此方に倒れる。

 直後、ブレーキ音と共に、一台のワゴン車が瓦礫の横に付けられた。

 開いた窓からは、特徴的なスキンヘッドが見える。そして、低い声が道に響く。

「運賃は後払いで良いぜ? 二人で三千円ってとこだろうな」

「半額にしてもらえるなら、お願いするわ」

「世の中、そんなに甘かねえよ。まあ、二千五百円で勘弁しといてやる」

 勿論、値切る余裕も無く、年にしても少し軽いくらいの、ヨルの身体を肩に担いで、後部座席に乗せる。まったく、一体どんな食事を摂ったら、こんなに体重が減るのか。

 その、力無い頭を太腿に乗せる。

「ヘェ。随分、ラブラブじゃねえか。羨ましいねえ」

「バカ言わない――で。逃げてばっかで――正直疲れてるの」

 起きたばかりで、体力が戻っていない為、息を荒げながら話をする。

 窓からは、ゆったりと風が流れ込み、移動している事が分かる。ハンドルを持っている彼の唇が、ニィと厭らしく歪み、また低い声が車内に通る。いつ聞いても、不快になる。

 勿論、助けてくれた事には、ありがたく感謝させてもらうが。

「ほら、な? 忠告したとおりになっちまった。マフィアってのは、手が早いぜ」

 そう言いながら、軽快にハンドルを回し、車を操る。

「そういえば、アンタの予感は昔っ――から、悪いやつばっかり当るわね」

「ハハ! そりゃ良い。なんなら、てめぇの死まで予言してやろうか?」

 ――それだけは勘弁してもらいたい。

 コイツが「槍が降る」と言ったら、槍が降りそうだし、「火事が起こる」といえば、火事が起こしてしまうような、それだけ<有能>な預言者なのだから。

 と、溜息を吐き、柔らかいシートの上に背中を乗せ、ヨルの横になっていた頭を、上に向ける。柔らかな寝息を立てながら、綺麗な寝顔を私の方に見せてくれた。

「寝ちまうのは良いんだが、行き先ぐらいは教えろよ? さすがにストーカみたく、何もかも知ってるわけじゃ、無いんだからな」

「寝ないわよ。楽な体勢になりたかったし、ヨルも苦しそうだったもの」

 そう言って、汗で張り付いていた、ヨルの前髪を撫でて整える。

「ソイツ。あの薬飲んだのか?」

 スキンヘッドの頭が、此方に向けられる。

 ――どうでも良いから、前を見てくれ。危なっかしい。

「ええ。美味しいって、言ってたけど……変な薬じゃないでしょうね」

「……いや。普通の人間にゃ、ちぃとも害なんてありはしねえよ」

 普通の――人間には、か。考えて、少し不安になる。

 さっきの綺麗なくらい、鮮やかな殺し方も、普通の人間には出来ない。

 目の前に在る、可愛らしい寝顔とは、全く別の人を人と思わない、殺し方。

 銃で人を撃つのと、ナイフで人を切るのとは違う。後者の方が、慣れるまで時間が掛かるし、動脈を切った時の血の噴き出る生々しさや、温かさまで体験しなければならない。

 そんな事を、こんな十代半ばの少年がしているのである。

 それも、おそらく無意識の内に行っているんだろう。敵だと思ったモノは、全て殺さなければ、自分が殺されるんだ。と、まるで機械のように、刷り込まれたに違いない。

 車の揺れが、少し収まった気がした。もしかして、気を使ってくれたのだろうか?

 ――気のせいだろう。

「そこ、右に曲がって。そのまま真っ直ぐ言って、二つ並んでるビルがあると思うから、そこまで直進でお願い……あの薬、一体何? 麻薬じゃないと思うけど」

「あいよ――あの薬は、動物の血と人間の血を混ぜて、固めたやつだ」

 いつの間にか、その唇には火の付いたタバコが咥えられていた。

 ヨルの頭を撫でる私の手が、急に強張る。

「普通の人間にゃ、キツ過ぎて味わえるもんじゃない」

 ヨルと最初に出会ったシーンが蘇る。彼は人の肉を、美味しそうに喰らっていた。

 窓から入る風により、車内に煙が充満する。だが、今はそれも気にならない。

「酔ったら言えよ。ちと、行き先を変更する」

 そう言って、私の返事も聞かず、大きな車体を慣れた手付きで、小さな脇道に潜り込ませた。アンタ、プロになったほうが金を取れるんじゃない? いつもなら、簡単に出る憎まれ口も今は、喉に留まったまま、全く出ようとはしてくれなかった。

 タイヤが水溜りの上を走り、泥水が窓の真ん中辺りまで跳ねる。

 なるほど、確かにアスファルトで固めていない、オフロードと呼べる道だった。

「ラブホテルとかに連れてったら、本気で殴るから」

「オレ年下は趣味じゃ、無いんだ。どうせなら、熟女くらいの方がいいな」

「ヨボヨボのお婆さんに、欲情でもしてれば」

 ようやく、いつもの調子に戻せた。

しかし、むりやりに戻してしまったからか、どうも向こうには柳に風と言った感じだ。

 ヨルの方は、相変わらず幸せそうな、寝顔を見せてくれている。

 微かな寝息を立てたり、少し出ている喉仏を動かしたり、睫毛が揺れたり。

 そんな姿を見ていて、飽きる事は無かった。外はいつのまにか、茶色い壁が続く、見たことの無い裏路地へと、映り変わっていた――こんな所が、あったんだ。

 思わず、感嘆の溜息が漏れる。こういう所を把握している者など、殆どいない。

 勿論、人の影など、何処にもなく、まるで絵画の中にでも、潜り込んでしまった様だ

「いい場所だろう? ……お前の昔の相棒が、見つけやがったんだ」

 治りかけていた、心臓の鼓動が再び激しく脈打つ。

「お前に教えたかったと、仕事中でも良く言っていた」

 嗅ぎ慣れた、あのタバコの臭いが、今度はとても気持ち悪く感じる。

「寝てるソイツみたいな、能天気な顔してよ。嬉しそうに」

 ゆっくりとブレーキが踏まれ、車体が微かに揺れながら止まる。

 フロントガラスに見えるのは、綺麗な原形を留めている小さな教会。

 そして、その周りで長閑に遊び回る子供達だった。その、子供達が遊ぶ姿を一人の肌が褐色を帯びている、若い女性。いや、大人になる一歩手前の少女が、石段に座りながら見守っている。今の殺し合いの世界には、場違いなほど和やかな場所である。

「あの女。お前の相棒に惚れてたそうだ」

 ヨルの頭を膝から下ろし、シートの上へ寝かせる。

「それは、随分と苦労したでしょうね。あの朴念仁が相手じゃ」

 言い合いながら、車のドアを開け、アスファルトの絨毯の上へ、足を下ろす。

 少し、車の中で座っていた所為か、足が痺れそうになる。

 互いに、ゆったりとした歩調で、教会に向かい歩き始める。子供達も興味を持ったのか、此方を指差しながら、何か小声で言い合っている。その後方から、あの褐色の少女が立ち上がり、慌てた表情で此方に駆け寄ってきた。その黒曜石にも似た足は、素のままである。

 そして、あまり耳にしない言語が耳を叩いた。

「キリカワ!……――?」

 いや、最初の単語は、日本語。それも、横に居る男の昔使っていた姓だった。

「お。随分と、ボロボロになったもんだ」

 確かに、素足のままで歩いている所為か、所々に肉刺まめが出来て、破れている。

 服とスカートも随分と、使い回しているらしく、穴が開いている為、元は綺麗に整った顔やスタイルも魅力が半減し、同じ女としては少し、勿体無い気もする。

 それに比べ、子供達の服は、古い事は古いが、しっかりと洗濯、刺繍が施されている。

「少し、教会を見させてもらうぜ? イグレィシア――オゥケイ?」

 それは、少し訛りの入ったスペイン語だった。仕事上、覚えなければいけない事もあったのだろう。途切れ途切れではあるが、しっかりと向こうに意思は伝わったようである。

 少女は微笑んで、私達の手を引っ張り、教会へと向かう。

 そう言えば、この少女はどちらかと言うと、日本人顔のような気がする。ハーフだろうか、それともクォーターか。どちらにせよ、日本人の血のほうが濃いと思う。

 少女の歩幅は短く、私達の歩調に合わせてくれているようでも、あった。目線を上に向け、教会の外側を見る。綺麗な装飾の施された、いかにもキリスト教の信者らしい教会。

 だが、特有の厭らしい感じはなく、ただ残って在るだけ、といった風の教会だった。

 その教会の前に、辿り着いた途端に、少女の手の温もりが離れる。

「どうだ。お前の大嫌いな、キリスト教会だ。銃弾の一つでも、ぶち当てとくか?」

 そんな皮肉にも、全く耳を傾けられずに、その悠然と立つ教会に魅入られる。

「ま、とりあえず。中に入ってみようや」

 そう言って、太い腕が重い扉を押し開いた。

 ステンドグラスの綺麗な色が、朝の日光を浴びて、床に降り注いでいる。

 古くなり腐ってしまった、机や椅子。そんな中で、教会のシンボルでもある、マリア像と蝋燭の火。それから綺麗な彫刻画だけが、何も変わらずに存在している。

 あの火の手を良く、掻い潜れたものである。いつもなら、殴り潰したくなるようなマリアの顔も、今では本当の聖母のような逞しさを持ち、緑や赤の光を全身に纏っている。

 ふわりとした外からの空気が、教会の中に潜り込み、大きな空洞の中で何回か、小さな鐘の音色が響き渡った。おそらく、改装した時に付け加えたのだろう。

 大きくもなく、しっかりと主張している音色は、まるで香りのある風のようだった。

 これを作った人間は、随分とセンスの在る職人だったろう。

 ふと、マリア像の後ろにある、一枚のステンドガラスに、弾痕があるのを発見した。

 その視線に気付いた<キリカワ>が求めていないのに、低い声を立てる。

「あれは、お前の相棒が撃ち抜いたんだよ。記念だそうだ」

 アイツらしいよ。と良いながら、篭った笑いを響かせる。

「……どうだ? ヨルって坊主を此処に置いて行く気はねえか」

 その言葉に、心が揺れる。確かに、此処なら簡単には見つから無いだろう。

 それに、あの子が殺さなくて良くなるなら、それも良いかもしれない。

 だが、ヨルが此処の子供達や、あの少女に溶け込めるのかが心配である。

「アイツ。此処に住んでたコトがあるから、大丈夫だよ」

 まるで悟られているようで、気持ち悪かったが、それよりも、軽い衝撃が走った。

 それなら、別に大丈夫かもしれない。肩の力を抜き、後を振り向く。

 後では、何人かの子供が恥ずかしそうに、扉の後から覗いている。

 私の考えは、間違いでは無いと思う。色取り取りの光を背に受けて、教会の入り口へ歩き出す。情が移らないうちに、手放そうとは決めていたのだが、これで楽になれそうだ。

 私は目を瞑りながら、小さく自嘲する。感傷に浸るなんて、自分らしくもない。

 だが、外に出ようとしたとき、軽い衝撃が前から感じた。

「あ、ごめん。起きたら、全然知らない場所だったから、ビックリしちゃって」

 先ほどの会話とは、正反対のヨルの反応。

 だが、周りの大きな子供達は、ヨルの事を知っているらしく、服の裾を引っ張ったり、している。横で、そっぽを向いているキリカワを睨む。

「あの街の虫は記憶を食う。それ位は、知ってるだろう?」

 知っている。しかし、それではヨルの居場所がないのも、同然では無いだろうか。

 此処にいた頃とは、全く別の人格で、全く別の記憶を持っていると言うなら、あの孤独な街で生き抜いてきたヨルは、本当の意味での孤独なのである。周りの人間が、彼の事を知っていても、一旦リセットされたものは、完全に元に戻る事は決して無い。

 ――彼は、とても人懐っこかった。それは、きっと寂しかったからだろう。

 ――彼は、私の膝枕で気持ち良さそうに眠っていた。きっと今まで、眠れなかったのだろう。

 そして今、彼は楽しそうに子供達と遊んでいる。まるで、見知っている者同士のように。

 だが、それでも彼は一人のように思えた。まだ、血の臭いが微かに残っている。

 それは私くらいにしか、分からない程の微かな臭いだったが、それだけで充分だった。

 彼は此処で暮らす事は出来ない。と言う、自分勝手な結論が出来上がる。

 それでも、彼の好きなようにさせてあげたかった。

「ねえヨル。此処に住んでみる気は無い?」

「え。僕は一応、君と一緒に居たいんだけど。それに、此処はちょっと平和すぎ」

 まるで、戦いを好んでいるような、返答。

「もし、良かったら。君の右腕の役割でもしたいなーなんて」

 そう言って、周りに集まってくる子供達と戯れる。

 それで……私の右腕として生きて、本当に良いのだろうか。

 今のままを見れば、普通の子供と変わりない。いくら、昔とは違うとは言え、位置からはじめることだって出来る筈だ。だから、私は住を抜く。彼が、私の右腕に相応しいのか。

 それを調べる為に、銃口を静かに上げ、ヨルの横に居る子供を見据えた。

 彼の名前を、聞こえないくらいの音量で呟く。

 へ。と間の抜けた返事が聞こえた。それを無視し、撃鉄を引く。

 そして、その銃口を自分の側頭部へと付け、引き金を引いた。

 耳元でうるさい位、綺麗な鉄の鳴き声が聞こえる。胸に温かい物が、覆い被さってきた。

 鼓膜が痺れ、周りの音が一瞬、シャットアウトされる。

 右腕は固く握られて、銃口は天井を向いている。そして、目の前には、息を荒げているヨルの顔が見えた。初めて見た、その慌てように思わず頬が緩む。天井のステンドグラスが銃弾により割れたのか、ぱらぱらと細かい破片が降り注ぐ。

「右腕としては失格だけど、左腕くらいにはなりそうね」

「っ――! なにやってんのさ!」

 その怒鳴り声が、再び鼓膜を揺さぶる。

「アンタ居なくなったら、私。今みたいにして死ぬから。右手の役割はちゃんとしてね」

「じゃあ、絶対居なくなってやんない。絶対に死なせてあげないから」

 ――なんだそれ。

 クスリと笑うが、ヨルの方は真剣な表情で、まだ私の身体がら、降りる様子は無い。

 銃弾が掠めたヨルの頬から、血が薄らと滲み出る。何故だろう、凄く喉が渇いた。

 理性が働かず、私のものとは違う、別の本能が脳の中を支配する。

 いつの間にか、両腕がヨルの首に巻きつき、垂れていた頭も何かを求めるように、浮き上がって、ヨルの顔へと近づいていく――そして。

 教会に、水音が数回。

 口の中に鉄の味が広がる。だが、いつもは不快な味も、今では清涼飲料水よりも美味しく感じ、自然と血を求めるために、熱を帯び始めた舌を這わす。

「……ミケちゃん?」

 澄んだ声が近くで聞こえた。

 再び理性が戻ってくる。口の中が、酷く気持ち悪く感じた。

「だいじょうぶ? なにか飲み物、買ってこようか?」

 ヨルが心配そうに、額を撫でて熱を測る。

 そして、慌てた風に狭い通路に向かい、子供達を連れて去っていく。

 キリカワの吸っている、タバコの火の音が耳に届く。

 血が唾と混じり、不快な味が一層に増した気がして、手の甲で口を拭った。

 昨日も、こんな事があった気がする。血を飲みたいとは思わなかったが、無性に喉が乾いて、今にも脳が焼き付きそうだった。もしかして、私もヨルみたいに人を殺したり、食べたいと思ってしまうのでは、無いだろうか。そんな考えを心の中で笑う。

 私は人を殺しすぎていると、自分でも思っている。

 それも、数え切れないくらいの人間を、大人や子供問わずに。

 タバコの灰が、教会の床に落ちる。

 手の甲に付いた血が、外気に触れ乾き始める。

 まるで信者の様に、マリア像の方へ顔を向け、複雑な感情をぶつける。

 それでも、聖母は赤ん坊の方を見たまま、ただ微笑むだけ。

 マリア像の後ろの、ステンドグラスに開いた弾痕だけが、私の顔を見つめていた。

 


徐々に文字数が減ってますよ。

って言われそう。でも、一日足らずで、更新できたのは嬉しい。

イラストを描かなかったのが、功を奏したのか、それとも俺が異常なのか。

いずれにせよ、明日から3日間は、更新できても、5千文字くらい。

それにしても、序盤終わってないのに、5万文字って……(苦笑

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